第0話 事の始まり
私はレイナ・リル・エルマーナ。
よく見た目で幼女と間違われますがこれでも黒魔術師の端くれです。
黒魔術とは黒呪術ともいい、他人に危害を与える邪法とよく言われます。
あながち間違ってはいませんが、それは昔の話です。
私達、新世代黒魔術師の間では人に危害を加える類の魔法は禁忌とされており、今では使い魔を作り出したり、特殊な効力を持つ薬品を作り出す程度の術に変わっています。
ちなみに黒が存在するように白魔術も存在しており、そちらは呪いの解除などが主となっています。
さて、今回の事態の発端は黒魔術学会でのこの一言です。
『君の傀儡はこんなに小さくて役に立つのかね』
この一言に友人に基本温厚と言われる私もカチンと来ました。
私は黒魔術師、それも使い魔の生成と使役を得意としている者。
嘗められたままではいかない、見返さなくてはと、
その時の私はそのことだけを考えていました。
そして私は手に入れられるものの中で選りすぐりの素材を集めました。
猛犬の骨、羊の毛皮、大蜥蜴の尻尾、生き血etc.
それらを大きめに描いた魔法陣の中心に置き、私は全魔力を使って術式を起動させました。
ですが、出来上がったものは望んだものとは程遠い拳大の煤玉でした。
今迄もなんども失敗はありましたが今回の煤玉は過去最低の大失敗でした。
私は絶望しました。
こんなことでは見返すどころか笑われてしまう。
魔力も使い果たしその場で意気消沈していました。
その時、私の作った煤玉が大きな渦となって私を呑み込もうとしました。
魔力を使い果たし動けない私は運命を受け入れその渦に呑まれました。
今にして思うと私が無意識に行おうとしていたのは悪魔の生成だったのです。
きっとこれは罰なんだと思いました。
そこで意識が途切れました。
・・・生きている。
そう思い目を開けるとそこは先程までの場所とは違う場所でした。
私は鉄の大きな建物に挟まれた陰に居て、視線の先では陽の明るい場所を大勢の人が歩いている。
それは私の知っている薄暗い世界とは違う、眩しく世界でした。
私は今、見知らぬ場所に居ます・・・
ここは何処ですかぁぁぁ!
次回は2017/10/10 12時です