EP.45 男の昔語り Part.2
えっ…。
身体が小さくなってる。
手も、足も小さい。
何でだ?
どうしてこんなことになってる?
もしかして俺は俺じゃ、無い?
俺の意識を持った違う人間なのか?
…そんなことってあるのか?
まあそんなこと今考えても分からないし、分かるはずない。
ハー…。
なんか、もう理解が追い付かない。
一回落ち着こう。
…よし、少し落ち着いた。
今更こんなことについて考えても分からない。
これから先の成り行きに任せれば、何とかなるだろう。
そんなわけで今わかってることを整理しよう。
まず一つ、俺は体が小さくなったという事だ。
なぜこんなことになったのかはわからない。
だけど小さくなったのは確かだ。
目だけしか動かせないがはっきりとわかる。
だがこのまま小さいということはないだろう。
…そう信じたい。
そして2つ目は今目の前にいて俺をかわいいといった女の人。
この人は人間だ。
つまりここは人間が生息しているところ。
それが分かっただけでも安心した。
この人が見つけてくれなければこの中で俺は死んでたかもしれない。
これも何かの運命だ。
俺みたいな小さい子をほっとておくほどの人ではないだろう。
そして3つ目。
これが一番驚いた。
それはここが地球じゃないということだ。
それはこの女の人の姿からわかる。
どこか中世のヨーロッパを思い出させる不思議な洋服に身を包み、肩まで垂れた金色の髪の毛。
すらっとした鼻筋にくりくりと大きな目。
そして極め付きは銀色に光るチェストプレート。これが全体のバランスをとってより一層女性を引き立てている。
美人だ、と見た瞬間思った。
このような美貌の人はそうそういるものでもないだろう。
ま、身体が小さくなったからか知らないけどあんまり興味はわかないが。
ってそんなことじゃない。
今俺が知ってる限りなら、こんな服はない。
ちなみに俺は仕事で外国によく言っていたからわかる。
そんなわけでここは地球じゃないと思ってる。
じゃあここはどこなんだ?
そもそもこの人は誰なんだ?
そんな疑問しか浮かんでこないがそれはまた後回し。
きっと後でわかるはずだ。
「おい、どうしたんだシャル。
こんな森に突然入っていって。」
…男の声?
「あら、ジル。見てよこの子。
この黒い不思議な箱に入ってたのよ。」
あー、やっぱり箱にいたんだ。
ホントに見つかってよかった。
「なに、そうか。
…なぁ、シャル。お前がよければでいいかこの子を育てないか。
…俺たちで。」
「っ!…はい。喜んでっ…。」
「そうか。じゃあ今すぐ街に戻ろう。
この子と暮らす家も見つけないとな。」
…なんだろう。
自分の身の安全が確保されて、安心して喜ぶところなのに。
これからの暮らしが保証されてるのに。
…凄く、嫌な感じがする。