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四十四話・正座


俺は今現在、正座をさせられ説教を受けている最中です...。


「ねぇ...私、朝に言いましたよね...?」


「え...と、何をでしょうか?」


「おとぼけですかライお兄様。今日は、私の番だと...

い・い・ま・し・た・よ・ね・っ!!」


「ハイッ!言いましたです!」


モカは笑っているが、瞳の奥に鬼が見える表情でライに近づき、

更には普段、あまり使わない敬語で威嚇する。


「それが、何故にリオ様とイチャイチャしているのでしょうか?」


「良いじゃありませんか、私とライ様は婚約を交わす予定なのですから!」


「ハイ!それよそれっ!何で私が少し離れ、数時間も経っていない状況なのに

婚約という話になっているんですか!」


この意味がわからない状況に、モカはテーブルをバンッと叩き、

ライに猛烈に抗議する。


「俺こそ何故!と思う程、リオ様の婚約発言には混乱しているんだって!」


モカの抗議に対し、俺も意味がわからないと抗議の言葉を返す。


「一言で言うなら...恋ですわ!」


「恋!?」


リオのストレートな恋発言にモカはビックリして言葉を詰まらせる。


「そう...恋かぁ。それなら仕方がないですかね!」


「エエェェ―――ッ!何でっ!?」


俺はあっさりとリオ様の発言を肯定したしたモカに、

目を見開き喫驚する。


「だって、私もライお兄さんにはそんな感じですしね...!」


ライに聞こえないくらいのかぼそい声でそう呟いた後、

モカの顔は急に真っ赤になり、そしてモジモジとし始める。


「ん...今なにかいったかモカ?」


「い、いいえ...何でもないですよ!」


モカはニガ笑いを浮かべて自分の言葉を誤魔化した。


「そっか、気のせいか...?」


「ハア、この...鈍感さんが!」


「やっぱ、何か言ってるだろう?」


「ハイ、今は言いました、この鈍感さんがと!」


「ええ!鈍感さんって、もしかして俺の事か!」


「そうですよ。鈍感って言葉が似合う人がこの中でライお兄さん以外、

誰がいるって言うんですか?」


自分の乙女心に気づかないライに対し、モカは能面の表情になり、

真面目なトーンでハッキリ鈍感野郎と宣言する。


「う...そんな真面目な顔で言われると流石に凹むんですけど!」


「まあ、冗談はさておき...どうするんですかライお兄さん?」


「う、それは...俺もどうするべきか...考え中です...」


「この際、惚れた腫れたはこちらに置いておいて...。今はリオ様の状況を

どうするかって事ですかね...」


「俺だってさっきまで口が開かなくなる程、必死にリオ様を説得はしたさ...」


「で...結果は言わずもがなって、やつですか...ハア」


ライの腕に寄り添っているリオを見て、モカは深い嘆息を吐く。


「そもそも、一国のお姫様がイエスって言っているのに、一般市民の俺が

NOって断られるワケがないんだよ!」


「た、確かに...不敬罪が思いっきり適用される可能性がありますね...!」


「だろ?それでも俺は頑張って、色々例を上げて説得したんだぞ!」


「でも、全て不発だったと...」


「イエス...」


「仕方がない...!それじゃ...最終兵器といきますか......リオ様!」


「ど、どうしたんです、モカ様?そんな大きな声を上げて!?」


「さっきも言いましたが、ここにいるライお兄さんは、あのミルナお姉さんの

大事な大事な、思い人の可能性が特大です!」


「み、ミルナ様の...大事な思い人!?」


「それでも、リオ様はライお兄さんと婚約と言い張れますか?」


「そ、それは...!?」


モカの発言を聞いてリオは、流石に思いっきり悩んで考えているようだ。


あれだけ自分の考えを曲げなかったリオ様なのに、流石は最終兵器ミルナさん!

よし!これなら俺の首も何とか安泰だぜ!」


困苦の表情で悩み考えているリオ様を見て、これはいけるんじゃっと

拳をギュッと握りしめ、その様子を見守っている。


「......そうですね。ミルナ様が相手では、私に勝ち目はありませんか...!」


「そ、それじゃ!婚約の件はなかったいう事で―――」


「しかし!それでも私はへこたれはしませんよ!ミルナ様、来るなら

いつでも来い...ですわ!」


「な、なんですと!ミルナ伝説が敗れただと......!」


「はは...これはもう、なる様にしかならないか...ドンマイ!ライお兄さん!」


「ちょ、モカさん!何、その諦めになられたお顔は!?」


「だって...ミルナお姉さんの事を言ってもこれじゃ、もう打つ手はないよ...」


「そ、そんな...!」


ヤバイ!ヤバイですぞ!百歩譲って婚約できるなら、それでいい...!

しかしどう考えても、無理でしょうが!この事が王様...リオ様の父に知れたら

俺そこで試合終了...!人生よ...さらばだ!...だぞっ!?


そんな事を考えているとこの部屋のドアを、いきなりガチャっと

開ける音が俺の耳に聞こえる。


「お、やはりここでしたか探ししたぞ、モカ殿!」


この間とは違うおっさんがいきなり部屋にズカズカと入ってきた。


また大臣か何かか?それしてはお姫様の部屋にノックもしないで、

いきなり入ってくるなんて...図々しいおっさんだな。


「もう、いきなりノックもしないで部屋に入ってこないでって、

いつも口が酸っぱくなる程、言っているでしょう!」


「ガハハ...スマンスマン!つい、忘れてしまうわい!」


「はあ...全く」


しかし、お姫様を相手に馴れ馴れしい態度なおっさんだな...?

親しい相手か何かなのか?


「ん...所で、そこにおるのは一体、誰なんだ...?」


ハア...またか、そりゃ~そうなるか...。御説明をよろしくお願いします~

モカさん!


「それはですね...ダーロット王―――」


「この御方は私の初めての人ですわ、お父様!」


「王...お父様...っていう事は...!」


こ、このおっさんが、この国の......!?


「ほほう...我が最愛の娘の初めての人...ねえ!」


リオの言葉を聞いたおっさん...イヤ、ダーロット王が能面な表情でその体から

ドス黒いオーラを放ち、俺の事を人を殺す眼光で睨んできた。


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