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49話

  シグルはマリアナの温もりと柔らかさにちょっと複雑だった。


  断られてしまったのに。これでは生殺し状態だ。そう思いながらもマリアナのしたいようにさせる。そっと彼女の背中に両腕を回す。座っているので腰の辺りになってしまったが。マリアナのお腹に額を当てる。


「……マリアナ。俺は男よりも女性がいい」


「それはわかっています。私もルーデンス様をあなたが選ぶはずはないと思っていますから」


「そうか。少しは信用してくれているんだな」


  ほっと胸を撫で下ろす。マリアナはどう思ったのかシグルの頭を撫でてきた。優しく撫でられると不思議と落ち着く。けどルーデンスにはいずれは落とし前をつけないといけない。それを考えると気が重いが。マリアナがルーデンスに敵視されたままなのはいけないとわかっている。それでもやらないと前へは進めないのだ。シグルはよしっと心中で決意をした。マリアナの為にも頑張ろう。そう思いながら一度マリアナへの抱擁を解く。


「マリアナ。ちょっと横へどいてくれないか。さすがに立てない」


「……あ。すみません。どきますね」


  マリアナはやっと気付いたらしく横へと少し移動してくれた。シグルは立ち上がると彼女に手招きをする。そうした上でマリアナの両肩に手を乗せた。額に軽くキスをする。


「……マリアナ。俺はルーデンスに言うよ。好きでいてくれるのは嬉しいが。やっぱり女性がいいとね」


「はあ。それで何で私にキスを……」


「マリアナに少しは愛情表現しないとね。何度も言うけど。俺は女性がいい。しかも君だったら婚約者だし。これでもけっこう君を気に入っているんだよ」


「……私もシグル様が好きです。愛してると言ったらおこがましいかもしれませんけど」


「そんな事はない。おこがましいなんて思ってないよ。俺もマリアナが好きだ」


  まっすぐに言うとマリアナは顔をリンゴのように赤らめる。照れているらしい。


「そう思っていただけると嬉しいです。けど私でいいのか不安で」


「不安にならなくてもいい。俺の事を好きでいてくれていたんだな。素直に嬉しいよ」


  シグルは両肩から手を離す。再び抱きしめた。今度は唇にキスをする。最初は浅く軽いものだったが。しばらくして深く情熱的なものに変わった。マリアナの唇は柔らかくて甘い。シグルはキスにしばらく熱中した。息が苦しくなったのかマリアナに背中をバシバシと叩かれる。そこでやっとキスをやめた。


「……すまない。ちょっと夢中になってた」


「もう。あまり何度もされるから膝に力が入りません。どうしてくれるんですか」


「悪かったよ。ベッドまでは運ぶから」


  そう言ってシグルはマリアナの肩と膝裏に腕を差し入れた。ひょいっと横抱きにする。驚いたのかマリアナは彼の首に両腕を回す。意外と軽い。そう思いつつも寝室のベッドまで連れて行ったのだった。

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