オカルトの学校『星天魔導学校』
ガタンッガタンッと電車の進む音が鳴る。
俺こと古香坂 灰は流れ行く景色を俺は眺めていた。
大量のビル群などが俺の目には写り続ける。
ここは東京都の隅っこで元々は結構な田舎だった場所だ。
故にまだ住宅街などは残っているが、やはり最近建てられたビルなどが目立つ。
俺は今日からこの街にいや、正確にはとある学校の寮に住むのだ。
しかしながら…。
「灰、本当に大丈夫なのか?
寮では無く家から通えばいいのに。」
「仕方ないよ父さん。
学校の規則で寮に入らなくちゃいけないのだから。」
「でも…。」
「あなた、灰が自分で決めたことなのよ。
一々、ごねっていないで父親として男として覚悟を決めなさい。」
「あ、あぁ、すまない灰お前が心配でな…。」
「大丈夫ですよ。
父さんが心配してくれているのは分かっていますから…。」
俺は父さんと母さんが心配してくれているのはよく知っている。
しかし、何らかの諸事情が無い限り基本的にはこれから行く学校は寮に入る必要がある。
俺自身、中卒で就職しようと思ったがいくつかの面接に落ち今日7月1日、世界唯一のオカルトの学園『国立魔導科高等学校』に転入しようとしていた。
そもそも、なぜこのような学園が出来たのかは8年前に遡った。
魔術、錬金術、黒魔術などの類が未だ迷信どころか架空の産物だった頃。
一つの発見が起きた。
時代錯誤どころか最早蔑みの対象である錬金術の研究をしている人間がある日、何も無い空気から鉄を作り出した。
いや、考えてみればやろうと思えば出来る。
核兵器は原子を崩すことにより出来る産物なのだから出来るのだ。
しかし、彼が行ったことは違った。
原子を別の原子に変える際に絶対に起きることがある。
それは、原子の分解である。
それが生じることによりとんでもない放射線が発し人間の体内をボロボロにする。
しかし、彼は一切の放射線を放たずに全く別のもの変えたのだ。
それは、今までの原子分解とは違う、もしくは全く違う別の手法ということを意味する。
それは世紀の大発見とされ世界に広まった。
確か、アメリカのディーラ・コノエだったはず。
一応ハーフという話もあるがよく覚えていない。
それから、数分が経ち目的の場所に電車が止まった。
元々、親の仕事の関係上引っ越すことになった為に俺はここに来たのだ。
そこで俺はついでに自分のことについて知ろうとその学校に入ろうとしたのだ。
しかし、さすがは国立いや、世界唯一の学校といったところだろう。
試験問題はかなり難しくおまけに九割取らないと転入出来ないと来たものだ。
俺は頑張り最終的に合格出来た。
そんな経緯もあり、俺は新たな一歩を踏み出そうとしている。
「灰、ここでお別れだね。
連絡はしっかり入れるんだよ。」
「お母さんはいつもあなたの無事を祈ってるからね。
あまり無茶しちゃダメよ。」
「分かった。
いって来ます!」
「「いってらっしゃい」」
そう言って俺は両親と別れ、『国立星天魔導科高等学校』に向かうのだった。
「ここが、学校か…。
広いな。」
確か、大きめの市一個分の広さだっはず。
それで一体幾つの市が潰れたのだろう。
考えないようにしておこう。
とりあえず、本校舎、普通科等に入って職員室に向かう。
コンコン
「失礼します。」
俺はしっかりとした挨拶をして俺は持っていたハガキで確認をする。
このハガキは合格した際に郵便で送られてきて転入手続きの場所や向かう場所がこと細やかに書かれている。
確か、ここから左二番目の机の一番の後ろだった筈…。
「ああ、君!
ここだよ。」
すると、手を挙げる先生がいた。
俺はそこまで歩いて行き一度お辞儀をする。
「そういう、社交辞令とか礼儀作法はどうだっていい。
砕けた感じで良いぞ。」
その先生は参ったと言わんばかりの表情をしながら言う。
先生は女性でスレンダーな感じだった。
背はそこそこ高く、俺と同じくらい。
黒髪でロングストレートだ。
十人十色といえでも先生はとんでもない美人で殆どの人間が美人と答えるほどである。
「自己紹介がまだだったな。
私は楓 空一応数学を担当している。
そして私が聞きたいことは一つ。
君は所謂オタク文化というやつにどれくらい触れている?」
先生は突然意味のわからない質問を投げてくる。
とりあえず、事実を言っても良さそうだし言うか。
「えっと、どれくらいと言われても困るのですけど、ある程度は触れていますよ。
漫画とかだけでは無くライトノベルのファンタジーとかを…」
瞬間、周りはシーンと静まり返る。
俺は何か失敗したのかと内心慌てる。
しかし、表に出さないように頬をかいて周りを見る。
よく見ると約半数の先生がプルプルと震えている。
俺が本能的にヤバイと思った瞬間…。
『素晴らしい!』
そう職員室中に響き渡る。
「ダメだぞ、彼はうちのクラスに入るのだからやらないぞ…。
すまないな灰君。
驚かせてしまって。」
「いえ、大丈夫ですよ。
でも、何で素晴らしいなんて言い出したんですか?」
「ああ、そのことか…。
簡単な話だよ。
この学校はトップクラスどころか世界一を狙えるくらいの偏差値を有している。
そうなると来るのはこのオカルト社会に無縁の時期が多かった優秀な生徒、要するにいい子ちゃんばかりなのだよ。
けれど、私達はまだオカルトについてあまり知らない。
そこで参考になるのが昔は忌み嫌われてきたオタク文化だったのだよ。
確かに無関係や合っていない物も多いがその中に応用できるもの、参考にできるものが溢れている。
それのおかげでこの学校は出来たと言っても大袈裟にはならない程にね。
元オタク、現オタクいいや、この言葉は止めよう、差別みたいだ。
言い方は思いつかないが彼らはとてもユニークな発想を持っていて研究者も多いこの学校においては大歓迎なのだよ。
しかし、国立故に偏差値も下げられないのが難点なのだよ。
他にも昔からある呪いや黒魔術なども参考にしているよ。」
なるほど、一部とはいえでも物の見方を変える程、あの八年前のことはすごいことなんだな…。
けど、オカルトで纏めているけど、要はファンタジーということだよな。
光とか闇とかあったりして…。
「っっ‼︎」
「どうかしたのかね?
頭を急に抱えて…。」
「いえ、ちょっと頭が痛くなっただけです。」
今一瞬痛みと共に何か…気の所為か。
「そういえば、君の寮についての資料がまだだったな。
あと、君の髪の色は生まれつきかな?」
俺に資料を渡したあと、先生は何気に俺の髪について聞いてくる。
それもそうだろう。
灰色の髪は少し聞かない髪の色だ。
まぁ、銀髪を脚色した感じで収まるかもしれないが…。
「一応は…。」
「そうか、君は日本人だよな?
ハーフとかでもないよな?」
「はい、日本人でハーフでもないですよ。」
「それにしても、銀髪いや、この色だと少し濁っているから灰色の髪かな?
珍しいな。」
「まぁ、よく言われます。」
「なるほどな。
思い過ごしだったらいいんだがな…。
もう、遅くなる。
荷物などはしっかり届いているはずだから、サッサと帰れよ。」
「さようなら」
俺は一度挨拶をして職員室を出る。
寮を探している間にすっかりと日が暮れて夜になっていた。
俺は自分の部屋に入り鍵を閉めた。
一人一部屋でよかったと思う。
なぜなら、誰にも知られたくないことが俺にはあるから。
「にしても、危なかったなぁ〜。」
俺はカバンを部屋に置き洗面所に向かう。
そして俺は付けていたコンタクトを外し鏡を見る。
そこには、右に黒、左に白色のオッドアイの自分の顔が映っていた。
「怪我、事故、病気、その全てを考慮して考えたけど当てはまらない。
どうして、こんな体質に生まれたんだろう?」
俺は一人でゆっくりと大きな溜息を吐く。
まだ、謎が深いですね。
読んでいただきありがとうございます。
面白いと思って頂けたなら幸いです。
学校名が少し気になったので変えました。
あまり変わっていませんが…。