三十八話・ヒールプリーズ!
「ライ!ヒール!ヒールプリーズ!お礼にパンツ見せてあげるから!」
「イヤ...見せまくりじゃねえか...!」
パンツ丸見えで、のたうち回っているモカに俺は少し呆れた表情で、
溜め息を吐く様に述べる。
「じゃあ!前金を払ったって事で、ヒールプリーズ!」
「そういうんじゃないんだ...モカ。そんな丸出しパンツを見ても、
俺の心がときめかないんだよ...スマン!」
「イヤ...スマンじゃなく、助けてあげなよ...!」
ライの頭をポンッと軽く叩き、ロザリーは苦笑しながら
そう呟いた。
「はは...冗談だって♪待ってろモカ、今ヒールをかけてやるから...
...って、コラ!暴れるなって!」
「だって!痛くてジッとなんて、していられないだもん!」
ヒールをかける為にモカへ近寄ろうとするが、痛みのせいで
のたうち回っているので、魔法に集中できない。
「ハア、しょうがないなぁ...これでどうだ?」
「にゃにゃにぃっ!?」
ライはその場に座って胡座をかき、暴れるモカを後ろから
グッと抱き寄せて、自分の胡座の上にチョンと、モカを抱き乗せる。
「ほら...痛くないようするから、少し我慢しような...」
「うにゃ!?」
ライは痛みを和らげるため、モカの頭を優しく何度も撫でる。
撫でられる度に、モカはどんどん大人しくなっていくが、
それと同時に、表情の方も真っ赤に染まっていく。
「よし、今だ!」
『癒しの光!ヒールッ!』
モカの頭に乗せた俺の手から出てくる癒しの光波動が、その痛みを
どんどん治していく...。
「ふう...これで、よしっと♪
どうだモカ、もう痛みはないと思うが...?」
「......」
「おい、聞いているのか?」
「はにゃ!聞いてる、聞いてるよ...あはは!」
モカは恍惚な表情でボーッとしていたが、ライの叫声で我に返り、
ニガ笑いで誤魔化した。
「それでどうなんだ?まだ、痛みはあるのか?」
「え、あ!イヤ...そう言えば、まだちょっと痛いかも?」
ライの問いにまだ痛みが取れませんと、そうモカは答える。
「まだ痛い?ヒール一回じゃ、足りなかったのかな?んじゃ、もう一度
ヒールをかけ......ん、どうした?」
「大丈夫、ヒールをかける程じゃないから、少し頭を撫でてくれれば
この痛みも引くと思うんだ?」
ヒールの詠唱をしようとするライの手を、モカはギュッと握り、
その握った手を自分の頭の上にそっと乗せて、頭を撫でてとお願いする。
「撫でるだけで、本当にいいのか?」
「うん、大丈夫。だって、手を当てると書いて手当てっていうのよ。
だったらさ、痛い所に手を当てながら撫でてやれば少しの痛みくらいなら、
取れると思うんだ...!」
「なるほど、確かに...じゃ、撫でるぞ、いいか?」
「うん、いつでもいいわ......はうっ!ちょっとライお兄さん!
いきなりは......はにゃんっ!」
ライは、モカの準備を待たず、速攻で頭を撫で始める。
「どうだ?痛みは減っていっているか?」
「まだ...ん...後、もうちょっと、だから頑張っ...はひゃ...て、撫でて...
ようぅう...!」
ライの強弱の効いた頭撫でに、モカは言葉にできない吐息が、次々と
出てきてとまらない。
「本当に大丈夫なのか、何か撫でる度に息が乱れているが?」
「大丈夫です。ほれ、前金はさっきたっぷり払ったんですから、
キビキビ私の頭を、撫でくり回しなさい♪」
「へいへい...。では、続きをやらせてもらいますよ、お嬢様♪」
「うむ、善きに計ら―――――――ッ!?」
「「いい加減にしろっ!!」」
モカを突然、ロザリーとメイリが蹴り飛ばす。
蹴られた瞬間、消えたと思ったら壁の方から轟音が鳴り響き、
壁にモカが、めり込んでいた。
「ちょ!モカさ―――――んッ!?」
「全く、黙って聞いていれば、調子のいい事を言ってイチャイチャ
しやがって!」
「そうですよ!あんな抱き方をされながら、ライに頭を撫でて
もらえるなんて...」
一人は、怨嗟の念がこもった言葉を吐き、もう一人はモカに対し、
羨み顔をしている。
「何を、そんなに怒っているんだ二人とも?それにモカの治療は
ロザリーがやってあげればって言ったんだぞ!」
「う...確かに言いましたけど...」
「それに今の抱きつきだって、さっきのロザリーがやった事の真似事だし...」
「ええ、ええ!言いましたし、抱きつきもしましたよっ!でもさ、モカだけに
イチャイチャするのは、何か違うと思うんですけど?」
ロザリーは最早、理不尽とも思える逆ギレ反論を返して、ライを説教する。
「イチャイチャって...俺はただ、治療をして...」
「「あれのどこが治療なのよ!」」
二人は見事なシンクロで、ライの言葉を否定する。
「はは...二人ともそんなに怒るなって...せっかくの可愛い顔が台無しだぞ?」
「はうっ!か、可愛い!?」
「も、もう!そ、そんな言葉じゃ誤魔化されませんよ!」
ロザリーは頬を紅に染め、メイリはこんな事を言っているが満更でもない
表情をしている。
「ええ~そんな気は全然ないぞ!何故なら、俺は本音で生きる男だ!
だから、ロザリーもメイリも可愛いですぞっ!」
「ななっ!そんな事を言われた事ないから、そんなハッキリ言われ...ボンッ!」
「ちょ、直球で来られると流石に私も効きま...ハウニャッ!」
ロザリーとメイリは、ライの言葉に顔を真っ赤に染め、体をくねくねと
動かしながら、恍惚な表情を浮かべている。
「あ、あの...イチャイチャしている所、スイマセンけど...は、早く...
私に、ヒールプリー......ガクッ!」
LV50台二人に蹴りを入れられ、重傷状態で倒れているモカがナワナワと
手を差し出しヒールを求めるも、願い叶わずに力尽きる。
その数分後...俺は気絶しているモカに気づき、即効でハイヒールを
かけるのであった...。




