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五十八話・ユユナとミュン


「ん...こいつ...かなり...失礼...!」


竜の王女様が、ライの失礼発言に対し、ジト目で睨んでいる。


「コラ!ライってば、女性をむ、胸だけで評価するなんて、

それって、さ、最低な行為なんだぞ!」


「ふ...いいんだよ、最低でもさ...それが俺の生きざまなんだから...。

ふ...胸を評価し続ける先で貰えると言われる二つ名...その名も

『オッパイハンター』ッ!俺は...この二つ名を貰う為、オッパイを

評価して、評価して、評価しまくるのさぁぁぁ――――っ!!

嗚呼!オッパイ、バン――――――ザィバァッ、ウバァンッ!?」


「だから、エッチな事は言っちゃ駄目って、言っているでしょうぉぉっ!」


スケベな言動を発するライの左右の頬に、ユユナの容赦のない一撃必殺の

往復ビンタがえぐる様に叩き込まれた。



それから、数分後......。



「アハハ...イヤ~ゴメンなユユナ!ショックが大き過ぎて、ちょっとばかり

我を忘れてたよ!」


しばらく気を失っていたライが冷静さを取り戻し、ユユナに謝ってくる。


「それで竜の王女様...えっと、ユユナが名前を呼んでたけど、ゴメン

聞きそびれちゃった...。改めて、名前を聞いてもいいかな?あ、俺は

『ライ・シーカット』!気楽にライって呼んでくれ!」


「ん...私の名前か...?私は『ミュン・ディー・ゴ―ラド』って...いう...。

気楽に...ミュンって、呼んで...くれ!」


竜の王女...ミュンが、ライの真似なのか、似た様な自己紹介で返してくる。



ミュン様か...俺は竜の王女...ミュン様をジックリと観察する。


竜の王女様というだけあって、人種は竜人族みたいだが、

特徴の角や尻尾が見えない...?でも、八重歯はちゃんと牙っぽいな。


髪型は肩ギリギリまで伸びているロングへアーで髪の色は、

キレイな光沢のあるメタリックブラウン...。


そしてやる気のないボーッとした瞳は、キラキラと光る金貨の様な

ゴールド色だ。


身長は妹のシスより一回り小さく、胸の大きさもあのモカより

更に地平線が見えそうな感じのペッタンコさんだ...。



「ん...ライ...。また私の胸を...ジッと見て...ガッカリしてる...!」


「ラァ~イィ~ッ!」


「み、見てません!盆地胸とか、地平線の彼方が見えるじゃんとか、

そんな事を考えながら、見てませんからっ!」


「見てるじゃないのぉぉ!もうぉぉライのドスケベェェ―――ッ!!」


「グギャ―――ッ!?」


ユユナのしなる様に打ち出された重い一撃ビンタが、俺の頬にめり込む様に

決まると、その反動でグルグルと数回転して地面に叩きつけられた。


「な、何故だ...同じ男の癖に...何故、この気持ちを理解できぃ......ガク」


「そんなもん、理解できる訳ないでしょ...ふん!」



それから、数分後......。



「イテテ...たっく、何回俺を気絶させれば気が済むんだよ...」


「そ、それはライが変な事を言うからだよ!」


「だって、しょうが...って、これじゃまたループゾーンだな...やめとこ...」


もうこれ以上ユユナの強力ビンタを食らったら、俺の首がもげてる...!


「それより竜の王女...ミュン様が、何でお前と一緒にいるんだよ?」


俺は話題を変える為、さっきから聞こうとしていた疑問をユユナへ

投げかける。


「実はこのミュンの国...つまり竜の国でちょっとしたクーデターが

起こちゃってさ...」


く、クーデター!?それはまた物騒な話だな...!


「それで私とミュンは親世代が仲が良くて、だから...」


「なるほど...だから、いてもたってもってやつで、ミュン様を助けに

行ったと?」


「はは...残念だけど、その程度の気持ちであんな危険状態の国に

乗り込む程、私は博愛主義者じゃないよ...」


ユユナは首を横にフルフルと小さく何度か振り、ライの言葉を否定する。


「じゃあ、何で助けたんだ?」


「だって、ここで恩を売っておけば、後々に役に立つんじゃないかなって...さ」


「ふ~ん...お前って、意外に現実主義でもあるんだな?俺への態度を見て、

結構な潔癖主義だと思ってたぜ...!」


「だって...そういう気負いを持たなきゃ、私のいた世界では生きては

いけなかったから...」


「生きていけないって、オーバーな表現だな...お前の世界って、

一体、どんな世界だったんだよ...?」


深刻な表情のユユナの事が凄く気になってしまった俺は、その場の

空気感を無視し、この問いを投げかける。


「あはは...ゴメンゴメン!ちょっとばかり、大袈裟に言っちゃった

みたいだね...!だから、そんな表情をしないの!」


「そ、そっか...。そんな深刻な顔で言うからさ...こっちもビックリし

ちゃったよ...はは」


何となくではあるが、ユユナが無理に作り笑いをして誤魔化そうと

しているのがわかった...。


なので、これ以上は詮索はしない様に、俺もユユナの言葉に合わせて、

微笑みを返した。


「んじゃ、話を戻すけど...見た所、お前とミュン様しかいないけど、

竜の国にはお前一人で行ったのか?」


「流石にあの国に護衛も無しで突っ込んで行かないって!特に今は

混乱中だしね...。ミュンを迎えに行った時には、キジュとクーイの

二人と一緒に行ったんだよ」


「クーイ?」


「ハイ、それに食いつかないの、このドスケベさん!」


「イヤ...普通に誰って思っただけなんだけど...」


「嘘仰い!そのニヤケ顔でバレバレだって言うの...!」


「うん...バレバレ...ライのドスケベ...さん!」


はい、その通りでございます。クーイさんって女性かな?

女性だったら、キジュさんと同じでオッパイ大きいかな...と

妄想全開でした...!


「たっく...で、そっちこそ、何でこんな物騒な所にいるのよ...?」


「俺?俺はこいつと一緒にクエスト中で...あれ?そういえば...

サイカの奴、さっきから全く会話に参加してこないな?」


俺はそう気づくと、サイカを探す様に周りを見渡す。


「...って、いるじゃん!どうした、そんな離れた場所でこっちを

身構える様に見て...?」


「身構えて、当たり前ッスよっ!だって......」



「だって、そいつ!魔王じゃないッスかぁぁ―――――っ!!」



サイカは体をフルフルと震わせ、ユユナに人差し指をビシッと

向けると目を見開いて、こう叫んだ。


「なっ!ま、魔王...だとっ!?」


サイカの口から告げられる驚愕で衝撃な事実に俺は喫驚し、

石化した様にその身が固まってしまった...。


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