EP.20 町の異変
「いやー。すごかったですねー。」
と、横で独り言を言っている彗さんはほっておく。
いやー。
我ながら強くなりすぎちまったな。
結局私は3時間ほどあのダンジョンでスライムを虐殺しまくってた。
もうね、ポンポンレベルが上がっていくのよ。
それこそ快感で、もう止まらなかった。
で、最終的にはレベルが5まで上がって、ステータスも上昇。
スキル関係もばりっばり伸びて平均レベル3くらい。
えげつな!
どんだけスライム倒したんだよ!
そう思ってモンスター盗伐数なるものがシステムにあったので見てみた。
《モンスター盗伐数:デザートウルフ 3
スライム 82》
うん。
やっぱりえげつなかった。
盗伐数82ってお前、某駆逐漫画でなら、物凄い戦績だよ。
でもその割には、レベルが5までしか上がってない。
もうちょっと上がってもいいと思ったんだけどなー。
「あのー、なんで80匹もスライム倒したのに、レベルが5何ですか?」
「それは、スライム自身の経験値が低いからです。」
へーそうなんだ。
「だから、ほとんどの冒険者は新しくとったスキルの確認や、暇つぶしぐらいにしか行かないんです。
しかも、スライムたちは何もドロップしませんしね。」
「ドロップ?」
「ええ。ダンジョンのモンスターは倒せばアイテムをドロップするんですが、あそこのダンジョンでは、
何もドロップしませんね。」
そっか。
残念だなー。
でも今日でレベルとステータスも上がったし、戦い方も分かったから違うダンジョンにでも行ってみよう。
「ちなみに、ダンジョンから持って帰ってきたアイテムは、雑貨屋さんで売ってお金にするんです。」
ほー。
またいいこと聞いちゃったな。
つまり、モンスターからはお金はドロップせずに、アイテムがドロップする。
それを町で売ることによってお金が稼げると。
結構めんどいけどそれで稼げるならいいね。
よし明日から違うダンジョンに行こう!
そして私は億万長者になって、めっちゃ強くなってやる!
とりあえず、疲れたから宿に戻りましょうか。
宿に向かって歩き始まる。
その矢先。
町に異変が起こった。
とてつもない衝撃が町の中心部から広がっていく。
その勢いはすさまじく、大勢の人間が飛ばされる。
街に並ぶ屋台は吹き飛ばされ、ベンチや看板も飛ばされている。
日本の台風とは比べ物にならない風と衝撃。
その風の中心に彗さんと急いで駆けつけるとそこには、最悪の光景が浮かんでいた。
何もなかった。
その周りにはすべてが破壊されてなくなってしまっていた。
ぽっかりと穴の開いた町の中心に1人ぽつんと立っている少女。
幽霊のような動きで周りの人たちを見渡す。
そして信じられないことを言い放った。
「やあ。人間諸君。私は魔王だ。早速で悪いが君たちには消えてもらうよ。」