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44話

一年以上ぶりの更新です。お待たせしました。

  マリアナはお茶会に出席した。


  お茶会には高位貴族の夫人や令嬢方、現太公の妹君達もいた。現太公--サミュエル陛下の妹君にはマリアナの婚約者でもあるシグルの叔母のリナリアもいる。彼女は太公妃であるメアリアン妃の兄--エドワードの夫人でもあった。シンフォード公爵夫人として有能で穏やかな女性としてヴェルナード公国では慕われていた。

  マリアナは最初にこのお茶会の主催者である太公妃のメアリアン妃に挨拶するために目で探した。が、なかなかメアリアン妃の姿が見つからない。どこにおられるのだろうと歩き出す。すると後ろから人の足音が聞こえた。声をかけられた。


「……おや。見かけぬ顔だと思えば。新入りのメイドではあるまいし」


  男性の低い声でマリアナは振り返った。眼鏡がないのでコンタクトレンズなる物をつけているが。初めてつけるので目がゴロゴロするし今ひとつ見えにくい。それでも男性を見極めようと目を細めた。が、男性は睨みつけられたと思ったのか顔をしかめたらしい。


「ふん。ちょっと言っただけで睨むとは。礼儀がなっていないな。お前、何を探していた?」


「……何をって。太公妃様を探していたんです。それで。私に何かご用でしょうか?」


  問い返すと男性は余計に不満そうにする。目を凝らしてわかったのは白金の髪を短く切り揃えて赤紫色の瞳の若い青年という事だった。が、マリアナは初対面だと思った。


「へえ。太公妃様をね。お前、どこの家の者だ?」


「ラインフェルデン公爵家ですが」


「……ラインフェルデン公爵家だと。確か、あそこの娘が皇太子殿下の婚約者になったと聞いたが」


  そう呟くと男性は黙り込んでしまう。マリアナはどうしたのだろうと首を傾げる。しゃらっと髪飾りが鳴った。


「……ルーデンス。そこで何をしている」


  低い声がまたして横を向くと黒髪に紫色の瞳の青年が冷たく男性を睨みつけて立っていた。彼を見てマリアナは驚く。


「……これはこれは。皇太子殿下ではありませんか。そこの女、一体何者です。先ほどからキョロキョロと落ち着かない様子でしたが。太公妃様を探しているとか言っていましたよ」


「ルーデンス。女とはまた失礼な口をきくな。彼女は俺の婚約者で公爵令嬢なんだが?」


「殿下。本当にこいつが公爵令嬢だと言うんですか。そうは見えないが」


  さすがに失礼な言い方だとマリアナも思う。男性--シグルもそう思ったのだろうか。余計に睨みがきつくなった。


「ほう。こいつねえ。どこをどういう風にしたらそう見えるんだ。マリアナは美しいだろうが」


「……ふん。シグル殿下の目が節穴なんですよ。俺の方がこの女より美しい。殿下は騙されているんです」


「気色悪い事を言うな。男のお前と彼女を比べたって仕方ないだろうが」


  シグルはそう言うと深いため息をつく。マリアナはどうしたものやらと黙って様子を見ていたのだった。

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