知恵袋
帰りの電車、三ツ矢は考えていた。
ニューヨークへの出店を諦める気はなく、永住権を何としてでも手に入れたい。
「永住権を発行するのは、確かアメリカ本国にある事務局だ。 そこと繋がっているのがアメリカ大使館……」
永住権が欲しくても、審査に通らない人間は必ずいて、大使館の中にも、そのことにつけ込んで金を稼ごうと考える人間がいるはずだ。
もしそんな相手とコンタクトを取ることができたら……
「……だけど、直接そんな話できるわけがないよな」
仮に大使館の人間と接触できたとしても、まともな相手なら即座に捕まってしまうだろう。
「となると、その気のある相手を誘い出すしかないな……」
問題はその方法であった。
「……ダメ元もいいとこだが、これしか思いつかねぇ」
三ツ矢の思いついた方法。
それは、ヤ○ー知恵袋と呼ばれる大手の質問サイトから、大使館の人間を誘い出す、というものだった。
「ただいま!」
「お、早かったね」
三ツ矢がみつ豆に着いたのは11時頃だ。
ヨモギは椅子にもたれてスマホをいじっている。
「プレゼン駄目だった」
「ええーっ、マジ? あんだけ気合入れてったのに…… もしかしてニューヨーク出店もおじゃん?」
「いや、俺は諦めねぇよ。 まだ考えがある」
すると、良かった-、とヨモギが言った。
「何が良かったんだよ?」
「いや、実はさ、私の高校の時の英語の先生に三ツ矢さんのレッスンをお願いしてたんだよね」
「マジかよ!? 意外とやるじゃんか!」
三ツ矢の懸念の一つが思わぬ形で解消された。
そのままテーブルの上にあるパソコンを起動させる。
ヤ○ー知恵袋と検索をかけ、自分のIDを入れてログインする。
「あとはこっちがうまくいけば……」
三ツ矢の投稿した質問の内容はこうだ。
アメリカの永住権を取りたいのですが、条件が難しく、正規の方法ではとれそうもありません。もし、お金で解決する方法を知っている方がいれば、教えて下さい。
この質問をしてから2日後、とある人物からの返事があった。
これしか思いつかないというw