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四十九話・ガールズトークその2


俺達は聖剣の部屋を出て、お姫様の部屋に戻っている。


「ライ様、お待たせしました~!」


「ちょっと、リオ様!」


リオが自分の部屋に入ってくると同時にライに向けて、抱きついてくる。


「いいじゃないですか!私達は婚約者同士なんですから!」


「その後に(仮)がつくでしょう!だから、お姫様がそんなに異性くっついたら

人目について何て言われるかわかりませんよ!」


「私は別に何を言われても、特に気にしませんわよ?」


「リオ様はそうなんでしょうけど、一般市民のライお兄さんの方は

そうはいかないんですよ!ねぇ、ライお兄さん!」


「え...何が?」


「何が...じゃない!そのデレッとした顔、明らかに腕に当たっている

リオ様のオッパイの感触に神経を集中しているでしょう!」


「げ!何故バ...ゲフン、ゲフン、そ、そんな事はないぞ!」


「イヤ...今更ですよライお兄さん、そのアホみたいにデレッとした顔を

一体どれだけ見てきたと思っているんです!」


モカは自分には中々見せないライの表情を見て、額に青筋をピクンッとたて

目を見開き、人差し指を突きつけて叫喚する。


「この城にいたんじゃまた用事を頼まれそうだし...ライお兄さん!

そろそろここを出て、次の場所に行きましょうか!」


「ええ!ライ様、帰ってしまうのですか!」


リオの表情が見てわかる様なくらいのガッカリした顔をしている。


「リオ様、また遊びに来ますから...そんな顔をしないで下さいよ...ねっ!」


俺はリオ様にそう言うと頭の上に手を置いて優しく撫でる。


「はう!これがモカ様がさっきライ様にやられていた頭をなでなでですか...。

これは中々効きますね...はにゃ...!」


先程ライに撫でられていたモカの事をふと思い出したリオは、その理由がわかり

なるほどと理解する。


「わ、わかりました、仕方がないですね。ではライ様!是非、また遊びに来て

下さいね!あまり待たせるとこちらから会いに行きますから!」


「はは...わかりました、なるべく精進します...!」


そんなやり取りをしたリオ様と別れてから、数時間後......。



「ふう...本当、今日はよくここにいられているな俺って、1日だったな...!」


夕食を済ませて俺は、自分の部屋のベットで今日の出来事を思い出し、

思わずニガ笑いが出てしまう。


「本当ですよ!まさか用事を終え帰って来たら、リオ様がライお兄さんに

ベッタリなんですもの!」


「それよそれ!何でリオ様と婚約って話になっちゃったのよ?」


「婚約(仮)だ!」


「そんなどうだっていいわよ!さあ、ライ!リオ様の件、全て包み隠さずに

話なさい!」


「ハイハイ......」



俺は城で起こった色々な出来事をロザリー達に話した......。



「はは...パンツを見られたくらいで姫様から婚約って、そりゃライも

焦っちゃうよね?」


「だろ...。本当、あの時は生きた心地がしなかったよ!」


俺はあの時の慌て様を思い出し、嘆息を吐く。


「しかし、たかがパンツを見られたくらいで婚約まで飛躍するって...!」


「イヤ...モカ、お前だってパンツ見られたって、俺を圧迫死させようと

したじゃねえか!」


ケラケラとリオ様を笑うモカに対し、お前も似た様な事があっただろうと

たしなめる。


「え...!あはは...そういえばそんな事もありましたなぁ...?」


「はは...まあ考えたら、私もあの後のライお兄さんの気遣いで...」


「ん...聞こえないが何か言ったか?」


「はい言いましたよ。ただし鈍感さんには聞こえないが声で、ですけどね!」


モカは意地悪っぽい表情でこう言うと、可愛く舌をチロッと出す。


「また...鈍感か、俺ってそんなに鈍感なのか?」


「まあ、鈍感だよね...」


「はい...残念ながら...」


「今更ですよライお兄さん...」


ロザリー、メイリ、そしてモカが、それぞれ俺の呟きを肯定する。


「ま...そんな事よりウチらにとって大事なのは、リオ様がこの戦いに

参戦してくるって事だよ!」


「この戦い...?」


「ふふ...鈍感さんはちょっと、黙っていようね...♪」


「は、はい!スイマセンッ!もう言いませんっ!」


ロザリーの笑っているが瞳が笑っていない表情に威圧された俺は、

言葉を詰まらせ黙りを決め込む事にした。


「ロザリーお姉さんの言うとおりだよね...。相手は王国でお姫様!

それにダーロット王も協力するって意気込んでるし!」


「それよそれ!何で普通の市民であるライに仮とはいえ婚約を許すのよ!」


「一言で言うなら...ミルナお姉さんのせい...かな?」


「ミルナのせい?」


「だって、ライお兄さんの事を斬首するって言われてついカッとなってさ...つい!」


「なるほど...ミルナの事をダシに使った訳か...」


「後、ついでに私を含めてロザリーお姉さん達の事もね!」


「ウチらの事も?」


「うん、ライに何かあったら私達も許さないって、釘を刺しておいた!」


「はは...確かにライに何かしようものなら、乗り込む自信はあるか...」


「...ですね!」


モカの言葉にロザリーとメイリはコクンッと小さく頷ながら、自信満々な表情で

そう呟く。


「それが切っ掛けで、ミルナお姉さんにもロザリーお姉さん達にも慕われているって

知ったダーロット王は、それならリオ様との婚約は問題ないって結論つけちゃって...!」


「そっか、私達の事が裏目に出ちゃった訳か...!」


「それに正直、ダーロット王もあのお転婆三姉妹と言われたリオ様が、異性に

惚れる日が来るなんて思ってなかっただろうし...これはチャンスとばかりに

協力してるんでしょうね!」


「「それなっ!」」


ロザリーとモカはメイリの言葉を聞いて、シンクロした様に声を合わせ、

そう呟いた。



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