表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/98

二十五話・謎の魔法書


掘り出し物市場から帰って来て、数時間が経った夜...。



「う~む、わからん!」


「何がわからないの?」


「この魔法書の事だよ...」


俺は魔法書を開いて中を凝視するが、書いてある事が

全くわからなかった。


「ああ、それか......。

確か、あの乳オバケの店で買ったっていう魔法書だよね...?」


「ちょ!何で、それを知っているの!」


モカに、魔法書をどこで購入したのか、

もろバレだった事実に、俺は目を丸くして驚く。


「何でって、アーミカさんから聞いたんだよ♪」


「はは...あの娘、おしゃべり好きだからなぁ、

今日の事は、色々とバッチリ聞かせてもらったよ!」


モカとロザリーは、あっさりと情報の発信者をバラす。


「やっぱりアーミカか!あいつ、口が軽そうだもんな...はあ」


まあ、そうだろうな~と、心で納得はしたが

俺の表情は少し呆れ顔になり、嘆息を軽く吐いた。


「...で、この魔法書の文字を読む方法ってあるのか?」


「あるよ...というか、魔法書は文字を読むとかじゃなくて、

心で感じるんだよ!」


「は?感じる...?全然、意味がわからん...」


俺はモカの言っている意味が理解できず、

表情がハテナ顔になる。


「そうだね、口で言うより実行した方が早いか...。

ライ、その魔法書をおでこにくっつけてみてよ?」


「おでこにって......こうか?」


俺はモカに言われた通りに、魔法書をおでこにつける。


「そして、魔法書から何かの念が送ってこられる様な感じを、

頭の中で想像してみて...」


「ムム...こんな感じかな?」


俺はおでこにグッと力を入れ、

魔法書と会話している様なイメージを想像する。


「お、魔法書が光ってる!」


「どう?頭に何か浮かんでこない?」


「んん~。そう言われれば、文字みたいのが浮かんで見える...!」


モカが言う様に、頭の中に何かの文字が浮かんで見えている。


「文字が浮かんだみたいだね。おめでとう!

その魔法書の魔法は、無事にライのモノになったよ!」


「え...マジ?、これだけで覚えたの?」


余りの簡単さに俺は思わず、嘘でしょ?と

言う顔をしてしまう。


「うん。さっきも言ったけど、魔法書って...読む物じゃなく

そうやって、頭に感じるものなんだよ!」


「へえ…あ!ま、魔法書の色が!」


魔法書の色が、役目を終えたと言わんばかりに、

モノクロ色に変わっていく。


「そりゃ当然よ。魔法書は、一回こっきりの

消費アイテムだもの!」


ま、考えればそうだ。もし永久に使えたら、

レアモノ魔法書1つで、一生稼いでいけるだろうしな...。


「それでライ!一体、どんな魔法を覚えたの?」


「どんなって?えーと、確か名前は...

『マキシック・ブリッカー』だったかな?」


「マキシック・ブリッカー?そんな魔法、知らないな...」


「私も全く、聞いた事がない魔法だよ!」


「二人にもわからない魔法なのか...これ?」


ロザリーとモカは、俺の覚えた魔法の事を、

知らないし、聞いた事もないらしい。


「意外に神級魔法だったりして♪」


「ないない、だってあのインキチ全開の

乳オバケの店だよ!」


「だよね~。私も呪い系だと思ったもん♪」


「ちょい待てぇぇぇ~いっ!

お前、この魔法書が呪いの魔法かもしれないのに、

俺に魔法書を使わせたっていうのか!?」


モカの口から出た驚愕の事実に、

俺は身を乗り出し、唾が飛ぶ勢いで叫喚する。


「え...!あはは...いいじゃん!結果違ったんだしさ♪」


「笑って誤魔化すんじゃない!罰としてそのオッパイをも......!?

イヤ...な、何でもない...許すよ...」


「おい!今、何を言いかけてやめ、それで許した!」


モカは、明らかに自分の胸にライの視線が向けられ、

許しの言葉を吐いたのがわかり、顔を真っ赤にして憤怒する。


「まあまあ、落ち着きなさいって、ほら...どうどう!」


「私は馬じゃない~!それに...

それをタユンタユンさせて言うんじゃない!」


「キャッ!ちょっと!どこを掴んで...

...って、イタタタタァァァッ!?」


モカは叫喚し、ロザリーのオッパイを鷲掴み、

思いっきり捻り上げる。


「ハア...まったく、何やってるんだお前達...」


「「元々は、ライのせいでしょうが!!」」


ライの呟いた呆れ言葉に、部屋中に響く様な声で

二人がシンクロさせて叫喚する。



そんなやり取りが続いた夜も明け、

次の日の朝が来る...。



「ロザリーさん、モカさん...

私、昨日も言いましたよね!淑女たる者が、

男性の部屋にお泊まりするなど...言語道断だと!」


「ハイ!確かに言いました...」


「それなら何故、またライ様の部屋にお泊まりを?」


「そ...それは、ライの事が好きだから...かな?」


「右に同じく...」


「好きになったって...貴女達、ライ様とは出会って、

まだ2日足らずでしょうに...」


「チチチッ時間なんて関係ないよ、好きになるのはさ!」 


「そうだよ!あ、でもロザリーお姉さんは行き遅れで

焦ってるだけかも知れないけどさ~!」


「おい、モカ!誰が行き遅れじゃい!

私は十代だと、いつも言っているだろうがぁっ!

行き遅れなんて言葉はなぁ!メイド長みたいな者を

差して言うんじゃっ!」


モカの発言にロザリーは憤怒で叫び、メイド長を指差し

思わず本音を絶叫する。


「ほう...ロザリーさん。今、何と言いました...?」


その絶叫を聞いたメイド長の体から、どす黒いオーラが

噴き出している。


「イヤ...その...口が滑ったと言いましょうか...

本音が出ちゃったと言い――――ハウッ!?」


必死の言い訳が終わる前に、ロザリーは顔を思いっきりと

鷲掴みにされ、持ち上げられる。


「もう、馬鹿だな~ロザリーお姉さん、そんな事を言――――ナウッ!?」


モカが、もう一つの手で鷲掴みにされ、

持ち上げられる。


「モカさん。貴女も同罪です...よっ!!」


「「アイタタタタタタタタタタタタタタタッ!!!」」


メイド長は力のある限り、

全開でロザリーとモカの顔を鷲掴みにして握り潰そうとする。


そんな地獄の様な時間は、ロザリーとモカが気絶するまで

ずっと、続いたそうだ...。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ