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四十三話・婚約


「はい...?今、何て言われました?」


俺は聞き間違えじゃないかと思い、もう一度リオ様に聞き直してみた。


「だから、婚約していただきますと言いました!」


聞き間違えじゃなかったぁぁぁぁ――――――っ!?


「ここ、婚約ってっ!な、何をどうやったら婚約に行き着くんですか!」


「だって、ライ様...私のパン...下着を見たじゃないですか!」


体をモジモジしながら顔を真っ赤にして、ライの顔をチラッと見て、

拙い言葉でそう述べる


「やっぱりそれが理由!?た、確かにバッチ...ゲフン、ゲフン、少しだけ

見てしまいましたけど、いくら何でもそれで婚約は行き過ぎですって!」


「そ、そんなに私との婚約はお嫌ですか?」


慌てて必死に言い訳をしてくるライに、リオは見た目でもわかるくらいに

シュンとした表情で頭を垂れる。


「嫌じゃありません、嫌じゃありませんが、流石に色々と無理がありますって!」


「どんな無理があるんですか?」


「まず、圧倒的に無理なのは身分の差です!お姫様と一般市民...こんな身分の差を

一体、誰が祝福してくれるんですか!」


俺は決定的な正論を一つ言った後、次の正論を話す......。


「そして次に才能の差、自分で言うと結構凹みますが、俺って全くその分野の

才能がありません...」


言ってて虚しくなったが、俺に才能が無い事をハッキリと訴える...。


「そして、最後に...パンツを見られたから婚約しましたって、どういう顔をして

世間に発表するんですかっ!」


そう...これが一番、肝心!こんな馬鹿げた理由をリオ様の父親...この国の

王の耳に入れたが最後...俺の命はそこで終わってしまうっ!


「もう、イヤですわライ様。流石にその事をお父様や国民へ告げたりなんて、

そんなことするワケないじゃありませんか!」


「で、ですよね~!じゃあ、みんなへはどうやって伝えるおつもりで?」


何を告げて婚約に持っていこうとしているのか、少し気になったので、

その事をリオ様に問うてみた。


「ふふふ...簡単な事ですよ!ライ様に私の始めて(パンツを見られた)を

あげましたと言いますわ♪」


「ちょぉぉぉぉっとっ!?その言い回しは絶対に言っちゃ駄目なやつっ!!

俺の人生が終わるやつぅぅぅ―――――っ!!」


リオ様から返ってきた答えがとんでもない答えだったので、俺は目を見開き、

慌てた顔で叫声を荒らげる。


「え...何をそんなに慌てておられるのでしょうか?」


「そりゃ慌てて当然ですよ!だって、俺の人生がかかってるんだもんっ!

だから先程の言葉は、絶対に誰にも言っちゃ駄目ですからねっ!」


「ムゥ...だったら、どう伝えれば言いとおっしゃるのですか!」


「婚約しなければいいんですよ!」


困惑な表情で聞いてくるリオ様の問いに、俺は当たり前の答えを返す。


「それは却下です!」


リオはライの出した答えをあっさり拒否する。


「な、何故です!何故そんなに俺との婚約にこだわるんですか!」


だって、言い方はわるいがリオ様がつまずいて転んだ時、たまたま俺の目線に

あの至福の青い布が見えたってだけの展開だぞ!


なのに、何でそこから婚約という流れに行き着くのか俺には全然わからん!


「そうですね...。でも、恋なんて突然やってくるものなのです...。そして、

そう思ったら行動あるのみなのですよ!キャッ!言ってしまいましたわ!」


リオは目をキラキラさせ、頬は紅に染まり...その頬に両手を当て、

今のセリフが恥ずかしかったのか、キャッキャッ言いながら照れている。


「突然の恋か...そういえば、リィーナ達も突然会ったコウガに対し、確か...

こんな感じでキャッキャッと言っていたな...」


「はい?今、何か言いましたか?」


「え...いいえ、ちょっと独り言を...はは」


「独り言...?もしかして私の事を言ってらしたのかしら、キャン♪」


勝手な想像でリオがまたキャッキャッと体をくねらせて喜んでいる。


「うん...やっぱり同じ行動だな...」


それに...俺に告白してきたあのミルナの表情にも...に、似てるかな...?


あの時のミルナのキスをふと思い出し、俺は思わず顔が真っ赤になる。


リオ様の行動と、リィーナ達やミルナの事を照らし合わせると......


「間違いなくリオ様は俺に恋しているって事か!?」


「だから、そうだと言っているではありませんか!」


何を今更と言わん顔でライの言葉にツッコミを入れる。


「...と言う訳でライ様!婚約の件、了解して下さいますよね!」


そう言うと、リオはライに飛び付くようにジャンピングダイブする。


「うわ、ちょっといきなり飛び込んで来ないで下さい!お姫様とあろう者が

はしたないですよ!」


「いいんですよ~!未来の旦那様にはしたない姿を見られたって♪」


ライの言葉をおくびもせず、ゴロゴロと子猫の様にじゃれてくる。


「ライお兄さん~お待たせ!やっと用事が終わったよぉ――――」


ライにじゃれついてくるリオを見て、モカはあまりの衝撃に体が石化した様に

固まった...。





















その頃...今のライ達とは少し時間が違う

とある場所の、とある二人が特訓をしている最中の会話......。



「ハックシュン!」


「ど、どうしたんですか?風邪でも引きましたか?」


「ううん...これは誰かが噂をしている証拠のくしゃみよ!」


「え...そんな事がわかるんですか、ですか!」


「勿論よ...このくしゃみの出かたは...ライの奴だ!」


「ええ!そんな特定もできちゃうんですか!」


「しかも、このくしゃみ具合...鈍感野郎が発動しているわね!」


「えぇ!そこまでわかっちゃうですかぁ!?」


「でも...噂をするって事は、あいつ...私達の事を忘れてないって事だよね!」


「そうだと嬉しいです...!ライお兄ちゃん...元気にしてるかな?」


「まあ、あいつはそう簡単にくたばりはしないでしょう!」


「ハイです!そして、一日も早くライお兄ちゃんに再会して、私達への

勘違いを解きたいですね、ですね!」


「うん、そうだね...早くその日が来るといいね!」


「もし、ここに帰って来ないって言うなら、こっちからあいつの所に

出迎えに行ってやるってもんよ!」


「ハイです!その為にも...まずは!」


「そうだね...頑張ってLVアップして、旅をしやすくしなきゃね!」


「ですです!そしてライお兄ちゃんと再会した時にビックリさせる為、

頑張っちゃいましょう!」


「うん。じゃあ、そうなる為にも...LV上げの続きを開始しようか、アルテ!」


「了解です!今度こそあの魔物を退治しましょうね、リィーナお姉ちゃん!」


「おお~い、リィーナにアルテ~!準備は出来たかい~?」


「ええ、お待たせコウガ!さあ、行こうか!」


「私も準備はOKです、です!」


「よし!じゃあ、行こう!」


「「おうっ!」」


再会した時、ライをビックリさせる為に、今日も頑張って魔物退治に

明け暮れる二人であった。



まさか、ライがあの様な目にあっているとは露知らず...。



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