表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

キャバ嬢

 三ツ矢はナナコに抹茶で金を稼ぐ提案を持ちかけた。


「うーん…… まあ、普通には売れないでしょ」


 ナナコが言うには、そこまで大金を払わなくとも、市場に抹茶の在庫は余ってるだろうから、買わないんじゃない? とのことだ。


「でも、お前が売るとなると、客は断れないんじゃないか?」


 理由は、狙っている相手の機嫌をそこねるわけにはいかないのと、買わなければ買った客にナナコを取られてしまうのでは? という心理からだ。


「まあね。 この人は買ってくれそうって目星はついてるけどね~」


「じゃあ頼むよ!」


「50パーセントかな」


 何っ、と思わず三ツ矢は声をあげた。


「半分だって!?」


「そりゃそうでしょ! 私がいなきゃお金稼げないんだから」


 確かにそうだが…… と三ツ矢は口ごもる。

売り上げの半分をナナコに渡すとなると、100グラムを10万で売らなければならない。


「あ、それと、いくら稼げるかは保障しないからね? 相手によって値段変えるから」


 しかし、ナナコに任せる以外に手はなく、三ツ矢は仕方なくその提案に乗った。





 それから2週間が経過した。

ヨモギはコンビニでバイト、三ツ矢も引っ越しなどのバイトをして稼いでいたが、中々金は貯まらない。


 昼間、三ツ矢の休憩中、携帯が鳴った。


「あっ、ナナちゃん?」


「在庫の抹茶全部売ったよ~。 500万稼げたから、250万は約束通り貰うね」


 500万、元々それだけ稼ぐ予定だったとは言え、三ツ矢は驚いた。 


「そんなにすごいかなぁ? 半年働いたら稼げるでしょ?」


 ということは、ナナコは月々100万近く稼いでいることになる。

時給1000円の現状、三ツ矢とはまるで住む世界が違った。

しかし、ナナコのことはとっくに諦めてる、と気を取り直し、250万を受け取る約束をした。


 



 後日、店のテーブルに250万とバイトで稼いだ1064円が置かれた。


「250万はすごいわよ、でも…… たったこれだけ?」


「悪い…… 飲みに行った。 って、そうそうお前こそ、何で1円も出さねぇんだよ?」


「私は私のために稼いでるんだもん」


 残り250万が果てしなく遠い。

そんな時、松野が現れた。


「あっ、じいちゃん」


「ヨモギ、良く聞きなさい。 三ツ矢君も。 この店を売ったお金で、ニューヨークに行きなさい」


 突然、松野はそう切り出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ