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十五話・新たな出会い



この部屋に案内されて、数十分が経った......。



「嗚呼!落ち着かねぇ~何なんだ!この部屋の広さは!」


目に映る部屋の端っこがボンヤリしてるってどんだけだよ!

俺は規格外なこの部屋の広さに叫喚する。


く...こんな所では、とてもじゃねえが落ち着いて

寝られやしない...。


「どこか寝られそうな場所を、他に探すしかないか...」


そう決断した俺は部屋を出て、安心して眠れる場所を求め、

屋敷を徘徊する事にした。


「それにしても、長い通路だな...

お、階段があったぞ。上に行ってみるか...」


発見した階段を上り、その階をしばらく歩いていると、

目の前に謎のハシゴを発見する。


「何故、こんな所にハシゴが?」


俺は、このハシゴがどこに繋がっているのか、

ハシゴの伸びる先上の方に目線を向ける。


「あ、天井に繋がっている。あれは恐らく...隠し部屋?」


何か気になるなぁ...。

よし...どんな部屋なのか、取り敢えず覗いてみよっかな!


そう心に思ったが吉日、俺はこの上はどうなってるんだろうと、

少しワクワク感を出しながら、少し早いテンポでハシゴを上がって行く。


「ふう~!やっと着いた...結構、長いハシゴだったな...。

さ~て、どんな感じの隠し部屋なんだ......ん?」


「くぅ~くぅ~」


ハシゴを上って隠し部屋を覗き込むと、

そこには仰向けになって、寝息を立てる誰かがいた。


誰か寝ている...?

この寝息の声は女性...しかも少女みたいだ。

逆向きのせいで、ハッキリと顔が見えないが、

この角度からでもわかるくらい、可愛い顔立ちをしている。


ん...逆向き、角度?

 

俺はふとそう思い、目線を少し下げると

そこには謎の少女の両足があり、

その間からピンク色をした何かの布が目に映る。


「こ、これは...何と素晴らしいピンクの絶景なのだっ!」


そのピンクの絶景が脳裏に焼き付くように俺は視線を集中し

目が千切れるくらい凝視する。


「う、うう~ん、何...今のこ......エッ!?」


「や、やあ♪」


目を覚ました謎の少女と、俺の視線が合わさった。

そして俺は不覚にも、

再び、ピンクの絶景に視線を向けてしまう。


「ちょ、どこ見てるのよ―――ッ!!」


「ドワアアァァァッ!?」


謎の少女は言うも速く、俺の顔を思いっきり蹴り飛ばし、

その衝撃で手を滑らせ俺は、ハシゴからまっ逆さまに落ちていく。


「ハウウッ!?」


落ちた反動で俺は後頭部を直撃し、

あまりの痛みにその場でのたうち回る。


「逃がすかァァァッ!!」


謎の少女はそう叫び、のたうち回っているライを踏み潰そうと、

ハシゴの上から勢いよく飛び降りた。


「うわ、危ねぇ!?」


「な―――――――んですとっ!?」


ライは間一髪で、その踏み潰しの着地点から体を交わす。

踏み潰しを交わされてしまった謎の少女は、

勢いをとめられず、その速さで床に足が直撃する。


「――――――――――――――――ッッッ!!!」


雷でも落ちた様なシレビと痛みが、謎の少女の両足に伝わり、

声にならない声で、雄叫びを上げている。


「ふう...危ない危ない。あれを食らっていたら、

俺の内臓全部、口から飛び出したな...。

あ...!パンツ見えた...!」


あまりの痛みに、謎の少女は両足を両手で抑え、

パンツが丸見えになろうが構う事なく、その場でのたうち回る。


「でも、これは痛いよな...。ハア、しょうがない!」


俺は嘆息を吐くと、謎の少女の近くに腰を下ろし、

痛がっている両足の前に、手を突き出す。


「いたた...な、何をする気なの、このチカン野郎!」


「チカンはヒドイな...おさわりもしてないのに、

まあ、待ってろ...その痛み取ってやるから...」


『回復しろ!ハイヒールッ!!』


俺がハイヒールの魔法を詠唱すると、

謎の少女の赤く腫れ上がった両足がみるみる治っていく。


「これでよしっと、どうだ?まだ痛いか?」


「ううん。痛くない...」


「それは良かった!」


俺は謎の少女の両足に痛みがない事を確認し、

ゆっくりと腰を上げる。


「あの...ありがとう...」


謎の少女は、もじもじと照れながら、

ライにお礼を言う。


「イヤ、こっちこそいきなり脅かせて...って言うか、

パンツ見ちゃって、ゴメン!」


「なっ!?」


ライの視線が、下の方に向いた事に気付いた謎の少女は、

慌て、自分のスカートを両手で押さえ込む。


「もういい...許す」


ジト目になってはいるが、頬は紅に染まっており、

憤怒の気配はなくなっている。


「でもお兄さんは...何故、私の特等席に?」


「寝床を探して屋敷を徘徊していたらハシゴを見つけてさ、

何があるんだろうと上ってみたら...そこには、ピンクの絶景があった!」


「ピンクの絶景......?

...って、それは私のパンツの事かぁぁ―――っ!」


絶景の正体が自分のパンツだとわかると

恥ずかしさから顔を真っ赤にしてライに対し叫喚する。


「いい絶景でした!」


俺は謎の少女のスカート前で両手を合わせ、

ありがとうと言わんばかりに、頭を垂れて拝んだ。


「もう!手を合わせて、拝まないで...よっ!」


「はうっ!?」


深く頭を下げていた俺の後頭部に、

謎の少女が思い切り、ゲンコツを食らわせる。


「たっく...んで、お兄さんって、一体誰なの?

まさか!本当にチカン野郎じゃないでしょうね?」


「違うって言ってるだろう!その蔑みの目はやめ~ぃ!」


俺は謎の少女に割愛ながら、今までの事情を説明する。


「なるほどね~ミルナお姉さんにこの地に飛ばされ、

ロザリーお姉さんにあのダンジョンで助けられた訳か...」


「割愛しているが、大体そんな所だ...」


「しかし、いきなり故郷から数百キロ以上離れた

ここに跳ばされるなんて...それは本当に、大変だったね」


謎の少女は、ライの身の上事情に同情の念を送る。


「ま、ここに来て一番危なかったのは、

ピンクパンツの踏み潰しを食らいそうになった時だがな!」


「ちょっと!何、そのピンクパンツって!

もしかして、私の事かぁ!」


自分の事をパンツ呼ばわりするライに、

目を見開いて絶叫する。


「そんな事、言われても...

俺、ピンクパンツの名前知らないし...」


「だから、その名で呼ばないで!

こほん、私の名前は『モカーネ・ハニモ』

みんなはモカって呼ぶから、お兄さんもそう呼びように!」


「わかったよ、モカ!」


モカ...か。


髪色はキャラメル色で、

長い髪を両サイドにリボンで結んだツインテール。

身長は、妹のシスより少し低い。


そして、その身長とシンクロしている

小さな...イヤ!最早、絶壁と呼んでいいくらいの

残念至極のまっ平らなお胸さん...か。


「何、その哀れみの眼差しは...」


「はは...気のせい、気のせい!」


ジト目で見てくるモカに対し、

俺は乾いたニガ笑いを浮かべて、話をはぐらかす。


「たっく...それで?」


「ん?」


「ん?じゃなくて...お兄さんの名前は何って...聞いてるの!

人に名前を聞いたんだから、お兄さんもちゃんと名乗りを返さないと!」


「はは...わるいわるい、そうだったな。俺の名前は、『ライ・シーカット』

気楽にライって呼んでくれ!」


「ライか...わかったよ、ライお兄さん!」


モカは、ライの名乗りに屈託のない笑顔を

返事を返した。



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