Story00
真夏の暑い日差しが降り注ぎ、コンクリートジャングルを歩くわたしにビシビシと紫外線が突き刺さる。
汗はだらだらと滝のように流れて、顔の輪郭をなぞり、ぽたりと足元に落ちていく。
耳触りな蝉の鳴き声と車道を走りぬけていく車の音。
全部が全部鬱陶しくて、眉間にぐわわっと皺を寄せる。
傍から見たら無茶苦茶期限の悪い人かかわいそうなくらい目つきの悪い人。
少しだけ残っていた生ぬるいコーラを飲みほして、近くのゴミ箱に投げ入れる。
がたこん。
弱冠ずれた軌道に従ってゴミ箱から外れたペットボトルは、ゴミ箱の横に落ちた。
それを見て溜息をひとつ。
面倒くさい。
さらに眉間の皺が増える。
近づいてよいしょと屈む。
くらりと回る視界に目をつむる。
眩暈。
あぁ、相当やられてるな、わたし、なんてこめかみを押さえてしゃがむ。
なんだか今日はついてないな。
こめかみを押さえたまま、流れる汗に気持ち悪さを感じながらさっきまであったことを思い出す。
朝、それも早朝の二時にクラスメイトに助けて!の電話を受けて飛び起きざるをえなかった。
その言葉に多かれ少なかれ心配したわたしは走って友達の家に行ったけど、実際何があったって、ゲームで死にそうになってただけ。
盛大に大きな溜息をついて自宅に帰ろうとしたら、友達に引っ張られてずっこけて階段から落下。
鼻の頭と右膝にばんそうこう。
わたしは元気百倍、野球少年かよ。
ちょっとふらふらしながらケータイで時間確認しようと思ったらケータイがない。
あれ?ない、は?なんで?と振り返れば友達の愛犬、スペログラフィティーンニャー(通称ニャー)がわたしのケータイ加えてる。
え、ケータイ返せよ、唾液でべっとんべとんになってるじゃないか。
ケータイを返してもらおうと手を出すと愛犬ニャーちゃんわたしのケータイ持ってどっかにダッシュ。
待てこらあああって追いかけたら愛犬ニャーちゃんわたしのケータイ、友達の相棒、金魚(クロスティナゼロリベンゼン)の水槽にぽちゃん。
えええええええええええええええええええ。
お前ちゃんと愛犬のしつけしとけよ。
というかなんであんな気持悪い名前つけてんだよ、愛犬と相棒の金魚でしょうが。
スペログラフィティーンニャーとクロスティナゼロリベンゼンとか無駄に長いし意味なんかないでしょ、絶対。
犬なのになんで通称ニャーなんだよ、猫か、アホ。
とにかくケータイ水びたしで使い物にならなくなってしまってさらに溜息。
帰ろうと外に出たらもうお日様が頭の上で輝いていた。
嘘ん。
来る時は早朝でちょっと肌寒かったから長袖着てるんですけど。
仕方ない、自転車飛ばして帰ろうとペダルに足をかけた瞬間友達が待ってと飛びついてくる。
オプションでニャーちゃん付き。
支えきるわけもなく自転車と共に転落。
膝のばんそうこうがガーゼにレベルアップ、肘にもばんそうこう。
愛用の自転車は何故かチェーンが切れてもう使用不可能。
友達を睨めばてへっと笑う友達。
もういっそ一発殴ったろか。
自転車とケータイを友達の家に置いてすたすたと歩いて帰る。
途中でコーラを自販機で購入、と同時に財布をひったくられて消えたお財布と五千円ちょっと。
定期も入ってるんですけど、二駅歩けってか。
そんなこんなでさらに今眩暈でしゃがみこんでる?もうなんなの、頭痛くなってきた。