ボスモンキー
2m近くはある体長。
恐らく、先程のレッドモンキーたちのボス的存在――ボスモンキーと呼ばれるモンスターだろう。
不味いな、さっきは不意を突いた先制攻撃が成功したが、ボスモンキーはこちらを警戒している状況なので不可能だろう。それに体格差がありすぎる。魔法も通用するかどうかも分からない。
「ウギギギギギギギギギギィッ!」
群れの仲間を殺されて激怒しているのだろうか。顔が真っ赤に染まっている。
「ウギギッ!」
ボスモンキーは木の枝から飛び降りるや否や、俺に襲い掛かってくる。
「――ッ!」
巨体に似合わず、予想以上の素早い動き。不意を突かれて思わず俺は体勢を崩されてしまう。
「ウギギギィッ!」
ボスモンキーは体勢を崩した俺に目掛けて鋭い爪を振り下ろした。
俺はその一撃をまともに左腕に食らう結果になった。
「――ぐっ!」
俺の苦悶の声と共に左腕に焼鏝を押し当てられたような熱さが広がり、そして急速に冷たくなっていく。
出血が激しいせいか、指先の感覚がない。
「ウギギギギギギギギギッ!」
ボスモンキーは俺に重傷を負わせたことが嬉しいのか、笑みを浮かべている。
くそ、どうする……辛うじて動くが、これでは……。多少の怪我なら舐めていればいいのだが、急いで手当てを――舐める? 血を舐める……血を……。
――やってみるか……。
「ウギギギッ!」
再度、ボスモンキーが爪を振り下ろしてきた。
――今だ!
「ブーーーーッ!」
「ウギャッ!?」
俺は傷口から啜った血を、ボスレッドモンキーの目に目掛けて吹き掛けた。
「ウギャァァァァァッ!」
ボスモンキーは咆哮を上げながら、目に付着した血を拭おうとするが一向に血を拭うことが出来なかった。
無駄だ、血は案外粘着力があるものだ。擦ったぐらいでは簡単に拭えない。
「ウギギギギッ!」
目が見えず、ただ闇雲に暴れるボスモンキー。
「これで終わりだ!」
俺は短剣をボスモンキーの喉元に目掛けて一閃。
切り裂かれた喉元から大量の血を流しながらボスモンキーは倒れ、絶命した。
「……ふぅ」
安堵の息を吐きながらその場に座り込む。
今回は本気でヤバかった……。下手をすれば死んでいたかもしれなかったな……。
俺はポーチから止血用のポーションが入った小瓶を取り出す。
このポーションはセレンがもしもの時の為に調合して持たせてくれたものだ。
俺は小瓶の蓋を開け、それを直接傷口に掛けた。
「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
予想を超える激痛に思わず声を上げてしまう。
しかし、血は止まり、傷口も見事に塞がった。
「……ッッッ! まさかここまで痛みが走るとは思わなかったな……」
そう呟くと、俺は目的の虹色草に近づくと、それを丁寧に採取する。
「これでセレンは助かるぞ……!」
俺は虹色草を握り締めながら町へと駆けていった。




