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黄昏の騎士  作者: ARS
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黒と灰色

何だかんだでこれの執筆が難しい。

光が部屋を満ちる。

この時灰に実験が行われた瞬間だった。

誰もが目を奪われながらも観察を続ける。

本来、観察など不要であり異常や失敗、様々な点から結果を見るために部員全員が見守っていた。


そして、光が収まり灰という人間はフリーズしていた。


「古香坂、何かあるか?」


呼有のその問いかけに返事はない。

そして、呼有は異常が発生したと見て脈を計ろうとした時、それは起きた。


灰の髪が少しずつ黒染まっていくのだ。

そして、彼の髪が完全に黒に染まった時、目覚めた。


「何が…」


今までの実験には無い異例のことにより誰もが呆然と周りは見ていた。


「貴様ら何者だ…」


彼から言葉が発せられる。

それと同時に黒いエネルギーが放出される。


「これは、魔術分野の…」


「魔術?

これはそんなチンケなものじゃない」


アルの呟きに反応する。


「なるほど、魔法…またはそれらとは少し外れたエネルギー概念の可能性か…」


その呟きに余計に彼は顔をしかめる。


「もう一度問おう、貴様ら何者だ。

答えなければ、敵とみなして殺す」


瞬間、先程より強いエネルギーが発せられる。

大きな波紋となり、力の波が部屋中を駆け巡る。


「う…」


由美がその状況に一番に根をあげる。

力の奔流に耐えきれずに苦しみ始めている。


「由美…お前…」


麗美は由美の異変にいち早く察して、空中で手を動かす。

上級紋章術である『空描き』である。

魔力の使用にある程度長けた者が使用できる技の一つで、魔力による魔法陣の作成が可能となる。

それにより、何処でも描けるという利点がある。

その代わり、使用魔力量は通常より多い。


「『ファイヤブラスト』」


「ちょっと麗美ちゃん、部室を破壊する気?」


アルの叫びも届かずに炎の連鎖爆発が起きる。

しかし、それは一瞬のことだった。

黒いエネルギーが爆破の部分を覆い、打ち消したのだ。


「うそ…」


麗美は自分の魔術が打ち消されたことに呆然とする。

そして、誰もが戸惑う。

それもそのはず、麗美は魔術科の魔術の行使にあたって歴代最高峰とされたのだから。

ゆえの戸惑い…それは負けを意味している。


「なんだ?

この未完成魔術は…俺を馬鹿にしているのか?」


しかし、それに対して男は怪訝な表情を浮かべる。


「まぁいい。

ここはどこだ?お前達は何者だ?」


男は周りを冷静に見て呟く。


「…ここは星天魔導学校にある、オカルト研究部の部室よ」


アルが仕方無しに言うと同時に男の目が見開かれる。


「…待て、貴様らは人か?」


「何を言ってるか分からないが人だぞ」


呼有は不思議そうな表情と恐怖の表情を入り混じらせながら言う。

そして、僅かな沈黙が起こり。

結論に至ったのか男は先程まで出していたエネルギーを止める。


「どうやらとんでもない勘違いをしていたようだ。

数々の非礼を詫びさせてもらう」


そう言って男は突如として頭を下げた。


「えっと、どういうことだか分からないのだけど…」


アルは混乱し切った状態で質問する。

しかし、それは首を振るだけで答えは帰ってこない。


「それで、何故俺がここにいるのか?

その説明はできるか?」


男のその質問に対して呼有が自分の実験の一環であることで入れ替わった可能性を伝えた。


「なるほど、要するにこの体は何処か見知らぬ少年の身体ということになるのか…」


男は納得したように頷きながら体を動かす。


「それで貴方は何者なの?

魔術以上のものを所持しておいて一般人とか言う訳じゃないでしょう?」


アルの質問に全員が頷く。


「それは…答えられない。

これは君達どころかこの世界にいる全員があまり知ってはならないことだ」


しかし、男は苦い表情をして返答の拒否となる言葉を発した。


「それなら、知ってはならない具体的な理由を教えてくれないかしら?」


アルは男に詰め寄り尋問をする。

他の人達は麗美の魔術が消されたという驚きと恐怖があり、男には切り出せない中、アルは必死に情報を集める為に聞き出そうとした。


「仕方ない、理由は君達が表だからだ。

俺は裏であり、交わることの無いものでもある」


そんな言葉で理解できる訳がない、しかし、これ以上の好奇心は無用意に身を滅ぼすという意味がその回答にはある。


交わることの無い、要するに交わってはいけないのだ。

交われば何らかの災がその身に降り注ぐと暗に言っているのだを


「そう…」


「御理解頂けたようで助かる」


男は安心した表情で呟く。


「なら、一つだけいい?」


羅刹が突然口を開く。


「内容による」


男は依然として口を固くしながら言う。


「貴方の名前は?」


瞬間、誰も予想だにしなかった質問が男に飛んだ。

たしかに名前をアル達は知らない。

しかし、この状況で聞こうと思うかで言ったら普通は否だと思う。

名前が無く不便では無い。

更に殆どの質問に対して答えられない。

そんな人に対して名前が聞けるかと言ったらやはり無理だ。


「そうか、意外な質問だな。

そうだな、俺の名前はクロと昔から呼ばれている」


「意外と普通なんだな」


佐々木が少し意外そうに呟く。


「それは心外だな、クロと言ったらペットか何かに付ける名前では無いのかね?」


クロの言葉に佐々木は首をすくめながら「別にそうに限った話じゃ無くね?」と呟く。


「それで俺のこの状態はどれくらいで元に戻るかな?

追われている身なので、向こうが心配なのだが…」


「そのことなら、恐らく大丈夫だと思いますよ」


篠継がフフフと笑いながら言う。


「篠継部長、どういうことですか?」


春日が男に変わって聞く。


「それはクロと入れ替わった時、髪の色がどうなりました?」


「それは、灰色から黒に…あっ」


春日は思い至ったのか手を叩く。


「どういうことだ?

全く理解できないのだが…」


「要するに篠継部長は入れ替わる際に髪の色が変化するから大丈夫と言いたいんですよ!」


「?」


クロは全く分からずに首を傾げる。

そうして、何とか春日が必死に説明をする。


「なるほど、入れ替わる際にある程度の身体的特徴も入れ替わるのか…」


クロは納得いったように頷く。

最終的には春日だけでは無く、佐々木を入れて説明を何とか済ませた。


*************


そうした一方で灰の方は一人で殺風景な荒野の中佇んでいた。


「ここは…」


金と灰色で出来た空を見上げて言う。

先程から不思議に思い見ているが、一向に見慣れない。

全く別の世界、または時代に紛れ込んだのでは?と錯覚してしまう。

ひょっとしたら実際にそうなのかもしれない。


「ちょっと君、いいかな?」


俺は呼ばれて振り返るとそこには黒い翼を持つ、悪魔にも似た姿をした男がいた。


「えっと、何でしょう?」


俺は男を見て要件を確認しようとする。


「この男を知っているか?」


男は紙を取り出してとある人物の人相画を見せてくる。

俺はよくよく見て、ここを通った人じゃないか確認する。


「いや、知らないな。

この男がどうかしたのか?」


「そうか、しかし、君は知らないのか?

つい最近、この人相画の男、闇の国の第三王子、クロ=ダークが王に対して反乱を企てたんだぞ」


「へぇ、王子が反逆ねぇ」


俺はよく分からない言葉を無視して内容だけを考える。

普通に考えたら無くはない話だな。


「近々、表の侵略を王は狙っておるのだ。

おっと、失敬…今のは忘れてくれ」


「わかった。

その代わりと言っては何だが、道に迷ってしまってな、近くに町とかは無いのか?」


「それなら…」


そう言って俺は道を教えてもらうことに成功した。

何度も聞き直して、数時間の時が経っていた。


「日が暮れ始めたし、気を付けろよ!

俺は一度戻らねばならないし」


そう言って翼をはためかせて飛び去ってしまった。


「よし、行くとする…」


俺は意識が遠のいて行く。

これは先輩にやって貰った実験をした瞬間と同じ…。

後書きって何書けばいいか分からなくなりますよね?

これの更新は少し時間がかかりそうです。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思っていただけたなら幸いです。

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