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五十九話・番外編6 魔道具師シス


私の名前は『シス・シーカット』...クラスは『魔道具師』だ。


魔道具師というクラスは、アイテムを魔改造できるスキルを覚える事ができる。


このクラスを選択した時、お兄ちゃんやリィーナさんが何故?

...と、不思議がっていましたが、私は最初からこのクラスを選ぶと決めていた。


ふふ...魔改造...なんてロマン溢れる言葉なのかしら...!


おや...リィーナさんがお兄ちゃんを起こしたのでしょうか、上で騒がしい声が

聞こえてきた...。


「全く...ライの奴は...!」


「はは...毎度ご苦労様ですリィーナさん。お兄ちゃんって、中々起きないから...」


「いいの、いいの、気にしないでシスちゃん。これも幼馴染みの義務だから!」


いつも思うのですが...幼馴染みの義務って、どういう意味なのでしょうか?

いえ...正確には大体、わかってます...。


だって、リィーナさん...しょうがないとか、馬鹿とか、いつもお兄ちゃんに悪態を

つきますが、その表情はメス...ゴホン、女の顔で恍惚な表情をしていますから...。


ん...?このドタドタ音は、お兄ちゃんの足音...やっと、クエストの準備が

終わったみたいですね。


「おはよう、シス!」


「おはよう、お兄ちゃん!」


私はお兄ちゃんと挨拶を交わすとコーナーをクイッと一口飲む。


「お兄ちゃんは、本当に毎回、毎回、寝起きが悪いよね...」


「はは...努力はしているんだけどなぁ...」


「努力をしている人はね、毎日、毎日、幼馴染みに起こしてなんて

もらわないものなんですよ!」


「なはは...それもそうですね...反省します...」


シスがジト目をしながら軽くその事を注意すると、ライの表情は

一応、反省の色を見せていた。


「まだまだ、言いたい事はありますが...外でリィーナさんとアルテさんが

待っていますし、ここで終わりにしておきますね...」


「お、おう!じゃあ、行ってくるよ、シス!」


「はい。行ってらっしゃい!遅くなる前に帰って来るんですよ!」


お兄ちゃんは私とお出かけの挨拶を交わすと、外で待っているリィーナさんと

アルテさんの元へ駆けて行った。


「行きましたか...さて、私も出かける用意をしましょう...」


お兄ちゃんが出かけた後、私も新しい魔道具を作る為に商売ギルドへと

出かける用意をする。



――――――――――



「あ、シスさん!おはようございます!」


「クリルさん、おはようございます!」


商売ギルドで私を見つけた受付嬢のクリルさんが、笑顔でこちらへ挨拶を

してきた。


はは...クリルさん、いつ見ても笑顔が眩しいなぁ...。


「あ、そうそう...昨日シスさんが作ってこられたMPポーションですが、

二割増しで売れましたよ!」


「え、本当ですか!」


「ハイ!あちら様も大変お気に入りになられまして、次も是非と言って

いらっしゃいましたよ!」


クリルがその時の様子がわかる様なキラキラした笑顔で、シスに語ってくる。


「でも魔道具師って凄いんですね!アイテムに別のアイテムとか、素材アイテムを

添付して、新たなアイテムを作りあげる事ができるんですもの~!」


「まあ...相当、熟練値を上げなきゃ、良いアイテムは作れないんですけどね...」


「そうなんですよね~。それを知らないウチへ来る新人さんが、シスさんの

噂だけを聞いて、魔道具師になる人が増えてるんですよね...困ったもんです!」


その新人達の事を思い出したのか、クリルが呆れた口調で苦笑している。


「ではシスさん...今回の報酬ですが...ギルド銀行へ預けますか?それとも

現金でお受け取りになりますか?」


「今日もいつも様に、ギルド銀行の方でお願いします!はい、これ...

ギルド銀行カード!」


「では...ギルド銀行カード、お預かりします。少々お待ち下さいね...」


シスからギルド銀行カードを受け取ったクリルが、奥の方へ入って行く。


「さて、その間に私はクエスト依頼書を見てきますか...」


どれどれ...。ほうほう...薬草七種集めの依頼に、MPポーションの

材料の1つ、月下草を三つ持ってくる依頼、イエロージェリーの核...

へえ、昨日より良い依頼が増えていますね...。


あ、これなんか今作っている魔道具の材料探しと平行できそうで

丁度いいかもしれません...。


こんな感じでクエスト依頼の内容を見ていると...


「シスさん、お待たせしました!」


...っと、奥からクリルの声が聞こえてきた。


「では、ギルド銀行カードをお返ししますね。後これ、預け入れ証明書です、

お受け取り下さい...」


ニコリと微笑んだ後、テーブルの上にギルド銀行カードと預け入れ証明書を

乗せた皿を私の前に出してくる。


「所でシスさん、そろそろ自分のギルド銀行カード...お作りになられては

いかがです?」


「いえ、大丈夫です...。このギルド銀行カードで間に合ってますから...」


このギルド銀行カードは私のではない...。クリルさんの言うように、

私のお兄ちゃんのギルド銀行カードだ。


前にリィーナさん達がお兄ちゃんに内緒で作って、私に渡してきた物だ。

お金にルーズなお兄ちゃんだから、本人より私が持っていた方がいいと

リィーナさんアルテさんの判断らしい。


正直な気持ち、私もリィーナさん達と同意見なので、ありがたく

それを受け取った。


ちなみに、この事はお兄ちゃんの所属しているギルドのマスターも

了解済みの事らしく、私のギルドカードとお兄ちゃんのギルド銀行

カードが連動して使えるのはその為だ。


もうひとつちなみに、リィーナさん達がお兄ちゃんに奢ってもらうと

いう形で貰った金貨をお兄ちゃんの稼ぎとして、ギルド銀行カードへ

そのお金を貯金している。


悔しいですが、中々できた幼馴染みですね...。でも、私も負けませんから!


「そうですか...。言ってくれればいつでもお作りしますので、気楽に声を

おかけ下さいね!」


「はい、ありがとうございます!クリルさん!」


ニコリと微笑んだクリルさんへ、私は同じ位の微笑みを浮かべて返した。


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