22話
軽くR15設定の描写が入ります。
シグルはマリアナの姿を見て安堵したらしく笑顔を浮かべた。マリアナは寝室に入ると侍女に目配せをして人払いをする。
侍女や侍従は心得たらしく一礼して退出していった。マリアナはゆっくりと歩いてベッドの横にある椅子に腰掛けた。
「シグル様。ご用があるとの事で参りましたけど。何かありましたか?」
小首を傾げながら尋ねたが。シグルは満面の笑みでマリアナの方を見ながら答えた。
「うん。どうしようもなくマリアナの顔が見たくなってね。ちょっと、女官のシンシアに言って呼んでもらった」
「…はあ。私の顔が見たくなったですか。それはまた奇妙な気持ちをお持ちになりましたね」
眉をしかめながら言うとシグルは焦ったように上半身を起こした。ちなみに先ほどまでシグルはベッドに横になっていたが。
「マリアナ。その、誤解しないでくれ。別に変な事をしようという気持ちはないから!」
「…本当ですか?」
「本当だよ」
シグルは真面目な顔で頷いた。マリアナは疑わしい顔をしながらもはずれた彼の手を再び握る。
「わかりました。シグル様が変な気持ちで私を呼んだわけではないということは。ですけど、今度はなしですよ。くだらない理由で私を呼んだりしたら大公陛下や妃殿下に言いますからね。それは約束してください」
「わかった。今度からは気を付ける」
わかればいいんですとマリアナは言いながらもしかめた顔を笑みの形に変える。シグルはぽかんと惚けた顔をしながらも彼女の手を口元に引き寄せた。素早くキスをした。
マリアナは小さく悲鳴をあげて手を自分に戻そうとする。シグルはがっちりと掴んで離すまいとした。慌てるマリアナだった。
それから、シグルは固めのマリアナの髪を撫でながらベッドに来るように誘ってきた。断ろうとしたがシグルは強い力でマリアナの腕を引っ張り、無理にベッドへ引っ張りこんだ。
「あ、あの。シグル様?」
「マリアナ。最後まではしないから。ちょっと付き合ってくれるかな?」
「えっ」
マリアナは耳元に顔を寄せられて固まってしまう。低い声で囁かれもして顔がうっすらと赤くなる。
「マリアナ。可愛い」
シグルは低く囁くとマリアナの髪を耳にかけた。軽く耳たぶにキスをする。頬から顎の線までをつとなぞった。「ひゃっ」
手でやられてマリアナは声をあげる。シグルはいい気になって彼女の額にもキスをした。それだけでマリアナは顔から火を吹きそうになった。
「マリアナ。初夜が楽しみだよ」
くすりと笑いながらうなじをさっと撫で上げた。マリアナはひゃっとまた声をあげる。ベッドの中でシグルのいたずらはしばらく続いたのだった。