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世界救出旅行記  作者: なんか てる
――ある紳士はかく語る――
1/4

出会い

なにぶん小説を書くのは初めてのため、おかしな表現があったり見辛かったり、誤字脱字、話のつながり的におかしいのでは、といったことが多数あると思います、そういったことで気分を害する恐れがあります事を先に謝っておきます。なるべく誰もが分かりやすい内容になるよう努力していきたいと思いますのであたたかい目で見守ってやってください。

町外れの小高い丘の上の庭仕事から私の一日は始まる、と言っても趣味の範疇であり別にこれが苦というわけではない。

庭に咲く色とりどりの花々は自慢の逸品である、語りだすと長くなるので割愛するが、季節に沿った花々が順調に咲いていくさまは、いつになっても心揺さぶるものがあるものである。

その後部屋に戻り朝食を軽く取る、今日も紅茶がおいしい。

朝食が住むと外套とハットをかぶりステッキ片手に街に向かう、もう何十年と繰り返してきた日課である。









「やぁフィリングスさん、今日もお元気そうで」


「君も元気そうで何よりだよ」


「当たり前ですよ、俺が元気でなかったら誰がここを守るんですか!! なんて、あはは」



少年にしてはとても人当たりのいい彼はこの国の王国騎士団所属である、いつも元気に門番をしている。

満面の笑みで手を振ってくれる彼を背に街に入っていくのが最近の朝の風景となりつつある。








大通りは今日も、行き交う人々で賑わっている。

行きつけのマスターのところへ向かおうと通りを外れた裏道に出る。

喧騒から外れたこの道は少し小汚いが、これぐらいで丁度いい。

綺麗に飾られた大通りとはまた違った美しさがある。

忘れられたこの路地は切り取られた別世界の静けさに包まれている、ゆえに、その上品でない少年の声が私に届いたのかもしれない。

角を曲がり目に飛び込んできた光景はいわば裏の日常でもあった、けれどその中心にいる人物だけは、この切り取られた世界の日常からも更に切り離されていると私は感じたのであった。



「ねぇねぇ君君、そんな格好でどうしたの? お兄さんたちが着るものを貸してあげるよ、付いてきな」



セリフだけ聞くと親切に聞こえるそれも、着崩した服装の青年達が5人で一人の少女を囲んでいる状況では、その言葉の通りには受け入れられはしないだろう。

そしてなにより、その少女が一番この路地において騒々しかった。

生まれたままの姿で立ち尽くす少女、透き通る白い肌、純白の髪、黄色、いや金と銀の、まるで物語の妖精のような、そんな幻想的なオッドアイをしている、顔はとても幼く、見た目には140ほどしかないためおそらく10歳そこらだろう。

何一つ映していないようなその瞳が現れた私を捉え続けている、表情は一切替わらない、人形だと言われても信じられるだろう。

青年らが集まるのも無理は無い、彼女にはそれだけの商品価値があるのだろう、なんとも嘆かわしいことである。

けれど私にはそんなことは関係なかった、彼女の目は私を捉えて離さない、私も彼女に不思議な雰囲気を感じ立ち止まってしまっている、いや、周りの音が聞こえず彼女にだけ集中している。

恋やどうとかいう感情ではなく、彼女の容姿に驚いたわけでもない、ただそのなにも映していないその目に私は興味をいだいたのだろう。

微動だにしない彼女とその目線に気づいたのだろうか、こちらに向く5人の青年達。



全てはこれが始まりだった。












カランカラン


裏路地にある少し暗いこの喫茶は私の行きつけである。

少しだけ薄暗い店内に、仄かな明かりが醸し出す老舗な雰囲気はとても落ち着くものがある。

先代の頃から通っているが現マスターも相当の腕である。



「いらっしゃい、エイルズさん」



ドアに吊るされたチャイムが鳴り響く、このカランカランという音に少しわくわくするのは私だけの秘密である、顔に出したことはない。



「マスター、いつものやつを……この子にはミルクを頼む」



そう言われて初めて気づいたのか私の外套に着られている少女に目を向ける



「……何か違うと思えば、外套を脱いでたからだったんですね」



目を驚愕しているという風に目一杯開いているところを見ると、咄嗟に叫びそうになったことは想像に難くない、聞きたいことも色々あるだろうに、それを言わない彼はさすがは店のマスターと言ったところである。

マスターの正面、カウンターの定位置に腰をかける、少女はなにも言わず隣に腰掛け……れなかったようで必死によじ登っている








「ところでエイルズさん、どこから攫ってきたんですか? 」



とてもいい香りを引き連れ、裏から戻ってきた彼は開口一番に寝ぼけたことを言っている。

これが彼のいいところでもあり悪いところでもあるのだが。

それにしても、いつも私以外の客を見ないが彼はどうしているのだろうか、裏路地にあることを差し引いても、もう一人ぐらい来ていてもおかしくないであろうに。



「……」


「……」


「ごめんなさい、僕が悪かったです」



殊勝な青年である。



「え~っと、そうですね、ついさっきこの城下町上空に随分と綺麗な大規模魔方陣が展開されていましたから、おそらくどこかの魔法使いがおちゃめに雷でも落としたんじゃないですか? ところでエイルズさん、彼女、服は着せゴフッ!? 」



沈黙に耐えられなかったのか、コーヒーメーカーを用意しながら自分の予想を次々と述べている、案外当たっている所がすごい、ただ最後のは相当痛そうだ。

どこから現れたのか、マスターの奥さんが騎士団も真っ青な綺麗なストレートを決めている。

彼女の動きはなかなかのものがある。



「あなた、少女の柔肌をジロジロ見るなんて……荷物が届いてるのちょっと裏まで来てくれる? 」


「ち、違うんだメアリーこれはそういうのではなくて、純粋に心配を、それにエイルズさんのコーヒーがまだだし、て、あっ! ちょっと落ち着け!! 落ち着いて、落ち着いてくださ…………」



引きづられていく片手間に全てを用意し終えているあたり、尻に敷かれるのに慣れてしまっているのであろうことが伺える、その手際を褒めるべきか呆れるべきか……

それにしてもマスター、先代からこの店を引き継いで間もないというのにこの味はすごいものがある。







いつになっても動こうとしない少女にミルクの飲み方を教える。

両手でぐっと持ち、口に持っていっている、このぶんなら心配はいらなさそうだ、物分りはいいようである。

私もコーヒーに口をつけていると奥さんが裏から戻ってくる、拳を握りしめていたのにその手に腫れがないとこを見ると、なかなかのやり手である。



「うちの主人がごめんなさいね」



嫌味のない笑顔で少女に語りかけている、相変わらず少女の方は人形のようで微動だにしていない。



「彼女は? 」



素朴な疑問を聞いてくる、確かに店側としては正しくない質問だが、私ももう顔なじみである、これくらいはなんてことはない、少女が外套以外なにも着ていない事がなおさら気になったのであろう。



「ここに来る途中で青年達に絡まれているのを見かけてね」


「なるほど……服は、そうねぇ、私のお古でよかったら着ておく? ほつれてないのを見繕ってあげる」


「すまないね、なにぶん女性の服というものには疎くてね、頼んでもいいかい? 」


「任せておいて、何たってこんなに可愛い子だものおしゃれしないとね」



でも、エイルズさんなら問題なく服を見繕えそうだけど、と言い残して少女の手を引こうとする、私のことを少し買いかぶり過ぎである。

ただここに来て問題があった、少女が一切動こうとしないのである。



「どうしたの? 」



彼女の疑問はもっともである。



「あー、そうだね、彼女が服を見繕ってくれるそうだから行っておいで」



私の言うことは聞くらしい、少女はそーっと椅子から降り、彼女の後ろについた。

私の言葉にしか反応しないのは刷り込みのようなものだろうか? なんにせよ少女は見た目相応の思考は持っていないように見える。

言ったことはしっかりこなせるようだから、知恵が遅れているということはないであろうが、後でしっかり話す必要がありそうだ。



「それじゃあ行こっか」



少女の口周りについたミルクを拭いたあと、半ば強引に手を引いている彼女の顔がキラキラと輝いていたのは、母性本能的なあれだろう、少女には少し悪いことをしたかもしれない。








「おかえりマスター、怪我はないかい? 」


「ははは……あれは条件反射だったみたいで、それ以降はなにもされてませんから……ははは、はははは」



少し壊れているぞマスター……



「ところでなにがあったんです? エイルズさんが人を連れてくるのなんて初めてですし、ましてや幼い少女となると結構気になりますよ? 」


「いやなに、ここへ来る途中に青年に絡まれているのを見てね、それだけのことだよ」


「あ、割と予想通りだったんですか、さすがは元王国魔道士、若い人なんて一捻りなんですね」


「老いぼれを買いかぶり過ぎだよ」


「これまたご謙遜を」







マスターと何気ない話をしていると少女を背に隠し奥さんが戻ってきた。

その顔がとても満足しているのはおそらく、文字通り少女を着せ替え人形にしたのであろう。



「じゃーん」



そう言って少女を前に押し出す。

感想としては少し意外だった、奥さんのことだからもっと着飾らせると思っていた、相変わらず無表情な彼女だが服装はなかなかどうして似合っている。

というより、割と質素にまとまっている、裾と袖口、首周りに少しフリルがある足首まである白一色のワンピースだった。

私が意外そうな顔をしていることを見ぬいたのか、奥さんが少し頬をふくらませて説明してくれる



「似合わなかったわけじゃなくてね、逆に質素な服のほうが彼女の可愛らしさを惹き立たせるのよ」



別に他の服を持ってないとかじゃないんだからと、少しご機嫌斜めである、そんなに顔に出ていたのだろうか?

まぁ、言われて見ればそうである、彼女の言うように少女ならもっと色鮮やかな服でも似合うだろうが、こちらのほうが少女が引き立っていていいかもしれない。



「本人の前でこんな事言いたくないのだけれど、もしかしてこの子って喋れないのかしら」



割と唐突ではあるけれど奥さんが口を開く。



「服を選んでる時も、うんともすんとも言わないのよ? 」


「それは僕も気になってた、どうなんだいエイルズさん? 」



私としてもそれは気になっていたことだ。

ここに来る最中もついては来るが、何一つものを言わない少女のことは気にはなっていた。

当の本人は相も変わらず彫刻のようにじっとしている。



「本人に聞いてみよう、そうだな、名前はなんと言うんだい? 」



今まで私の言葉にはかろうじて従っていた彼女もこれには答えなかった。



「もしかして、名前がないんじゃ? 」



マスターが言ったその一言はひとつの仮説を裏づかせる発言だった。



「まさか、でもそれなら説明がつくわ」



奥さんも思いついたようだ、ただしマスターの思っている名前がないというのと私たちが思っている名前がないということは、言葉は同じでも意味がだいぶ違ってくる。



「あなた、それ意味わかって言ってる? 」


「名前がないんだろう? 」



わかっていないようだ。

人は生まれてくるときに親に名前をもらう、この星における常識である、なぜならば名前とはすなわち、うちに存在する魔力を抑える器であるからだ。

ゆえに名前を持たない存在はなくそのような存在は生き残ることはできない。

魔力のある者にとって名前とは一種の呪いのようなもので偽名を名乗ることはおろか、黙秘することはできない、これは魔法使いなら誰でも知っている常識なのだから。

ただ世界には名前を持たず生まれてくる存在もある。

人ならざる存在である、魔法が存在するこの星において魔法生命体と呼ばれる存在のことだ。

魔の物と呼ばれる存在である、それは時として、天使とも悪魔とも、また、精霊とも呼ばれる者が生まれることもある、そんな存在である。

それが生まれてくる理由も課程も一切が謎ではあるけれど、それなら説明がつく。

少女がなにも纏っていなかった理由、誰の声にも答えなかった、一言も喋らなかった理由。

私の言うことを聞いて行動しているあたりこれが正解ではないのだろうけれど、少女は人ならざる存在。

いわば精霊のような存在であるということだ。



そして少女は、生まれたばかりであるということである。

文章投稿は初めてですのでかなりドキドキしております、お見苦しい点はなかったでしょうかねぇ……緊張で心臓が張り裂けそうだ( ; ゜Д゜)

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