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六十三話・番外編10 シスとダークロン


「わからないのであれば、もう一回使えばいいだけです...」


『目標発見...ココカラ...東...約100メートル先ニ...イマス』


「100メートル先ですか...結構、近いですね...?」


ん...あの岩山の当たりが、100メートルピッタリって所でしょうか...?


「あそこにダークロンがいるのか、シス?」


「さあ...それはわかりませんが、慎重な行動はするべきでしょうね...」


「わかった...。じゃあ、ユユナはここで待っていてくれ...!」


「うん、わかった...。二人とも気をつけてね!」


ユユナの元を離れた二人は、魔探が指し示した場所へと慎重にゆっくりと

移動して行く。


「お...見ろよシス!さっき見えていた岩山に、大きな穴が空いてるぞ!」


「あの穴の大きさ...魔物の住みかとして、丁度良い大きさのですね...」


「じゃあ、あそこでピンゴって事かぁ!よし!善は急げだ!いっくぜえ!!」


「ちょっとプルア様、いきなり突撃って何を考えているんですかぁ!?」


「そんなの決まってるだろう!善は急げ、先手必勝ってさぁぁぁ―――っ!!」


だからとは言え、無策で突撃って...ハア...プルア様がここまで脳筋だとは...

百歩譲って、それが正解でも静かに突撃してよ!


「グルル...!」


「この声はそこにいたかぁぁ!ダークロォォォ―――――ンッ!!」


『喰らえ!爆砕炎天波ァァァァ―――――ッ!!』


プルアは大地を思いっきりと蹴りあげ、ダークロンの頭上まで飛び上がると

その拳に貯めた炎のオーラをダークロン目掛けて突き飛ばす!


「ギャオオオ―――――ンッ!!」


プルアの炎のオーラが見事命中し、ダークロンが断末魔に近い雄叫びを上げて

後退りする。


「おっし!決まったぜぇぇぇ―――――ッ!!」


「決まってないわよっ!」


シスはプルアにそう窘めると、ダークロンにマジックアイテム閃光を

投げつけた!


「キシャアアアァァァ――――ッ!?」


ダークロンに閃光が当たると、物凄い閃光が辺りを真っ白に変えていく!


「ちょっと、それはオレもダメージ受けるんですけどぉぉ―――っ!?」


「煩いですね...自業自得なのですから、少し我慢して下さい...伸びろ、

『伸縄』っ!」


「うげっ!?腹がしま――――」


シスは懐から伸縮自在のロープ『伸縄』を取り出して、プルアに巻き付けると

自分の元へ引っ張り寄せる。


「全く...ダークロンが炎属性って言うのを忘れたのですか?それなのに、

炎属性の攻撃をするなんて...本当に脳筋ですね、プルア様は...」


「脳筋言うな!」


「言いますよ!あれ...一体、どうするつもりですか...!」


シスが指を差す方向には、ダークロンが暴れ狂っている姿があった。


「ダークロンはですね、氷系の技や魔法や道具で倒すのが基本なんですよ!

逆に炎系は...見てわかりますよね...」


「はいぃぃ!すいませんでしたぁぁぁ――――っ!!」


シスの能面の様なジト目に耐えられなくなったプルアが、その場に完璧な

反省の土下座で謝ってくる。


「やってしまったものはしょうがありません...さて、これをどうしましょうか...

最悪これは放って置いて、次のダークロンを探すという手もありますが...?」


「それはできねぇ!こいつがこうなったのもオレのせいだし、ここで逃げたら

王になんて...なれるわけがねぇ!」


「え...プルア様、王になりたいんですか?だって、プルア様って王位はかなり

下の方でしたよね...?」


「獣人の国では、王位の順位なんて全く関係ないのさ!オレ達獣人の国は実力行使で

力さえあれば、オレみたいな王位の低いものでも、性別が女だろうが王になれるんだ!」


「実力行使って...本当にそれじゃ、脳筋じゃないですか...。獣人の国って、

大丈夫...なの?」


「おっっっい!その憐憫な表情はやめてくれ!実力行使の内容には、教養方も

ちゃんと条件に入ってるから!」


教養っ!?それじゃ、プルア様では逆立ちしたって、絶対に無理では

ありませんか...!?


だって、こんな脳筋全開なお人なんですよ!それなのに...希望に満ちた

あんな顔をして...うう。


「ぷ、プルア様...頑張って下さいね!私...応援しますから...ね!」


「お、おう!それはありがとうな...!」


シスはプルアの肩にポンッと手を置くと、屈託のない微笑みを見せる。


「ギャオオオン――――ッ!!」


「それでは、戦いの続き...始めましょうか...!」


「おう!」


シスとプルアはダークロンに向き合うと身を構え、攻撃態勢に入る。


「それで...どう攻撃するつもりなんだ、シス?オレは氷系の技や魔法は

使えないぞ?」


「え...使えないって、それでどうやってダークロンを倒すつもりだったんですか?

まさかプルア様、ごり押しで...とか、思っていたんじゃありませんよね...!?」


「へ...!い、イヤ...そ、そんなワケないじゃん...あ...はは...!」


や、やっぱりですか、プルア様っ!?それはいくらなんでもプルア様だって、

無理なのはわかってますよね...。


イヤ...でも、さっきの行動や今の言動...十分に有り得る...のか...。


「ハア...本当に、この人は...」


困ったものですね...。でも、何故かな...この人って、何か放って置けないん

ですよね...。


あ...なるほど、何故こんな気持ちになるのか、何となくわかりました。この人...

少しお兄ちゃんに似てるんだ!


だから、私はプルア様を応援したくなっているのか...。


「な、なんだよ...しょうがないじゃん...氷系って頭を使う高位の技なんだよ!」


「ふふ...プルア様は脳筋なんですね...!」


「おいっ!そんなお日様みたいな笑顔で脳筋って言うなぁぁ――――っ!

いい加減泣くぞ、オレェェェ―――ッ!!」


シスの心ない言葉に、プルアのその目にはうるうると涙が溜まって、今にも

泣き出しそうになるのであった。


話にあわせて、あらすじを少し変えてみました。

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