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40話

シグルはマリアナと話をした後で彼女を寝室に戻した。


自分の寝室だったら結界が張ってあるから安全だ。そう思い、眠れなくてもいいからそちらにいるように言った。

「マリアナ。嫌だろうけど寝室にいてくれ。せめて夜が明けるまでは」

「わかりました。寝室に結界があるからですね?」

「そうだ。寝室にはその。マリアナの実家の兇手(きょうしゅ)達もいるから。二重に安全だ」

「なるほど。父には感謝をしないといけませんね」

マリアナは頷いてソファから立ち上がる。寝室へと戻っていった。それを見届けてからシグルは横に置かれたブランケットを広げて眠りについたのだった。


朝方になりマリアナ付きのカリンとシグル付きの侍女が一緒にやってきた。シグル付きの侍女は名をフィルと言い、もう一人はジェシカといった。

二人がソファで寝ていたシグルを起こした。が、マリアナが客間にいないとカリンはフィルに説明をしていた。二人はシグルが夜中にマリアナの部屋に行っていたのを知っている。なので二人に頼み込み、シグルの部屋までやってきたのだった。

「殿下。朝ですよ。起きてください!」

フィルが大声で呼びかけるとシグルはすぐにしかめっ面をしながらも目を覚ました。

「…んん。フィルとジェシカか。もう朝か?」

「そうですよ。それより婚約者のマリアナ様はどこにいらっしゃいますか?」

フィルがマリアナの名前を出すとシグルはすぐに眠気が吹き飛んだらしい。ブランケットを絨毯の上に落としながらも慌てて立ち上がる。

「あ。そうだった!」

そう言って寝室に向かう。

「…フィルさん、ジェシカさん。何で殿下は寝室に向かわれているんですか?」

「それは。カリンさん、昨夜にマリアナ様のお部屋にスノーヴァ侯爵家の刺客が現れたらしくて。それを知った殿下がこちらに来させたんだと思います。寝室には結界が張ってありますからマリアナ様はそちらかと」

寝室と聞いてカリンは失礼を承知で急いだ。シグルの後を追って寝室のドアに向かう。まだ、シグルはドアを開けていない。割り込むようにしてカリンは体を捩じ込ませてドアノブを回した。が、内側から鍵がかかっていて開かない。

シグルがフィルとジェシカに目配せをする。ジェシカが早足でドアに近づき、スカートのポケットから鍵を取り出した。それをドアノブの鍵穴に差し込み、回した。かちゃりとドアが開く。

カリンは真っ先にドアをバンッと開けて中に飛び込んだ。ベッドにはマリアナがいてちょうど起き上がり伸びをしていた。

「ああ。お嬢様!!」

カリンは半泣き顔になりながらマリアナに駆け寄る。そのままの勢いで主である彼女に抱きついた。

「ご無事でよかった。もう、殿下の寝室に連れていかれたと聞いた時は無体な事がなされたのかと気が気ではありませんでした。しかも刺客が来たとフィルさん達に聞いて生きた心地もしなかった!」

カリンはそう言いながらマリアナを抱き締めた腕にきゅっと力を入れる。

「カリン。心配を随分とかけてしまったみたいね。ごめんね」

マリアナが言うとカリンはわあと泣いてしまった。シグルとフィル達は寝室を出たのだった。

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