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三十一話・悪夢よ...再び...


「まあ、MP200なんてそんな先の話より、今はこのLVアップで取得した

ポイントをどうするかだよ♪」


そう...さっき倒したダークキャットのおかげで何と!LVが3も上がったのだ!

このポイントをMPに持っていけたら、もっと嬉しかったんだがなぁ...。


HP、MP......この生命のポイントは、LVが上がった時の自動アップでしか

上がらない(一時のブースト、数値上昇アイテムは除く)。


「前回はロザリーのせいで、LV3つ分のポイントを幸運に

全降りしちゃったからなぁ...。今度こそは、力とかに振り分けるぞ~!」


俺はそう意気込み、ポイントを振る為にステータスカードに

指を置こうとしたその瞬間、

後ろの方から、メイリの声が突如と聞こえてきた。


「あ!ライ、危ないっ!」


「えっ!?」


声がしたと思ったら、既に俺はメイリに突き飛ばされていて、

前方へ思いっきり、ゴロゴロと転がって行く。


『ハアァァッ!コールド・エッジィィッ!』


グキャアアアアアアアッ!!


メイリが魔法を詠唱して氷の刃を無数に飛ばすと、ライに火炎攻撃をしてきた

ダークキャットとその火炎を、纏めて一緒に切り刻む!


「ふう、いきなり襲うなんて油断も隙もないな...!」


「イテテ...!それはメイリ、お前もだぞ...!」


メイリに対し、転んだままの状態で軽くたしなめる。


「はは...ゴメンね、ライ!いきなりダークキャットが襲って来たから

言葉をかけるヒマもなかったのよ!」


「それにしても、いきなり飛ばさなくてさぁ―――キャアッ!?」


「ど、どうしたの!そんな奇声を叫んで!?」


いきなり発したその叫声にメイリは驚いて、直ぐ様ライの元に

素早く駆け寄って行く。


「はは...また、全ポイントを幸運に振っちゃった...!」


俺は幸運に振ったポイントなのに『悪夢よ...再び...』と心の中で呟くと、

ホロっと涙が落ちそうな瞳で、全降りしたポイント数を遠くを見る様な目で、

静かにジッと眺めていた...。


「ご、ごめんなさい!本当にごめんなさい~!」


メイリがライのその姿を見て、必死になって謝り倒している。


「はは...気にしない、気にしない。次のLVアップに期待するからさ!」


メイリを気遣いながら微笑みを浮かべ、困惑の溜め息が出そうなのを我慢する。


「それに...今のダークキャットを退治した事でLVがまた一つ上がったから

ポイントゲットしたし、剣義もなんか1つ覚えたみたいだしな!」


本当なら、お詫びにオッパイ揉ませろ~とメイリに冗談を言って、

からかってやりたかったのだが...この空気感じゃ、本気にしそうな感じなので、

流石にやめる事にした。


「ありがとうライ!そう言ってもらえると嘘でも助かります!」


ライがそんな事を考えているとは露知らず、メイリは、安堵の表情で

胸を撫で下ろしている。そして、その瞳がウルッてしていた。


うん...言わなくて大正解だった!


涙が溜まっているメイリの瞳を見て、俺も安堵の表情で

胸を撫で下ろしていた。


このやり取りの後、俺は手に入れたポイントをバランスよく振り分け、

次のダークキャットとの戦闘に入る。


「さて...やりたかった魔法の試し打ちはできないし...しょうがない、

さっき覚えた剣義の熟練値でも上げるとするか...」


「上げるかって、大丈夫なのですか?もし一撃でも攻撃をくらえば、

ライのLVじゃ、瀕死は必至ですよ?」


「大丈夫だよメイリ!この剣義は斬撃だから、遠くからでも

バシバシっと、撃てちゃうのだよ!」


「遠距離攻撃系の剣義なのか...。それなら、大丈夫みたいですね!

それじゃ...次のダークキャットを探しましょうか!」


「おう!」


こうして、新しく覚えた剣義を試す為に、ダークキャットを探しに

俺達は次の場所に移動する。



――――――――――




『これを食らえぇぇっ!弧月ゥゥゥ斬―――ッ!!』


グキャアアアアアアアアァァァッ!!


「よっしゃ~!これでクエスト達成だぜっ!」


メイリのサポートもあり、何とか無事に討伐数のダークキャットを退治した俺は、

拳をギュウッと握り、その拳を上に突き出した。


「さて...クエストも達成した事ですし、もうギルドに報告に帰りますか?

それとも、ダークキャット討伐数を増やして報酬額を増やしますか?」


「うん...そうだね、報酬額アップも魅力的だけど...でも時間も

結構経っているし、ここで切り上げてそろそろ帰ろうか?」


本気なら、メイリがいる今がLVアップ等のチャンスなのだが、

俺の地の面倒くさがりの性分がイヤだと拒否をする。


「わかりました。それでは報告にダーロットに戻りましょうか!」


クエスト達成したライとメイリは、取り敢えずダーロットに戻る事にした。



――――――――――



「あ、お帰りなさいませ、メイリさん!」


「はい。ただいま帰りました」


「見た所...ご無事な様でひと安心です!」


門番の兵士達が、メイリに出迎えの挨拶をしている。


...っていうか、俺にもしろよ!


門番の兵士達と挨拶を交わした(メイリが)後、しばらく歩いて行くと

ギルド出入口前に到着し、俺達はギルド中に入っていく。



「......確かに、クエスト達成確認しました。それでこの報酬の方は

ギルド銀行に入れて置きますか、それとも手元に?」


「ギルド銀行?」


俺は初めて聞くその単語にハテナ顔になる。


「え、ライ...あなた、ギルド銀行の事を知らないの?」


「う、うん...初めて聞いたよ」


「おかしいですね?どこのギルドにも銀行システムは

あるはずなのですが...?」


受付嬢が、不思議そうな顔でこちらを見てきた後、机の下から

ゴソゴソと何かを取り出してライに見せる。


「そういう感じのカードを持ってませんか?」


そう言って受付嬢は、何かのカードらしき物を見せてきた。


「ああ!それ...確か、あいつらが持ってたやつ!」


そうそう...クエスト達成後、あいつらが屈託のない笑顔で

よく見ていたカードだ!


「それが、ギルド銀行カードとかいうやつですか?」


「はい。これがそうですよ」


そっか...道理であいつら、いつも手元に金がなかった訳だ。

そして、それを内緒にして俺に奢らせていたのか...!


「おのれ―っ!その幼馴染み共め――ッ!!」


そのせいでいつもジリ貧状態になっていたのを思い出し、

俺は怨嗟の念を、口から思いっきり叫喚する。


「そ、それでどうしますか?銀行カード...お作りしますか?」


ライの叫喚にビックリした受付嬢だったが、すぐに気を取り直し

俺にカードを作るか聞いてくる。


「取り敢えず、作ってみれば?あると便利だよ。特にこの王都では!」


「ふ~んそっか...。じゃ、お願いします!」


俺はメイリの便利だよの言葉を聞き、銀行カードを作る事にした。


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