兄どっち?
「明日はオレの誕生日やで。なんかくれ」
「お前な、何言うとん。
オレら双子やで」
忘れるか、アホ。
「せやかて、みんなに言うとかな。
忘れられると困るやん」
「うっさい。ねだるな恥ずかしい」
「お前ら、明日誕生日なん?」
あ、主将。
「そーなんですわ」
「へー。で、どっちが兄さんや?」
「もちろんオレですー。
ほら、しっかりモンの兄と、甘えたの弟」
「誰が甘えたやっ!
お前、俺を引きずり落ろして先に生まれたやろ。
覚えてへんけど」
しっかりモンの兄、はない、絶対。
「先に生まれた方が兄って、いつからかな?」
はい?
「いや、ばーちゃんがな。
ばーちゃんのばーちゃんが双子やったんやけど。
奥にいるのが先に入ったタネだから、後から生まれた方が姉なんや、ゆうてな」
タネ、て。
「ほらやっぱり。ホントは俺の方が兄だったんやん」
胸張ってみる。
「なんやてー。
主将、それホンマですか?」
「わからんな。ばーちゃんがそうゆうとったってだけや」
ほな、と去っていく。
顔を見合わす。
「どっちなんや?」
「知るか。どっちだってええやろ」
「いいやよくない。兄はオレや」
「なんでそんな、兄がいいん?」
「弟のモンはオレのモン。オレのモンはオレのモン」
…崩れ落ちる。
そういや、コイツにこないだ勝手に上着とられたんやった。
下から、睨めつける。
「あれ、そういう理由やったんかいな」
「何が悪い」
キレる。
「お前な、ええ加減にせえよ!俺のモンは俺のもんじゃ」
ガッ
飛びつく。殴りかかる。
「何いうか。あの上着かてオレの方が似おうとったやないか」
ドカッ
どつかれる。
「同じ顔じゃどアホ!
何なら俺の方がちょっとスマートじゃ!」
「何やて。男は筋肉やろ。
オレの方が絶対カッコええ!」
ギャラリーが増える。
「ええぞーもっとやれー」
「男バレ名物双子の大喧嘩や」
「どっち勝つか肉まん賭けよ」
ザバッ
うわ。バケツの水。
「お前ら。練習せんのなら出ていけ」
「「スンマセン」」
正座。
カシャ。
あ。写真。
「いいの撮れた。末代まで男バレで語り継ぐ」
「末代ってなんや」
男バレは今日も騒がしい。




