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二十七話・ライとメイド長



俺はメイド長と一緒に屋敷を出て、現在ギルドに来ている...。



せっかく魔物退治をするんだから、クエストをした方が報酬も貰えるし、

効率がいいのではという、メイド長の案に俺が乗ったからだ。


「流石、王都のクエストは色々ありますね~!」


「ほら、ライ様!このクエストの依頼表を、見てください!

報酬の額が、まぁまぁいい感じじゃないでしょうか?」


「うわっ!」


クエストの依頼表をジックリ品定めしている俺の腕に、

突如、至福の感触が襲いかかってきた。


「どうしたんです、ライ様?そんな奇妙な声をお上げになられて?」


「イヤ...メイド長のオッパ......が、腕に...!」


オッパイが当たるってLVじゃない!

最早、二つの巨山の谷に腕が埋まるって感じだ!


「ライ様って、意外に照れ屋さんなのですね。

腕を組まれたくらいで、顔を真っ赤にしてそんなに慌てるだなんて!」


ライの真っ赤な顔を見て、メイド長がクスクスと微笑んでいる。


「もうメイド長、笑わないで下さいよ~!」


「ふふ...スイマセン、つい頬が緩んでしまって!」


だって、メイド長...それはしょうがないんですよ!

何故なら、そのオッパイに照れない男なんぞいないんですからっ!


俺は思わず、この叫びが口から出てきそうなくらい、

心の中で叫喚する。


「所で...ライ様...。ライ様に...その...お願いがあるんですけど、

いいで...しょうか?」


「俺にお願い?それは一体、なんですか?」


突然とお願いしてくるメイド長に俺はハテナ顔になるが、

取り敢えず、そのお願いを聞いてみる。


「私の事を、その...メイド長と呼ばないで、な、名前で呼んで

下さいませんか?」


メイド長は恥ずかしいのか、顔を少し赤くして切望してくる。


「え、名前でですか?それくらい別に構いませんよ」


「本当ですか...良かった、嬉しいです!

では、こほん......」


良い返事を貰ったメイド長は、相好を崩した顔で喜ぶと、

軽く咳払いをして、ライに自己紹介をしてくる。


「改めてまして、私の名前は『メイリ・ナビソール』と言います。

メイリって、呼んで下さいね、ライ様!」


「はい!わかりました、メイリさん!」


俺はメイリさんの紹介に微笑み、言葉を交わす。


でもメイリさんか...

俺はメイリさんを改めてよく観察する...。



髪色はロイヤルパープル色で、

瞳の色はキレイな黒真珠の様な色をしている。


メイリさんの普段の髪型は、腰まで長い髪を

二本の三つ編み状にしたものを頭に巻く様に纏めあげ、

いかにもメイド長って雰囲気なのだが...

今日はクエストの為に、その三つ編みを一本のお下げにしている。


そのせいか、普段は大人っぽいメイリさんなのだが、

結構、可愛いって感じになっている。


おっと、オッパイの事を忘れていた!

メイリさんのオッパイの大きさは、さっきも言ったが...


「当たるじゃない!最早...埋まるだっ!」


「え、何が埋るんですか?」


「な、何でもありません!気にしないで下さいっ!

ちょっと、独り言を言っただけですから...あはは」


「独り言を...ですか?何か、妙に気になりますけど...まあ、いいでしょう」


迂闊にも口から洩れた心の本音に、メイリさんが問うてくるので、

ライはニガ笑いを浮かべ、うまく言い訳をして誤魔化した。


「そ、それより、あの...ライ様...。ついでに...もうひとつだけ、

お願いをしても...いいでしょうか?」


メイリさんは急にモジモジとしながら、ライについでのお願いを

切望してくる。


「もうひとつお願いを?それは一体、どんなお願いですか?」


「その...名前に...さんって、いうのを付けずに...ですね、

ロザリーさん達みたいに、呼び捨てで...呼んで下さいませんか?」


「え、呼び捨てにですか?イヤ~流石にメイリさんに対して、

呼び捨ては...ちょっと、気まずいと言いますか...何て言いますか...」


「ええぇぇ――!気まずいって、それは私が年上だからでしょうかっ!」


「そ、そうです...ね、そんな感じの理由です...だからその...スイマセン!」


何でっと、言わんばかりの叫声を上げるメイリさんだが、

流石の俺も、年上の女性を呼び捨てで呼ぶのは、

少し抵抗があるので、理由を言ってやんわりとお断りをいれる。


「ムム...いいんですか?呼び捨てで呼んでくれないと、今日の魔法の試し打ち...

お手伝いしてあげませんよ~?」


メイリさんは頬を膨らませ、ジト目でライに訴えかける。


「うう...わかりました、わかりましたよ!そんな可愛い顔で言われたら、

断れる訳ないじゃないですか!」


「え、可愛い!コラ!また大人をからかって~!」


メイリさんは顔からボンッと音が出そうなくらい、

顔中が真っ赤に染まっている。


「からかって、いないんだけどなぁ~」


その真っ赤になっているメイリさんに見て、

俺は、聞こえないくらいの声で、静かにそっとこう呟く。


でも本当、今日のメイリさん...すっごく可愛い反応ばかりするな~。

最早、あの鬼メイドの面影が微塵もないよね...。


しかしメイリさんといい...アーミカ達といい...

この屋敷のメイドさんって、呼び捨てに何かこだわりでもあるのかな?


俺は心の中で、この間のアーミカやミミの事を思い出して、

ふと疑問に思った。


まあ...でも、そんな事どうでもいいか!

そのおかげでメイドさん達の可愛い笑顔が見れた訳だし!


俺は自分の疑問に、自分の答えで納得した。


「はは...じゃ、メイリ!今日1日...俺のサポートよろしくね!」


「はい、ライ様!こちらこそ、宜しくお願いしますね!」


「...って、コラコラ!メイリも俺の名前から、様を取って、

呼び捨てで呼ばなきゃ!」


「え!しかし、お客様を呼び捨てには、流石に...」


アーミカと一緒の事を言ってるな...。

しかし今度こそ、呼び捨て呼びに勝利するぞ!


「そっか...お客様かぁ...。

メイリの中では、俺はその程度の地位なんだね...

ハア、寂しいなあ...」


「い、イエイエ!そんな事はありません!

今のライ様の地位は、ズバ抜けて上の方ですよ!」


よし、揺さぶりに乗ってきた...それにしてもズバ抜けてか...

ちょっと...イヤ、かなり嬉しいな!

でもだったら、意地でも呼んでもらいますからね!


「それならさ...チラ...俺もメイリって...チラ...呼んでるのなぁ...チラ...」


俺は捨てられた子犬の様なうるうるした瞳で、

メイリの顔をチラチラと見続ける。


「わ、わかりました!ライッ!これで宜しいでしょうか!」


「よろしいですよ!」


しつこい程のうるうる視線攻撃に、とうとう根負けしたメイリは、

俺の事を呼び捨てで呼んできた。


よっしゃ!今度は勝ったぞー呼び捨て成功だぁーっ!

俺は心の中で雄叫びを上げ歓喜した。



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