転入生としてやってまいりました
3作品くらい同時に進めてもバチは当たらないよね…。
久々の更新です。
俺は朝起きると、7時だった。
普段の俺なら焦らなかっただろう。
何故なら、職業を必死に探して、学校にも行っていない人間だったのだから…。
しかし、今日からは違う。
俺は今日から高校生なのだ。
これからはもっと早く起きて規則正しい生活をせねばならなくなる。
俺は朝ご飯を済ませて昨日積んであった段ボールの中に紛れていた制服を手に取る。
制服はブレザータイプだが、肩の部分が無く生地も固いものでは無く、柔らかいタイプのものを使用されている。
申し訳程度に黒く染色されているが、洋服としては一級品だと思われる程の品物だった。
「国立がこんな制服でいいのかよ…。」
俺はそんなことをボヤきながら制服を着る。
ズボンはやはり柔らかい生地を使用しており、ぱっと見、市販で売られているジーンズの柄と差程変わらない。
まぁ、一級品感が溢れているのは無駄感半端ないのは言わずもがな。
そんなことを考えながら俺は制服に着替えて家を出るのだった。
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「んで、何で職員室に?」
「君は転入生だろう?
当たり前だろ?何か変なところでもあったのかい?
それに、君はクラスの場所分かるのかい?」
そう言われればそうだ。
俺自身、自分のクラスの場所が分かっていないのに早まっても意味が無いことだ。
転入生の噂もそう都合よく広がる訳が無い。
そう考えると今ここで俺が職員室にいることもおかしくない。
まぁ、朝の通学時に半ば強引にこの人に連れていかれただけだけど…。
「それで、この学校って主にどんな勉強をするのですか?」
「そうか、君にはまだそのことを伝えていないな…。」
普通ならこの学校は何を勉強するか知っている筈だが、この学校は例外である。
この学校の卒業生は例外なく公務員または有名企業に就職している。
しかし、この学校の情報はかなり話すことを制限されており、それを隠すためにこの学校は全生徒が寮に入れるようにしている。
そこまでの説明を昨日受け取った書類に書かれていた。
「そうだったな、こういったことは紙に残さないようにしているから書類には無いのか…。
この学校の秘密主義がめんどくさいな…。
口頭で説明しなくてはならなくなるしな…。」
先生はめんどくさそうにしながら、話し始める。
「まず、この学校は普通科と魔術科、錬金学、理系、文系などに分かれている。
基本的には理系と文系に進む人が大半であり、普通科の方はこれら全ての学科の勉強させられる。
そして、魔術科と錬金学は人数が非常に少ない。
成功させた者すら少なくあまり功績などは残さずに卒業する人が多いのもあって毎年減っていくのだ。
次にそれぞれの勉強するものについてだが、魔術科は簡単に言ってしまえば魔術の行使、研究、論文作成や過去の論文での学習だろう。
錬金学は鉛から金を作り出すようなものの他に不死の研究や薬の研究なども行われている。
まぁ、二つとも研究を始める前に行使を出来るようになる必要があるのだがな…。
次に理系や文系だが、これは通常の君達が思い起こすものとはかけ離れている。
理系に関して言えば、天文を魔術の使用に使ったりすることはできるのか?とか、法則の測定や科学との運用などで魔術科の生徒と協力してやることもある。
文系は魔術式の語学、要するに詠唱と呼ばれるものの研究が主にやられているな。
魔術言語というものがこの世に存在しており、それを詠み説くのが文系のやっていることだ。
最後にしていたが、君の普通科はそれら全ての集大成または全く別の分野などの研究や授業が行われる。
勿論、研究の前に授業が行われているから安心しろ。
一気に言ったが質問疑問は無いかな?」
「いえ、特にはありません。」
確かに一気に言われたが、ラノベなどの知識と擦り合わせたお陰で理解が及ぶものが大半だった。
錬金学の薬は時折聞いていたが、他の物はたしかに公表しようにも出来ない。
まず、それは下手したら兵器となり大規模戦争を簡単に起こせる可能性だって秘めているのだ。
そこから考えるともしも公表して一般人が使えるようになれば、テロも革命も容易に起こせる時代が来てしまう。
「そう考えると、良いことばかりでは無いんですね。」
「それはそうだろう。
巨大な利益をもたらすものはいつだって軍事兵器となり得るものだ。
ダイナマイトしかり核兵器しかりだ。」
先生は溜息を吐きながらそう呟く。
錬金だって俺は詳しく知らないがとんでもない猛毒を作ることが出来るかもしれないのだ。
公表などせずに隔離して厳重保管した方がいいに決まっている。
公表をしたら世の中に騒ぎなどが起きる。
そう考えるとこの学校の方針は間違っていないのかもしれない。
「そろそろ時間だな。
教室に向かうから付いてきたまえ。」
先生がそう言い立つと手早く持ち物を纏めて歩いていく。
俺はその後をしっかりと付いて行った。
俺は廊下で立ち待つことになった。
先生は、入るなよ…決して見られるなと念を押してから教室に入って行った。
あの人はとんでもなく、ノリのいい先生だと俺は思う。
そんな中、先生の話し声が聞こえてくる。
『全員、先に着け!
朝のホームルームを始めるぞ!』
その一声と共にガタガタと椅子の音が鳴り響く。
『んで、連絡事項を君達に言い渡したいところだが、君達に朗報がある!』
『えぇ!』(何人かの声正確な人数は聞き取れず…
『ん?どうしたお前ら浮かない顔なんかして…』
『あ、いや、先生の朗報って大抵の場合は悲報だった覚えしか…。』(やはり、数人の声
『お前ら失敬な!
今回は朗報だぞ。』
なんだろう?この生徒と教師のある意味あってはならなそうな信頼関係は…。
『ゴクリ』
俺は初めてここまで大きな息をのむ音を聞いた気がする。
ていうか、先生は一体今まで何をしたんだ?
『転校生…じゃないな。
転入生の紹介だ。』
『珍しく本当に朗報だった‼︎』
一体何人の生徒が言ったのか分からないほど大きな声が聞こえる。
本当に何したんだ、この先生は…。
『では、入ってきたまえ。』
俺がその声を聞くと共にドアを開ける。
そこには、とても高そうな机や椅子が置かれている教室があった。
どれだけの金の無駄遣いをしているのだろうとは少し思うが俺が得してるからあまり考えないようにしておこう…。
俺はゆっくり一歩一歩踏み出し、教壇の横に立つ。
「今日からこのクラスになります。
古香坂 灰と申します。
よろしくお願いします。」
俺はそう言って一礼する。
数人から「よろしく」と言った声が上がり、俺は内心ホッとした。
ここで失敗して変な印象を持たれるのは嫌だからな…。
「とりあえず、君は向こうの空いている席だ。」
先生はそう言って真ん中の列の最後尾の席を指差す。
俺は一言ありがとうございますと、言って席に着く。
「んじゃ、連絡事項だ。
今日は…」
そうして、朝のホームルームが始まり、一限50分にもなる授業が開始されたのである。
************
キンコンカンコンと、チャイムの音が鳴り響く。
これは四限目が終わりの合図であると同時に、春休みの始まる合図だった。
「疲れた〜」
それは俺の久々の学校生活の負担を一時的に解消する時間でもあった。
「よぅ、古香坂だっけ?疲れた様な表情しているな。」
突然、男子に声を掛けられて俺はそいつを見る。
そこには美青年が立っていた。
黒髪で爽やかな顔立ちといい、この背の高さといい、整いすぎていた。
それは嫉妬の対象になるほどにまで…。
まぁ、今はそんなことはどうでもいいのだ。
「久々でな…。
んで、あんたは誰だ?」
「ん、俺か?
俺は佐々木 修平って言うんだ!
よろしくな!
んで、久々とか言っていたが、何が久々なんだ?」
んーと、確か、俺の右後ろの席にこんなやついた様な?いなかった様な?
まぁ、そこはいいか…。
「まぁ、外に長時間出ること自体が久々でな…。
勉強でずっと家に引きこもっていたわけだし…。」
「なるほどな〜、でも、その勉強って実はここじゃあんまり役に立たないことが多いんだよな…。
まぁ、普通科だから使うことが多いけどな!」
なるほど、普通科じゃない学科はそっち方面をガチでやっている分、今までの様な授業が圧倒的に減っているのか…。
「ありがとな。
いい情報だったよ。」
「別にいいけどよ。
お前は部活入るのか?」
「いや、特には決めていないないな…。」
「そうか、それならうちの部活に来てみないか?
オカルト研究部って言うんだけど、人数が少なくてな…。」
この時代に、更にはこの学校にその名前の部活は無いと思う…。
まず、オカルトが現実になっている時点で、それはオカルトではなくなっていると思うんだが…。
ならば、更におかしなことを調べるのか?
それは少し遠慮…いや、逆にそっちの方がいいかもしれない。
「なぁ、そのオカルト研究部ってどんな部活なんだ?」
「お、興味を持ってくれたのか?
実はなこの部はな、授業の延長線のことをやる部活なんだ。
けどな、ちょっとした名残でこんな名前になっているだけだ。
本当に他の名前が思いつかなくてな…。」
「見学とか体験入部とかはできるのか?」
「おう、できるぞ!」
「なら、行かせてくれ!
ちょっと、見てみたくてな…。」
「歓迎するぜ。」
うん、俺の目標にひょっとしたら近づけるかもしれないな。
俺はそう思い、午後の授業に備えるのだった。
前書きにも書きましたが、久々の投稿となっています。
この話はあまり進めていなかったので、少しでも進めようと思った次第です。
読んで頂きありがとうございます!
面白いと思って頂けたなら幸いです。