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第1話 出会い

「あちぃ~」

桜は舞い散り、夏に向けて日差しが強まっていく春の終わり。

市道幸路は夕食の支度の為に学校から家への帰路にある商店街を歩いていた。

「なにすっかな・・・」

幸路の家庭は両親が海外を転々としており稀にしか帰ってこないため、朝昼夕の食事の支度は妹と交代制で行っており今日は幸路の番なのだが、レパートリーが少ないためによく被ることがある献立に妹が怒る場合があるため悩んでいた。

「そろそろ揚げ物でもすっかな・・・」

油を使う料理は兄妹揃って油の扱いを面倒くさがるのでなかなか作ろうとしないから偶には良いかと思い、どうせなら唐揚げにしようと肉屋に立ち寄り鶏肉を購入する。

一度油を扱えば、明日にでもあいつが便乗して天ぷらでもするだろう。

「あとはサラダでもあればいいか」


八百屋で新鮮な野菜を購入して自宅へと向かうその帰り道。

幸路はあることが気になった。

特に買い忘れがあったわけではない。

帰り道もよく通っている道で別に変わりない、んだが・・・

「今、なにか変なものが見えたような・・・」

通り過ぎた道を少し後戻り建物と建物の間を覗く。

するとそこには黒い布を被った何かがいた。

その黒い布は時折動いていることからどうやら生きているようだ。

「なんだ?捨て犬かなにかか?・・・ったく」

幸路はその黒い布を引き剥がそうとすると、その布はどうやらマントのようでその下には犬ではなく少女が倒れていた。

「・・・行き倒れか?」

「・・・ぅ・・・ぅ」

なんか呻いてる。

死んではいないようだ。

「おい、あんた」

「・・・・・・は!」

呼びかけると声に反応するように凄い勢いで上半身を起こしてきた。

その眼には少し警戒の色が見られた。

「なんですか君は?!というかここどこです?」

「・・・はぁ・・・俺は通りすがり、ここは風待町」

「カゼマチチョウ?なんですかそれ?マエスじゃないの?」

マエス?聞いたことない名前だな。

言葉は通じるけど見たところ日本人ではなさそうだし、こんなところで倒れてるし、変なのに関わっちまったな・・・

「そのマエスってのは知らないがこんなところで何してんだ」

「何・・・してるんだろ?」

「いや、聞かれても困るんだが・・・まぁいいや、そんなところで寝てるぐらいなら家に帰ったらどうだ」

「寝てたわけじゃないですよ!・・・それに帰り方が分かりません」

「・・・は?」

帰り方が分からない?また変わった言い方だな。

迷子にしては変だし記憶喪失ってわけでもなさそうだ。

さて、どうしたものか・・・。

『ぐぎゅぅぅぅぅ~。』

・・・今のは少女の腹の音だったようだ。

少女を見ると恥ずかしかったのか固まっているから間違いないだろう。

・・・ったく、しょうがない。

「行くアテないのならうちに来るか?飯食わせてやる」

そういうと少女の目が輝いて見えた。どうやら来るようだ。

幸路は少女を連れて家に帰ることにした。


「ただいま」

「あーおかえりぃ・・・って誰それ」

自宅に入ると先に帰っていたらしい妹のまよりと鉢合わせになり、例の少女を連れた俺に当然の疑問をかけてきた。

「拾った。腹減ってるらしい」

「いやいや、拾ったって・・・まぁいっか」

我が妹ながら結構なテキトー具合である。

「飯作っておくから相手任せた」

「はいはい・・・いらっしゃい、こっちおいで、お菓子食べる?」

夕食前に食べ過ぎるなよお前ら。


「はぐふはぐはぐふはぐはぐ」

普段より少し早めに夕食にしたわけだが・・・

先程間食をしたとは思えないほどの速度で米や唐揚げが少女の胃に消えていく。

念のために多めに作ってあるから別にいいが、どれだけ腹減ってたんだよ・・・。

「うわぁ、すごい食べっぷり」

ちなみに箸は使えないだろうということでスプーンとフォークを渡しているんだが両利きなのかその2つを左右で切り替えては次々と食べ物を口に放り込んでいる。

「・・・ん・・・美味しいですねこれ。こういうの初めてです」

どうやら初めてだったようだ。

初めてって今迄どんなもの食べてたんだよ。

さっきのマエスといい、コスプレみたいな変わった服装といい、どこの出身だ?

「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はレイナ・リル・エルマーナ。黒魔術師です」


ほんと・・・変なのに関わっちまったな・・・


次回は2017/10/20 12時投稿です

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