表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/98

四十一話・お姫様


「お、お願いしますぅぅぅ!ミルナ様には言わないで―――ッ!」


「.........」


「ミミミミ、ミルナ様にはどどどうかぁぁぁ、今の私の態度をぉぉぉぉ、

ごごご、御内密にして下さいぃぃぃ―――――っ!!」


「.........」


「すいませんでした!本当にすいませんでしたでしたぁぁぁっ!!

だから、ミルナ様には――ミルナ様にだけは――――!!」


「.........」


「もう二度と今の様な態度は取りません、だからミルナ様には...お願...

イヤダアアアァァァッッ!ミルナ様、怖い―――ッッッ!!!」


「.........」


何、これ...?


城の中を移動中、様々な偉い御方がモカに俺の事を聞いてきて、最初は蔑んだ目、

下卑た目、値踏みする目、ゴミでも見る様な目...こんな感じでジロジロと

見てくるのだが...モカが何かを告げた瞬間、


全員これだ......。


イヤ、何を言われているのかは大体わかりますよ。だって...みんな、口裏でも

合わせたかの様に...


「ミルナ様には!」


...の単語が出てくるしね。


「本当にミルナって何者なんだ......!」


門番から大臣まで、その全ての人達がミルナの事を畏怖してくるのを見て、

俺はブルッと小さく震えがくる。


「さあ、到着!ここが今日のメインデッシュの一つ...お姫様のお部屋です!」


モカはお店でも紹介するかのノリで、お姫様の部屋をドヤ顔で紹介してくる。


「はい...?」


「だから、お姫様の部屋ですよ!」


「それはわかってる!何故、一般市民の俺をお姫様の部屋に案内した!」


「ええ!お姫様だよ、会ってみたくないの?」


「イヤ、そりゃ~会ってみたいよ、でもさ――」


ガチャッ!


「―って、おおおお――――いいぃぃぃっ!!だから何で俺に相談もなく、

お前は勝手な行動をしちゃうんだぁぁぁぁ―――っ!!」


さっきの門番の件といい、今のお姫様の部屋に勝手に入ろうとする件といい、

俺は何故だという思いを乗せた叫声をモカに対して上げてしまう。


「え...誰ですか、そんな大きな声を上げているのは!?」


ライの叫声にビクッとなったお姫様が、驚いた表情で声の聞こえたドアの方に

視線を向ける。


「ヤッホー♪私だよ、お姫様~!」


「あら...?モカ様ではありませんか!」


ドアを開けるとそこには綺麗な服で飾られた...年はモカとそんなに

変わらなそうな女の子が、優雅に紅茶を飲みながら豪華そうな

ソファーに座っていた。



髪型はキラキラ光るロングヘアに、アクア色。

その髪には、綺麗な装飾をあしらったティアラを着飾っている。


そして、瞳の色はこちらもキラキラしたブルーアイだ。


後は...う~む、なるほど......。


そっか...年も見た目もモカとそう変わらないのに、胸の大きさは圧倒的に

お姫様の勝ちなのか...。



「ちょ、ライお兄さん!何ですか、その哀れそうに潤んでいる瞳は!」


「イヤ...何でもない、とにかく頑張れ!自分...応援しますから!」


「何それ!何か応援されたくない気分だな!」


モカは府に落ちなさそうな顔で頬を膨らませ、ライの事をジト目で

睨んでいる。


「あ、あのモカ様、そちらの御仁は一体、どなたなのでしょうか?」


お姫様が警戒をしている表情で、ライの事をモカに聞いてくる。


「ん、このボケッとした顔をしているのは、さっき叫声を荒らげていた

おバカさんで、名前は『ライ・シーカット』...みんなからは

ライって呼ばれているわ!」


さっきのライの態度をまだ許せていないのか、激おこな顔でぞんざいな

紹介をされてしまう。


「ライ...様ですか。いいお名前ですわ。あらイヤだ...!人に聞いておいて

自分の自己紹介がまだでしたね。私はこの城...ダーロット王の次女で、

名前は『リオーナ・ダーロット』...リオと呼んでくださると、とても嬉しいです!」


リオが、お姫様オーラ全開の微笑みでライに自分の事を自己紹介を

してくる。


「え、あ...はい!よろしくです、リオ様!」


「あ、ちなみに...ゴニョゴニョ」


「っ!?...本当ですか」


「信じられませんが、本当らしいです!」


「へえ...あのミルナ様が...」


「ど、どうしましたリオ様、俺の顔に何か...ついてます?」


お姫様がジィィッと見てくるので、俺は何か顔についているではないかと、

自分の顔をペタペタと触る。


「い、いえ!何でもありませんわ!それよりも、せっかく来てくださったの

ですから...お茶でも飲んでごゆっくりとしていって下さいな!」


「さ、流石にそれはマズイって...あ!」


この場を何とか逃げようとする俺の腕に、モカがガッチリとホールド

してくる。


「逃がしませんよ!」


「イヤ...本当に、これは駄目だって......ええっ!?」


俺はモカにホールドされていない方の腕を見るとリオ様が、ガッチリと

腕をホールドしていた。


「はにゃっ!?」


リオ様がギュッとしがみつくので、腕に伝わってくるオッパイの感触が

俺の力を抜いてしまう。


「ムム、ライお兄さん!」


「はうっ!?」


モカも負けじと、俺の腕をギュッと抱き締める。


おお!これは中々...柔らかい!


二つの腕に伝わってくる至高の感触に抗える訳もなく、俺の力は完全に

抜け落ち、そのまま引きずられ部屋に運ばれた。


「さ、このソファーにお座りになって下さい」


「じゃ、え、遠慮なく...」


俺はリオ様に言われるまま、素直にソファーに座った。


「それじゃ、私も座ろっと♪」


そう言うとモカは、俺の隣にバフッと音をさせてソファーに座る。


「お、おい!なんでそんなに近くに座る?」


「別にいいじゃん。それより、ライお兄さん!このお菓子...とっても

美味しいよ♪」


モカはテーブルに置いてあるキレイな色をしたお菓子に頬を緩めて、

舌鼓を打っている。


「そっか、どれ...俺も食べてみようかな?」


「じゃ、私が食べさせてあげるよ!ハイッ!ア―――ンッ!」


「い、いいよ...自分で食べられるってっ!」


「手でアーンは嫌か...じゃあ、これはなら、どう......ん...!」


「ちょ!何をやってんの、モカさんっ!?」


モカのアーンを照れて拒否すると、今度はクッキーを自分の口に加え、

俺の顔にゆっくりと近づけてくる...。


「ごく...じゃあ、頂きます...ってなるかぁぁっ!」


「アイタッ!」


ライに近づけた顔の頭上から、モカは思いっきりチョップをされてしまう。


ふ..スマンなモカさん...。本当はその冗談に乗って、逆にあたふたする姿を

見たかったのだが......


凝視されているのだよ...!先程から俺とモカの行動を目を見開いて、

ジイイィィッと見ている......


......リオ様にねっ!


そんなリオ様の態度に俺が困惑していると、この部屋のドアをノックする音が

聞こえてくる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ