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黄昏の騎士  作者: ARS
4/7

オカルト研究部

キンコンカンコン


とチャイムが鳴る。

俺は学校というものを今日はしみじみと懐かしんだ。

まだ、中学を卒業してから3ヶ月くらいの筈なのに。


「古香坂、支度は済んだか?」


「おう、大丈夫だ。

案内頼むぞ」


そう言うと佐々木は自分の鞄を背負い、先に行く。

俺はそれについて行く。


「そういえば、人数とかは何人いるんだ?」


「…俺合わせて八人だ」


「へぇ、ていうか何で苦しそうに言ってんだ?」


「いや、後で嫌でも分かる」


「そ、そうか」


歩きながら話すが俺と佐々木の歩速は緩まない。

そうして、辿り着いたのは部室練と呼ばれる場所だった。


「へぇ、部室練なんてあるのか…」


「元々、学部数が多いから部活やる時に特定の校舎に集まると遠いこともあるからな。

そう言った配慮から作られたらしいぞ。

現に部室練は広くて何故かバスケコートやバレーコートなども用意されているらしい。

後から出来た部活は体育館に放り込まれているがな」


無駄に金を使い過ぎだろうと言いたい。

でも、それを言ったら負けのような気がする。

そうして、佐々木と俺は3階まで歩いてとある部室の前に止まる。


そこには綺麗なプレートで『オカルト研究部』と書かれており、近くにウィッチハットや杖が置かれている。

そして、一番お手頃で利便性の利かない、更には作動してもほぼ不発の魔法陣が描かれていた。


「この部って本当に勧誘する気あるのか?」


「否定はしない」


そこは嘘でも否定しろよ、自分の部なんだから。


「とりあえず、中に入るか」


そう言って佐々木は部室のドアを開ける。


「こんにちは」


「お、お邪魔します」


中に入ると八人の人がいた。

奥の方で二人の女子がチェスをしていて、それの少し手前に精神学の論文全書という題名の本を読んでいる男子が一名、それで俺達のすぐ目の前に四人の女子が紙に研究結果の論文を纏めていた。


「お、修平君、こんにちは今日も僕に会いに来てくれたのかい?」


本を読んでいた男子が俺、というより佐々木を見るとそんな言葉を発する。


「いや、俺はノーマルなので」


佐々木は慣れたように男子に言う。


「またまた、恥ずかしがってほんと…。

修平君、僕というものがいながら…」


やっと俺の存在に気付いたのか男子は何か盛大に嫌な方向に勘違いをする。


「だから俺はノーマルで…」


「こうなったら強硬手段だ」


男子は佐々木の言葉も聞かずに飛びかかる。


「ぎゃー」


という叫び声が響き渡る。

俺は少し佐々木から離れることにした。

すまん、佐々木。

俺はお前を見捨てるよ。

だって、この人怖いもん。


「そうそう、気にしない方がいいよ。

あと、極力部室に来る時は佐々木君とは来ないこと。

佐々木君が死んじゃうからね」


「は、はい」


論文を纏めていた人の一人が俺に言う。

俺はとりあえず返事だけはしておいた。

ていうか、あいつすごい人に好かれてんな。


「んー誰?

新入部員かな?」


「佐々木君が連れて来ていたよ」


論文を書いていたひとりが更に反応する。

どうやら、俺の存在を認識されたっぽい。


「えっと、俺は体験入部させて頂こうかと思い来ました」


俺はとりあえず一礼する。


「なるほどね〜、まぁ何もないけどゆっくりしていってね。

因みに私の名前は時雨シグレ 或亜アルア

まぁ、名前呼び名字や呼びは好きにして、オススメはアルね」


「は、はい。

アル先輩?」


「のんのん、アルでいい。

確かに先輩だけどそれはそれでうざい」


「分かりました」


「あと、ついでに敬語もやめてね」


そう言ってアルは再び論文と睨めっこを始める。

因みアルは淡い青の髪で青色の目をしている。

しかし、整った顔でとても美人だ。


「そういえば、アルの髪と目は元からですか?」


「その質問は初めてだね。

一応、生まれた時からこうだよ。

先祖に北方の方の人がいたらしくてね覚醒遺伝だって」


なるほど、ということは俺より悩まなくてすみそうだな。

まぁ、俺の悩みが特殊なだけで、もっと違った悩みがあるのかもしれないからこう言ったらダメなんだけど。


「へぇ、そうだったんだ。

でも、そういう君も珍しい髪だよね。

銀髪とは少し違うから灰色?

にしても君はどうなのかな?」


やはり、聞かれたか…。

他の先輩方で色が違うのはみんな染めている感じだ。

けれど、俺の灰色は脱色とはまた違った色なのだ。

言ってしまえば、あまりにも自然な色すぎる。


「俺はちょっとしたことがあってな…」


何か深い事情があるのかと思い、これ以上は問い詰めてこなかった。


「ごめんね。

デリカシー無かったね。

とりあえず…」


そう言ってアルは立ち上がる。


「全員、作業などを止めて。

とりあえず体験入部の子が来たから、自己紹介をするよ!」


その言葉と共に全員の手が止まる。

まぁ、佐々木は一向に離してもらっていないけど…。


「うん、わかった」


先ほどの少女が反応する。


「ちょっと待ってくださいね。

チェックメイト」


「アル、わかった…てっ、いつのまにか詰んでる!」


チェスをやっている二人はちょうど終わらせて、こちらに来る。

ていうか、気付けば詰むってどういう状況?


「丁度完成…」


「ふぇ?

お姉ちゃん早い」


論文を書いていた二人はそれぞれの反応を見せてこちらに向く。


「修平君、お呼ばれだしこちらに向こうか」


「…タスケテ」


うん、俺は何も見なかった。

決して、佐々木の顔は枯れており、目の光が失っていて何処か虚空を見つめていたなんてことはない。


そう…信じてる。


「てことで、まずは君からお願い」


そう言ってアルは俺に自己紹介を促す。


「は、はい。

俺の名前は古香坂 灰と言います。

髪に関してはあまり問わないでくれ」


「ん、わかった。

私は秋宮アキミヤ 麗美レミ、それでそっちが双子の妹の秋宮 由美ユミ

よろしく」


「よろしくお願いします。

てっ、お姉ちゃんいきなりすぎるよ!」


先程の論文の姉妹が挨拶をする。

二人とも黒髪で青眼と呼べる極めて整った顔立ちだが、二人とも似てはいるものの、雰囲気で結構区別がつく。

麗美は無口でクールで大人しそうなイメージ。

名前の通り綺麗系の美少女である。

そして由美はほんわかしていて、絶対天然と言える雰囲気である。

まぁ、要するに可愛い系である。


このように二人はかなりの違いがある。


「あぁ、よろしくな」


俺はそう言った直後、ふと後ろから視線が…。

俺は後ろを向くと、未だにハイライトどころか、魂まで抜けたように…悪化した佐々木を抱えている男の先輩が見ていた。


「どうやら、先程はとんでもない勘違いをしていたようだ。

君はどうやら修平君を狙っているわけではなさそうだね。

それなら、仲良くしない理由はない。

僕の名前は篝士カガリシ 呼有コアという。

変な名前だが、気にしないでくれ」


どうやら、男ならなんでもいいというタイプではなさそうだ。

ホモっ気があっても俺の方に行かなければ避ける理由なんて無い。

いざとなれば佐々木を囮にすれば助かるし…。

しかし、黒髪黒目の眼鏡か…おまけにイケメン…モテそうなのに…。


裾が引っ張られる。

俺はその元を見ると、論文を書いていたもう一人がいた。

小さいが、リボンの色などを見るに俺より上級生であることが分かる。


「私の名前は志乃シノ 羅刹ラセツ、名前は厨二びょ…少し特殊趣味のお父さんの影響、よろしく」


「お、おうよろしく」


オレンジ色の髪で紅の眼、何処か吸い込まれそうな眼だ。

それで髪はおそらく染めているが、おそらく元の色は黒じゃ無い気がする。


にしても、名前の話題の瞬間の殺気は怖かった。


「そうですねぇ、次は春日ちゃんですね」


「なんで、私からなの?

篠継部長は?」


「こらっ!

部長呼びしない。

わたしには部長なんて向いていないから基本、アルちゃんに任せているのです」


残り二人はお取り込み中のようだった。


「あっ」


そう思った時、春日と呼ばれた少女が俺と目が合った。


「仕方ない。

えっと、私の名前は村蔵ムラクラ 春日カスガ

まぁ、仲良くしてくれると嬉しいかな…」


少し照れくさそうな自己紹介がなされた。

春日はオレンジの髪に黒目で活発そうな印象がある。

髪をポニーテールにしてるのが特徴だ。


「ああ、わかった。

これからよろしく」


俺は少し自分も照れくさくなるが、しっかりと返す。


「そして、皆さん終わったことですし、一応この部の部長の篠継シノツギ 綾愛アヤメです。

まぁ、部長としてではなくてみんなと同じように接してくれると嬉しいです」


「はい、よろしくお願いします」


俺は一礼する。

篠継は茶髪でクセとかは殆どないが少し広がっており、ゆるふわ美少女?というのだろうか?


「これで、全員の自己紹介も終了したことだし…、何かしてもらいたいけどなぁ…」


アルが難しい顔をして悩む。


「そうだ!

呼有君、確か今ちょっとした実験をしていたよね?

それをやってみたら?」


「あぁ、あれか。

まぁ、集計を極力多くの人から取りたいから僕的にはいいけど、彼に説明して許可を取れたらな」


「そうだね。

てことで灰君、君には今からやってもらいたいことがあります。

今から説明するから嫌だったら嫌だって言ってね」


「は、はい」


そうして、詰め寄ってくるアルに気圧されながら俺は話を聞くことになった。


そして、俺がやることというのは実験の被験者になることだった。

しかし、これといって危険が伴う訳ではなくちょっとした人間の魂といった研究である。

テーマは精神の構造。

ある魔術を使い俺はそれにかかる。

それにより、自分と似た構造の魂の人と干渉をすることができるらしい。


このテーマは他の部員も行なったようで、入れ替わるといったことは起こらず、見ず知らずの人とテレパシーができるや、その人が見ている光景を見ることが出来る。

その人と感覚を共有をできるといったことしか出来ないらしい。

何が複数回やると別の人と干渉をすることがあるが、期間を空けないと同じ人と干渉する。

それは魂が日などの単位で変化しているという結論が出ている。

それ故に出来るだけ沢山の被験者が欲しいらしい。


「そういうことでしたら大丈夫ですよ」


「助かる。

では、少し準備をするから待っててくれ」


そう言われて俺はおとなしく待つと、すぐに先輩が戻ってくる。


「では、今から始めるが問題ないな」


「はい、あるとすれば周りの視線かな?」


俺の周りには先輩方と解放されて笑顔を活力を取り戻した佐々木が好奇心を隠さずに見ている。


「まぁ、そこは気にするな。

とりあえず、始めるぞ」


「でも、魔術の準備は?」


周りには陣などの刻印が無い。


「それなら問題無い。

刻印や陣といっても大きさは必要ない」


そう言って一枚の紙を広げる。

そこには、魔法陣が描かれておりそれが今回の実験に使うもののようだ。


そして、先輩はゆっくりと詠唱を始める。

それにより、魔法陣が光りだす。

そして、光がピークに達して俺を包み込んだ。


**************


約束…金と灰色で出来た空…王と黄昏…。


これは記憶?


それともイメージ?


黒と白の二人の少年が交わした約束…。


**************


俺は目を覚ます…。

そこには荒野が目に入った。


「ここは…」


金と灰色で出来た空、俺は何処か別の世界に紛れ込んでしまったのだろうか?

久々の更新です。

読んでいただきありがとうございます。

おもしろいと思っていただけたなら幸いです。

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