表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏の騎士  作者: ARS
7/7

白と灰色?

ようやく書けた。

「ここから先に未来があるというのですか!」



白く染まる光の空間の中で銀髪で白い羽根を持つ者たちがたくさんいた。

そんな中の一人の少年が玉座に男に向かって声を荒げる姿があった。


しかし、声を荒げる少年の声など聞こえないかのように軽くあしらうように適当な返答が来る。



「お父様!この先の未来を潰す気ですか!」



それでも少年の声は止まらない。

しかし、それも終わりを告げる。



「シロよ。お前は分かっていない。

未来など決まっておる…我らだけが支配する究極の光だけの世界…それ以外になんの未来が必要なのだ?」


「っな!」



その言葉にシロと呼ばれた少年も驚きを隠せない。


光と闇は表裏一体である。

光があるから闇は存在する。

闇があるから光は抑制される。


光がなくては物質は存在しないと定義づけることもできてしまう。

ある考え方では己が見て感じたからそれは存在し、見えぬものに存在などないと…。


しかし、闇もなくてはならぬものである。

闇がなくては世界を照らす光だけとなり、真っ白な世界が待つだけ…。



そう、その二つはその微妙な均衡により成り立っているのである。



要するに彼らが世界を征服する…要するに光だけの世界とするのだ。

その均衡を知ってから知らずかシロという少年は征服という未来しか望まぬ王を止めようとする。



しかし…



「シロ…私は悲しいぞ…第一王子で優秀な息子を失う私はな…」


「お父様…一体…」



シロが困惑する。

しかし、その困惑をよそに事態は進行する。



「これより第一王子シロは反逆者だ。

それに伴ってシロの王位継承権を剥奪する」



その瞬間、騎士の剣がシロを突きつける。

咄嗟の判断にシロは遅れるものの慌てて逃げ出す。


必死に走り出し、遠くまで逃げようと翼を広げる。


それをさせまいと飛んでくる光の矢…それを避けながらシロは逃げ続ける。



「悪い…クロ、お前との約束、守れそうにない」



そう一言言い残して…。



**



昨日と変わらない朝。

そんな感じで目がさめる。

しかし、昨日とは違うことがある。


そう、それは学校に来てからのことだ。



佐々木がまた部活に誘ってくれたのだ!


どつやら、よかったら入部して欲しいそうだ。



「まぁ、俺的には悪くないけど」


「そうか、それは良かった!

んじゃ、これ」



そう言って佐々木は俺の手元に一枚の紙を渡す。

俺はそれを手に取り中身を見る。



制約(××)入部届』



なんか、入部届の前になんか、書かれてない?

いや、斜線とかで消してるけど…それは気にしてはいけないの?なんか、書くのが一気に怖くなった。



「あ、後で書くよ」


「そうか、ならしっかり持って来てくれよ」



そう言って佐々木は自分の席に戻る。

どうやら、朝のHRが始まるらしい。


よくわからんが助かったような気がする。


そして、よく入部届(?)の中身を見てみる。



『1、雑用や掃除などをしっかりとこなすこと』



一番最初から怪しい文面なんだが?

いや、まだただの部活動をサボるなという警告なだけかも…。



『2、修平君には不用意に近づかないこと』



絶対に呼有先輩だ!


いや、待て…まだそうと決まったわけではない。

先生達にまで佐々木の扱いが広まってないとも限らないし…。



『3、志乃ちゃんの特殊な趣味には触れないこと』



あぁ、なんとなく…いや、まだ…でも…次のでなんとなく分かった。



『4、3番のは嘘だから!私そんな特殊な趣味は無いから!ふつうにしててね!』



これは…最早何も言うまい。

とりあえず、全部一応読んでいくか。

志乃先輩はいじられ役なのかな?



『5、必要に応じて秋宮姉妹の遊び相手になること』



遊び相手ってなんだ?

いや、あの二人は課題をしていた印象しか…うむ…分からん。



『6、時雨 或亜のお願いは大抵聞くこと』



あ、はいはい。

って、次の方がやばかった。



『7、命をもとして部の奴士(××)…に貢献すること』



これ、明らかに奴隷って書こうとしたよな!きっと、気のせいだと信じる。


うん、最後は…



『8、以上のことは無効とし健全な学生生活を送ること』



あれ、全部無駄になるようなことが書かれてる。

この筆跡などから見て…村蔵先輩みたいだな。



『p.sここまでふざけてるけど一応正式な入部届だからちゃんと書いてね。本当にうちの部員が悪ノリしてごめんなさい』



と、書かれていた。

要するにみんな悪ふざけが過ぎたということか。




**



時間はたち、昼休み。

俺は入部届けを渡そうと職員室に来ていた。

ある問題があり、すぐ近くにいた女の先生の話を伺うことにした。



「あの、すいません」


「た、転校生君じゃないか」


「はい、古香坂です。オカルト研究部の先生はいらっしゃいますか?よく考えたら先生を知らなくて」


「あー、あの先生ね…向こうの5番目辺りにいるはずよ」


「ありがとうございました」



お礼を言ってから俺は言われた場所まで行く。

すると、そこにはよく見知った顔の人間がいた。



「小崎…先生がオカルト研究部の先生だったんですね」


「うん?誰かと思ったら古香坂のガキンチョじゃないか?そういえばここに入れたんだっけ?」



そう目の前にいるのは小崎 悠人。この男は俺の親戚でおまけにこの学校のスポンサーの一人だ。

流石にこの規模の学校を国の税金だけでは賄えずにいたところにお金を投資した男だ。

そして、俺がこの学校に入れた理由の一つだ。

そもそもが中浪中の人間が途中でこの学校に入れることがおかしいのだ。

しかし、この男は俺の体質を知ってることもあり嬉々として一刻も早く入れようとしたのだ。


謂わば裏口入学…まぁ、ちゃんと試験の問題を9割できなかったら来年の受験に持ち越しさせられていたのでしっかりとやらされたけど…



「何?お前、オカ研に入部すんのか?手間が省けて助かるぜ。ていうか、入部届けを相変わらず好き勝手書きやがって…これを提出する俺の身にもなれっていうの」


「小崎、本当にこの学校に入ってよかったのか?」



俺は小崎を見てふと感じた感覚を口にしていた。

しかし、小崎は馬鹿にしたように鼻で笑って返して来た。



「あほ、お前以外にもチャンスはちゃんとやった。それなのにもかかわらず、合格はお前だけそれだけいいだろう?」


「でも!」


「それでも嫌なら、特別受験制度の法案は知ってるか?」



意外なことを言われて俺は言葉を詰まらせる。

テレビを見ていれば時折見る制度の話だ…確か。



「魔法適性や普通の受験以外で見る特殊な試験方式などの普通とは違った試験方法の法案だったか?」


「そう、今回のはその試験制度の導入のための試験ということにしてある。しかし、それだと今入ってる生徒に不平不満がでる。故に本来なら8.5割の合格点のところ9から9.5割にしたんだよ。結果としてはいくつかの試験方式で見たが8.5割に届いたのは半数以上…しかし、筆記だけで8.5割に届いたのはその半数いや、4分の1以下だ。

ちなみに9割以降はお前だけだった。おまけに通常筆記の方は8.5割と悲しい結果だったが魔力検定などの特殊試験の方で完全合格ラインを突破してたんだぞ」


「なんか、納得いかないんだよないつも」


「はぁ、全く頑固な奴のクセしてちゃっかりと通うな」


「まぁ、せっかく入れたからな」



俺は本音をいう。

たしかにあの試験は大変だった。

しかし、この学校に入れてよかったという気持ちの方が強くて正直、ここにいてはダメという気持ちはあまりない。



「聞いて見るけど、その実証実験は成功なのか失敗なのか?」


「特別試験制度のことか?それはまだ分からないな。

お前の実技の点数によっては特別試験制度の有無は決まるな」


「それって地味にプレッシャーをかけてないか?」


「そう思うなら頑張れよ」



小崎に乗せられた感は半端無いが、とりあえずは頑張るしかないのだろう。



「では、俺はこれで」


「おう、午後の授業も頑張れよ」



そう言って別れるが真面目な話にも関わらず、不思議と話してる時に窮屈さなどは感じていなかった。

何だかんだ言って俺はこの人と一番話しやすいのかもしれない。


『…ろ…』



そうして、職員室に出ようとした瞬間、声が聞こえてきた。

しかし、周りを見ても誰もいない。



「うん?気のせいか?」



おかしいな、たしかに『呼ぶ』ような声が聞こえた気がしたんだが…。

まぁ、いいか。



**



灰が出て行った後、小崎はため息を吐いて椅子に思いっきり体重をかける。



(全く言えるかよ…)



そう思いながら小崎はある引き出しを開ける。

そこには上層部でまとめられた特別試験制度の結果が書かれた資料の束が置かれていた。



「あれ?小崎さんどうしたんですか?」


「ああ?筒井か」



急に後ろから声を掛けられて小崎はだるそうに振り向くとそこには彼と同じ立場である男、筒井が立っていた。



「もしかして、小崎さん授業について悩んでます?教えるの下手そうですもんね」


「ちげぇよ!第一未だに生徒の名前すら覚えられないお前にだけは言われたくないな」



因みに、小崎は説明やらうんちくがひたすら細かく一部の生徒には受けがいいが、大半の生徒にはたるい授業だと言われている。



「失礼な!僕だって生徒の名前は覚えてますよ!」


「興味の湧いた奴だけな!おまけにそれら全てが知的好奇心からというのは明らかに悪い!」


「それ以外にこの仕事をやる意味が?」


「それ以外にやる意味を見つけろよ」



この二人の会話はいつもこのように互いの悪口を言い合うことから始まる。

そうして、いつものようにしばらく悪口を言い合ってから最初に筒井から切り出した。



「それで、珍しく思いつめてどうしたんですか?」



その質問に小崎ははぐらかそうか悩むがすぐにあることを思い出してその思考を捨てる。



「確かお前も特別試験制度に関わっていたよな?」


「はい、関わってましたけどどうしたんですか?」


「お前もあれは本当に失敗だと思ってるのか?」



そう、実は特別試験制度の実証実験は失敗に終わっていた。

それは彼ら研究者が決めたことではなく上の判断なのだ。



「その話を本当にしてもいいんですか?」


「大丈夫だ、どうせ上層部は俺たちのこの会話ですら容認している」


「そうですか、なら僕の意見から言わせてもらいますと『どちらでもない』ですかね」


「その心は?」


「まず、あの試験を一度で終わらせてしまったことと、それと規格外が一人混じってしまったことですね」



筒井の言葉に小崎は「やはりな」と呟くと筒井はさらに言葉を続けていく。



「ぱっと見ではあの試験は公平性を欠くように見ましたが実は規格外を除けば我々の予想通りの平均値の計測が出来たんですよ」


「しかし、上の方は結果の平均値しか見てないために安定した採点基準が取れないこの特別試験制度に対して失敗と決め込んだ」


「はい、その通りですよ。だから、非常に古香坂君は興味深いのですよ」



そうして、小崎と筒井は話し合い昼休みが終わっていくのだった。



**



「てことで今日からこの部でお世話になります」



と、最初の挨拶を俺はオカルト研究会の全員にする。

すると、周りはどこか嬉しそうに拍手して歓待してくれた。



「いやー、即決だったね。他にやりたい事とかなかったの?中学の頃にしてた事とか?」


「あー、それなら帰宅部でしたので大丈夫ですよ」



アル先輩の問いに軽く答えつつ俺は座れそうな席を探す。

すると、隅の方に余ってる椅子と机がある。



「あの、俺の席はあそこでも?」


「うん?あー、別にいいけど…むしろいいの?」


「へ?」


「うん、昨日のことあんまり覚えてないよね。ならいいけど」



アル先輩が何か心配してくれてるがそこしか席がないため大丈夫ですとだけ言って俺はその席に座る。




数十分後。

何故、アルが心配してくれたのか分かった。



「ふぅ、ありがとね。灰君がいなかったら私は今日もチェスをすることになってたよ」


「ふむ、灰君は将棋もできるのだな…チェック」


「えっ、いつの間に!って、そんなことしてる場合じゃない王手!」


「うそ…逃げ道が殆どない…」



俺は今、篠継とチェス、春日と将棋をしていた。

因みに春日と秋宮姉妹とは同学年である。

あと、春日は純粋にボードゲームが弱い。篠継は最善の手を打つのでは無く戦況を複雑にしてくる為に毎回把握が大変なのだ。



「ふむ、そっちは決着が着きそうだな。チェックメイト」


「確かにそうですね。あと、少し甘いですよ。これは引き分けです」


「ふむ、ミスをしてしまったな」


「うぅ、なんか私は自滅したような気がする」



こうして、俺は二人を同時に相手してなんとか収めることができたのだ。



『…』



そうして落ち着いた時また…聞こえた。

誰かが呼ぶ声…それは必死で大変な状況…。



「そうだ、灰君。昨日の実験で…ってどうしたんだい?」


「え?あ、はいすいません。ボーッとしてました」



俺は我に帰るとさっきまでの声なんて聞こえてなかったかのように印象がない。しかし、さっき確かに誰かが呼ぶ声が聞こえた気がする。

そう、間違いでなければ確かに…。

まぁ、今考えても仕方ない。


「大丈夫かい?」


「大丈夫ですよ。それで呼亜先輩どうしたんですか?」


「あ、そうだ昨日の実験から少し改変した魔術を考案してね。試しさせてもらっていいかな?」


「それなら大丈夫ですよ」



俺はそう言って俺が立ち上がると…



「え?久々に将棋したのでもう一回…毎回ジャンケンに負けてチェスしか出来なかったんですよ!」


「灰君、今度こそ勝つ。だからもう一戦」



二人が俺の腕を握ってそう訴えかけてくる。ていうか、春日はジャンケンも弱かったのか。嫌ではないのだけど今は魔術の方が気になるんだよな。



「あー、実験が終わったらいくらでも付き合いますよ…」



俺は咄嗟に思いついた言い訳がこれだった。なんか墓穴を掘った気がするけどもう諦めるしかない。二人とボードゲームをしてて楽しくあれどつまらないなんてあり得ない訳だし。

まぁ、そのおかげもあってか二人とも渋々腕を離してくれた。



「なんか、君は自ら苦労を背負ってないかい?」


「そうでもないと思うですけど…」



呼亜先輩の呆れられたような目を見て俺は少し反抗をしたかったがしても意味ないように思えて諦めていた。



「さて、今回のコンセプトはこれだ」


「えーと、昨日と比べて大きいですね?大掛かりなことなら外でやった方が…」



いいのではと言おうとしたところで俺は気がつく。その魔術の造りに。まず、魔術としてはとことん曖昧なものとなっている。昨日魔術の陣と比べたらお粗末なものである。



「言いたい事はわかるけどとりあえず始めるよ」



その瞬間、辺りが光に包まれる。

魔術が起動したのだ。その魔術は昨日と同じ精神的、魂魄的なものではあるものの、それ以上に魂魄の共鳴の仕方が昨日よりも強力なものに変わっている。


キィィィという甲高い耳鳴りがする。そんな中で俺は聞こえた。



『クロ、すまない…お前は王に…』



その瞬間、辺りは白い羽が舞う。銀色の髪、白い翼、血が付着しながらも気品を感じる白い衣…。

そう、神秘的な天使が俺たちの目の前に舞い降りたのだ。

今回は結構いろんな説明が入ってます。特に主人公の転入できた理由とかね。よくよく考えたら出来ないじゃんと思っての後付けではないです(後付けです)。完璧で幸福な筆者は間違えません。(要するに完璧で幸福ではない)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ