表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/50

27話

マリアナが眠りについてから半日が経った。ジュライが心配する中で彼女はその日の夜遅くに目を覚ましたが。カリンはまだ地下牢獄から出されておらず、それを聞いたマリアナの表情は沈うつなものになってしまう。

「そう。カリンはまだ解放されていないのね。早く犯人が見つかるといいのだけど」

「お嬢様。そのカリンの他にも捕まっている侍女は二人います。彼女らもなかなか口を割ろうとしないとかで。尋問をする獄吏たちも手を焼いていると聞きました」

「そう。他の侍女たちも口を割らないのね。八方塞がりだわ」

「とりあえずはお食事をなさいませ。わたしが軽食でもお持ちしますので」

「お願いするわ」

では失礼しますと言ってジュライは寝室を出ていく。マリアナはそれを見送ると深くため息をついた。何故か嫌な予感がする。

身震いをしてマリアナは目を閉じた。シグルや実家の家族が無事でいればいいのだが。そう思いながら眉間を揉んだのだった。




あれから、一時間近くが経ったがジュライはなかなか戻ってこない。どうしたのだろうとマリアナは様子を見に寝室を出る。だが、ジュライの姿はない。どうしたものかとソファに座ろうとしてドアがノックされた。

返事をするとドアは勢いよく開かれた。中に入ってきたのは騎士が数名とシグルの弟のシェイドだった。

「やあ、マリアナ様。今日はこのように不躾に押し掛けてしまいすみません。実は兄上の暗殺未遂の件であなたにも捕縛の命が下されました。なのでご同行をお願いしたいのです」

「え。私に捕縛命令?」

「ええ。兄上には申し訳ないと思ったのですが。僕と父上、他の捜査に携わっていた者たちで話し合った結果、カリンという侍女が怪しいと結論が出ました。主であるあなたも取り調べる必要があると父上は判断なさいました。なので地下牢獄に来ていただきます」

シェイドは冷たい瞳でマリアナを見据えながら言った。体が指先や爪先から冷たくなっていくのがわかったのだった。



その後、マリアナはシェイドに随行していた騎士たちにより華奢な鎖の手枷と足枷を付けられた。一応、皇太子の婚約者なので手荒な事はされなかったが。シェイドは騎士たちにマリアナを連れていくように指示を出した。「マリアナ様。あなたが兄上と婚約なさったのが裏目に出ましたね。僕はあなたが嫌いでした。早く兄上と別れれば良いのにと思っていたから」

シェイドは独白のように呟いた。マリアナは混乱する頭で彼の言っている事を考える。

(私がシグル様と婚約したのがいけないって。もしかしてシグル様に毒を持ったのはシェイド殿下?)

その事実に気がつくと体が震えてしまう。あまりのおぞましさのためだ。自分がいたからシェイドはシグルに罠を用意したのか?

いや違う。何故かそのように思えた。シェイド以外にシグルを嵌めようとした人物はいる。

地下牢獄に連れていかれる中でマリアナは犯人について一つの事に思い至った。シェイドと繋がっているのは国内の貴族だと。国でも有数といわれた頭脳で必死に考え続けたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ