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十九話・二人のメイドさん


あの後メイド長のおかげで、俺は何とかホールド地獄から

無事に抜け出し、朝食を美味しく頂いた。


朝食後、俺は自分の部屋に戻り、ベットに向かってダイビングする。


「ふう...昨日の夜は、本当に色々あって大変だったな...」


俺の部屋に勝手に泊まり込んだロザリーとモカは、

メイド長から朝食抜きで正座を命じられ、

たっぷりと説教をもらっていた。


俺にも説教らしきものがあったのだが、

ロザリー達に気後れしたのがわかっていたのか、

注意程度ですんだ。


ちなみに、あのメイド...アーミカさんは、屋敷全てのトイレ掃除

一週間の罰を受けて、物凄く涙目になっていた。


本当...俺を起こしに来ただけなのに...。

後で、何かお詫びの品でも送って許してもらおう。


「しかし暇だな...。

ロザリーもモカも用事でいないから何もする事がない...」


せっかく王都に来てるんだし、町にでも繰り出してみようかな...。

メイド長におこずかいを貰っている事だし!


善は急げと町に行く許可を貰う為、メイド長を探しに行く。

そして探し回る事、数十分......俺はやっと、メイド長を発見した。


「あ、メイド長!探しましたよ!」


「私をですか?それで、何用でしょうか?」


「町の方に遊びに行きたいので、

今から遊びに行ってもよろしいでしょうか?」


「遊びにですか?ええ、別に構いませんよ。

あ、でも...何かあった時、一人だと色々と大変ですかね...。

ライ様すいません。少しの間、待っていて下さい...」


そう言うとメイド長は、スタスタと奥の方に早足で駆けて行く。



それから、数分後......。



「おっ待たせしました~!メイド長からライ様について行く様に

命じられました、名前はアーミカで~す♪」



この娘は、今朝の巨乳メイドさん。

種族は垂れ下がった耳や尻尾の形が特徴の犬族の獣人。

そして、その犬族に多い童顔な顔立ちをしてる...。


髪色は、深紅色で肩まで伸びるストレートヘア。

俺をキラキラと見てくるその瞳の色は藍色。

身長は俺より少し低い。


だが、ボーンっと出ている胸部のせいで、

身長は低いのに、少し大人っぽく見える...。


「むむ...ライ様の目つきが、何かイヤらしいです~!」


「はは...気のせいですよ、気のせい!」


俺は、アーミカさんのオッパイから素早く目線をずらし、

乾いたニガ笑いでうまく誤魔化した。


「それじゃ!町の案内の方、よろしくお願いします!」


「わかりました!おっ任せ下さい~!それではライ様、

馬車がとまっている場所に今から移動しますので、

私の後をついて来て下さいね!」


アーミカはスキップに近い歩き方で、馬車がとめてある

庭に歩いていく。


アーミカについて行き庭に出ると、そこにはこの間に乗った馬車と

同じタイプの馬車が、俺が来るのを待っていた。


「お任せ~ミミっ!んじゃ早速、

門に向かって出発進行しちゃって下さい~っ!」


「了解だよ、アーミカ!」


アーミカが、馬車を動かす別のメイドにそう伝えると、

馬に手綱をバシッと軽く叩き、馬が門に向かって走り出した。


「なあ、アーミカさん...」


「うう...さん付けされた~!ライ様と私...今朝、あんな事をした仲なのに...

さん付けは少し寂しいですぅ...」


ライのさん付けに、アーミカは瞳がウルウルとなり、

シュンッと頭を垂れる。


「あんな事した仲って、あれは事故みたいなものじゃないですか...!」


「ええ、そんな~!あれを事故で片付けちゃうんですか...ひっどいっ!」


アーミカが憤怒し、ライの顔をジト目でジッと見続ける。


「うう...そのジト目はやめて下さい~!わかった、

わかりましたから!」


「うむ、それでいいんです!」


ライの降参の言葉にアーミカは、

お日様の様な表情で微笑み、うんうんと頷いている。


「ズルいぞアーミカ!何、二人で盛り上がってるの!」


「エヘヘ...羨ましいですか?」


「羨ましいしくなんて...あるわよ!

キイィィッ!今朝、私が起こしに行けば良かったよ!」


アーミカの屈託のない笑顔に、ミミは嫉妬全開の

言葉を投げつける。


「なあ、アーミカ?」


「ハイ!何でしょうかライ様!」


「何で?俺の名前は様付けなんだい?

そっか...あんな事をした仲なのに、アーミカはヒドイ娘だなぁ~」


俺はアーミカにさっきの仕返しといわんばかりに

イタズラっぽい口調でお返しをする。


「なぁっ!?そ、それはメイドとして...

流石にお客様を呼び捨てにはできません!

だ、だから...その...」


「そうなんだ...寂しいな...」


「あわわわ~!せめて...さん付けで勘弁して下さい~!」


俺の悲痛な言葉を聞いたアーミカは、慌てふためき、

あわあわとしながら必死に言い訳をする。


「さん付けか...しょうがない、それで手を打ちますか♪」


俺は、しょうがないフリをして、アーミカの言葉に

相づちを打つ。


「......リア充爆ぜろっ!」


その楽しくも羨ましい会話を、離れた所で聞いていたミミは、

二人に聞こえないくらい、小さな声でそう呟いた。


それから数分して、馬車は門前に辿り着く。


「やっぱ、ここって広いよな...。

屋敷から、この門まで何分かかるんだって感じだよ!」


俺はこの屋敷の広さを、

改めて再確認し、心の底から喫驚する。


「あはは...私も最初は、

ビックリしっぱなしだったよ...」


俺の驚いている姿に、

アーミカがニガ笑いを浮かべて同意する。


「それじゃアーミカ...。今から五時間後に、門前に戻って来るから、

それまでにはあんたもちゃんと、戻っていなさいよ!」


「うん。わかった!

五時間後に、出迎えよろしくね!」


「じゃ、御足労だろうけど、頼むね!

え~と......ミミさんで...いいのかな?」


「あ、あの...ライ様!」


「ん...なんだい?」


「わ、私もアーミカみたいにミミって、

呼び捨てで呼んでもらってもいいですか?」


「え...呼び捨てで、君の事を?」


ミミの頼み事の内容に、俺は少し驚いてしまう。


「...駄目ですか?」


「...条件がある」


「条件?」


「俺の名前も呼び捨て、それが駄目なら、

さん付けで呼ぶ。これが条件!」


頭を垂れるミミに、条件という名の許可を与える。


「はい!ライさ...ん、ありがとうございます!」



アーミカと仲良しのメイド、ミミ...か。

種族は尖った耳とあの細い尻尾が特徴の猫族の獣人。


髪色はマリンブルー色のショートヘア。

よく髪の手入れをしているのか、天使の輪がキレイに輝いている。

猫目の瞳はダークイエロー色。


ノンビリ行動のアーミカに対し、ミミはしっかり者って感じだな。


 

「じゃあ改めて...送ってくれてありがとうミミ!

出迎えの方、よろしく頼むね!」


「わかりました。それではライ様、お気をつけて

いってらっしゃいませ!」


ミミはそう言うと手綱を叩き、屋敷の方へ

早急に帰っていく。


「ライさんって、意外に

スケコマシさんなんですね...?」


「え、何か言ったかい?」


「いいえ、別に何も言ってませんよ~!

そんな事より、時間がなくなっちゃいますから、

さっさと、町に繰り出しましょう!」


アーミカがライの腕を引っ張り、町の方へ

早足で歩いて向かう。


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