二十二話・番外編1 幼馴染み
私は、不思議な少年コウガとあの森で出会った...。
幼馴染みの男の子とは少し違う、大人な表情を見せるその少年は、
微笑む姿も爽やかで、こちらもつい頬が緩んでしまう。
その爽やか少年コウガが、私に頼み事をしてきた...。
勿論、私は速攻でその頼み事...LV上げを心良く引き受けた。
しばらく、その少年と談笑をしていると、
両親が、何かが入った皮袋とメモ書きを持ってくる。
皮袋には硬貨が入っており、クエストの分け前だと気付く。
そしてメモ書きには、幼馴染みが書いた二つの短い文が書いてあった、
「クエストの分け前、アルテとわけて」と書いた文と、
「二人とも頑張れ!」と書かれた文だ。
「頑張れって、何を?」
私はこの頑張れの意味がわからず、
しばらく考えてみたが、やはりわからず
結局、今日は考えるのをやめた。
「明日の朝、あいつに直接聞けばいいか...」
私はこの結論に至り、眠りに入った。
そして夜が明け、今日の朝がきた......。
「ふはぁ~!良く寝たぁ~っ!
さてっと、今日の予定の用意でもするか...」
私は布団から出て今日の予定、コウガのLV上げの為、
色々と準備をする。
「じゃ、行ってきます~すっ!」
両親達に、元気な声でお出かけの挨拶をし、
私はドアを開け、外に出る。
「おはよ~!リィーナお姉ちゃん!」
私にお日様の様な笑顔で挨拶をしてくる
もう一人の幼馴染み、アルテが出迎えに来ていた。
「うん。おはよう!
アルテは、今日も元気だね~!」
「当たり前ですです。
これが、私のいい所なんですから♪」
アルテは、両手をブンブンと振って
元気なアピールをしてくる。
「それじゃ、ライお兄ちゃんを
起こしに行きましょう、ましょう!」
「そうだね、アルテ!
あの寝坊すけ幼馴染みさんを、
ちゃっちゃと起こしに行きましょうか!」
二人で少し談笑した後、私達二人は寝坊助幼馴染み...
ライを起こしに行く為に、あいつの家へと足を向け歩いて行く。
「さっさと、ライの奴を叩き起こして
昨日、あいつが残していったメモ書きの意味を聞かなきゃ!」
「お姉ちゃん?今なにか、言いました?」
「ううん、何でもない。ただの独り言...はは!」
アルテが私の呟きに問いかけてきたので、ニガ笑いをしながら、
独り言だと誤魔化した。
そんなやり取りの後から、数十分後、
私達はライの家の前に到着する。
「さて...どうせライの奴、
今日もグースカと眠りに入ってるんだろうな...」
「んじゃ、リィーナお姉ちゃん!
ライお兄ちゃん起こし...お任せしました!」
「あいよ!今日も叩き起こしてやるわ!」
小さい頃からの日課、「幼馴染みを叩き起こす」を実行する為、
今日もライの家のドアノブを回す。
「おっはよ~!今日もライの奴を叩き起こしに来ました~!」
シィ――――――ン
私の事をいつも元気良く迎えてくれる、
ライの妹...シスちゃんの声が今日は聞こえてこない。
「あれ?シスちゃんいないの...?」
取り敢えず私は、家の中に入っていき
シスちゃんがいつもコーヒーを飲んでいる部屋を覗いて見る。
「やっぱり、シスちゃんがいない?
もしかしたらまだ、寝ちゃってるのかな?
もし、そうならついでに起こしてあげるか......」
そう心で思い、私は階段を上がって行く。
二階に上がり少し歩くと、ライの部屋前に辿り着く。
「おっと、部屋に入る前に......」
私は髪がちゃんと纏まっているか、服の乱れてがないか、
自分チェックを始める。
「うん、大丈夫みたいだね...よし!」
私は、気合いを入れるとドアノブをガチャッと回し、
部屋の中に入っていく。
「お~い!起っきろ~!もうとっくに朝が来ているぞ~!」
「う...ううん、うん...」
「え...!?布団から見えるその髪の色...ライじゃないよね?
その髪色は、確か......シスちゃんっ!?」
何でライのベットにシスちゃんが......?
ハッ!ま、まさか!この二人、禁断の過ちをやらかしたんじゃっ!?
「ちょっとライ!?」
私はその状況にワナワナと震えながらも、
シスちゃんの寝ている布団をガバッと思いっきり剥ぎ取った。
「このバカライがっ!いくらシスちゃんが可愛いからって、
それはやっちゃ駄目な行為なんだよ!
言ってくれれば、私が代わりに......あれ!?」
「く~く~」
「あれ?シスちゃん...一人だけ?」
ベットの中にライがいない事に、私はホッとする。
「でも、何でシスちゃんがライのベットで寝ているの?」
あ...シスちゃんの目元が赤くなってる...?
それに、枕が少し濡れている...これって涙の後?
一体、どういう事...ライのベットにライがいなくて、
代わりにシスちゃんが寝ているし、そのシスちゃんはここで泣いていた...。
とにかく、ここでジッとしていても拉致があかない
泣いていたかもしれないシスちゃんを起こすのは忍びないけど、
起こしてみて事情を聞いてみるか...。
「シスちゃん!シスちゃん!起きてよ、シスちゃんっ!」
私は、ベットで寝ているシスちゃんの体を揺らして
起きる様に急き立てる。
「う、うん...!?あ...リィーナ...さん?」
体を揺らされ、目をゆっくりと開けるシスちゃんの目線が、
私の目線と重なり合う。
「お、おはようシスちゃん...。
起きていきなりでわるいんだけど、聞いていい?
どうして、ライのベットでシスちゃ......!?」
「うわ~~ん!リィーナさ―――んッ!」
質問をしている途中でシスちゃんが
突然、私の胸に泣きながら飛び込んで来た。




