表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/98

三十二話・無駄に大きな新品さん


「こちらのギルド銀行カードに、報酬の方を入れておきました!

それでは、どうぞお受け取り下さい!」



ライは受付嬢からギルド銀行カードを手渡され受け取る。


「おお、この中にお金が溜まっていくのか!」


受け取ったギルド銀行カードを、表や裏にと何度も凝視すると、

心が何とも言えない不思議な感覚になり、思わず笑みが口から洩れる。


「あ、そうだ!メイリの分け前をスッカリ忘れていたよ!

あの~これ、どうやってお金を下ろすんですか?」


「あそこを見て下さい。箱みたいな物がありますでしょう?」


「あそこ...箱...あ!あの鉄の箱ですか?」


「はいそうです!あれは『ギルド銀行硬貨箱』と言いまして、まず最初に

ギルドカードを箱に差し込んで、次にギルド銀行カードを同じく差し込みます。


そして、下ろしたい金額のボタンを打ち込みますと、その金額の硬貨が

取り出し口という所から出てくるという仕組みです!」


受付嬢はライの質問に、優しく丁寧に説明してくれた。


「なるほど...ありがとうございます!じゃ、メイリ!

ちょっと、お金を下ろしに行ってくるね!」


「待ってライ、私は報酬の分け前は別にいりませんよ!」


お金を下ろそうとするライの動きをとめて、メイリは報酬は

いらないと述べる。


「イヤ、そういう訳にはいかないって!

俺も冒険者の端くれ...クエストの分け前はキチンとしておかなきゃ!」


「ライ...そうですね、冒険者暗黙のルールってやつですね。

はい、わかりました!それでは遠慮なく、報酬の分け前...頂きます!」


メイリは冒険者暗黙のルールの事をふと思い出し、素直に報酬を

貰う事を了解した。


「うん、それでいい...んじゃ、今度こそお金を下ろしてくるね!」


俺はそうメイリに告げるとギルド銀行箱に早足で向かい、

受付嬢の言った通りに操作してお金を下ろしてきた。


「はいこれ、メイリの分け前だよ!」


「金貨、五枚、大銀貨一枚...確かに受け取りました!」


メイリは、受け取った報酬をポーチみたいな入れ物にしまい込んだ。


「さて、思ったより時間が余ってしまいましたね?」


「そうだね...屋敷に帰る時間になるまで、後3時間くらい...か?」


メイリに時間の事を言われて、ギルドの壁にかかっている時計に目線を向けて

時間を確認しすると、屋敷に帰るにはまだ早い時間だった。


「さて...結構な時間の長さだけど、どうしようか?」


「そうですね...それじゃ、これから帰る時間まで私と一緒......ハウッ!」


「エヘヘ...そんなに時間が余ってるなら、私に付き合えやぁぁ~~っ!」


突如、後ろから誰かにメイリが抱きつかれ、抱きついた人物が下卑た声で叫ぶ。

その抱きついてきた人物をよく見ると、クナと呼ばれていた女性だった。


「ちょっと、クナ~ッ!いきなり後ろから...抱きつかないでっ!

アンッ!こ、こら!どこを触っているんですかっ!」


「どこをって...乳だよ、乳!この無駄に大きいなオッパイさんだよ!」


クナがその言葉に合わせ、メイリの胸を掴んだ指を巧みに動かす。


「む、無駄に大きいって、失礼なっ!」


「だってよ...異性に揉まれた事がないんだろ?二十代前半の女がよ~

なぁ~もうすぐ適齢期が終わるメイリさん~♪」


「何の適齢期が終わりだぁぁ――っ!」


憤怒するメイリを軽くスルーし、クナは嫌味のこもった言葉を発しながら、

楽しそうにゲラゲラと笑っている。


「あ~っ!でもまあ、オッパイの方は何とかなりそうか...?

なあ、ライとやら♪」


「ハッ!喜んでっ!」


俺はクナさんの言葉に見事な敬礼をして、清々しい笑顔でそう答えた。


「え、それはありがと...って、こら!何を言わせるんですか!

それにこの匂い...クナ、あなた酔っているでしょう!」


「じぇ~んじぇん、酔ってませ~ん♪ハアア~ァァァ~!」


「うぷっ!?こんなにアルコール臭くて、何が酔ってませんよ...ゲホッゲホッ!」


メイリはクナに思い切り、アルコール臭い息を吹き掛けられる。


「ガハハハハ!さあ~ライとやら!今の内だ!未だ異性に触れられた事のない、

この無駄に新品なオッパイに...

初めてという名の異性もみもみアタックを与えてあげなさいなっ!」


クナは完全に酔っぱらいモードに突入しており、恐らく自分でも

何を口走っているのかわかっていない叫声を上げている。


「新品オッパイ...に...もみもみアタック...だと...!」


「新品オッパイ」と「異性もみもみアタック」いう響きに何だか感涙してしまい、

この二つの言葉が俺の頭の中で、何度も何度も繰り返し流れている。


「ガハハハハ!どうした、ライとやら!何をボケッと突っ立っている?

ほら、メイリの新品オッパイさんが待っているぞぉぉ~♪」


「キャッ!ちょ...クナ...そんな...に強く...揉まない...でよ!」


クナは下卑た笑い声を上げ、ライを挑発するかの如くメイリのオッパイを

グニグニと揉みしだいでいる。


『この...いい加減にしないっ!アイスゥゥ・ロォォォ―――クッ!!』


「ッ――――――ッ!?」


メイリが魔法を詠唱した瞬間、クナの体が一瞬でカチコチに凍りついた。


「全く...この娘は...。ふう、しょうがない...スイマセン、私はクナを

開放しておきますので、ライは3時間...どこかで時間を潰してきて下さい」


「うん...わかった...」


「ん...?どうかしましたか?何か顔色が優れないような...?」


「そ、そんな事ありませんよ!気のせいです、はい!」


「それなら、いいのですが...?」


「じゃ、俺は町に繰り出して来ますね!」


俺はそう言うが早くギルドの外に向かって脱兎の如き

ダッシュで出て行った。






俺は走りながら心の中で、『新品オッパイ、異性もみもみアタック』の件は?

...っと、何度も何度も呟き続けていた......。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ