党
僕はとてつもなく魔法の研究がしたい…なのに!
「せんせー、これってどういう意味ですか?」
「あ、それ僕も気になります!」
「先生!この論文の確認をお願いします。」
新年度が始まって、一ヶ月が経った。僕は生徒たちのせいで実験・研究の時間がなくなっている。祐希先生が生徒たちに連絡はしたそうだけど、改善は見られない。
「あの…頼むから少しは休ませてくれないかな?最近だとお昼もまともに食べられない時があるんだけど…」
「うっ…すみません…」
「わかったなら良いんだよ。で、これはここのルーン文字に注目して…」
不老になってからここまで忙しかったこともなかったから、楽しいんだけど、もう少し自由な時間を増やしたいものだ。
「もう五月か…そろそろ動き始めるかな?」
新入生が入ると必ず動き出すグループがある。それが四つの党だ。魔法を極める上で党に入るのはかなり良い選択肢なんだけど、党でも自分にあった党を選ばなければならない。自由、実力、知識、協力の四つがある。そして四つはそれぞれ他の党を敵視しているらしく、毎年新入生の取り合いになっているらしい。まあ僕は最近入ったばかりだから話でしか聞いたことはないんだけどね!
「雪先生!大変です!」
「ん?」
僕の部屋に焦った様子で入ってきたのは佐原明里先生だった。2年生の座学を担当していて、優しい性格から生徒たちからよく相談事をされているのを見かける。
「どうかしたんですか?」
「それが、自由党と実力党が新入生をめぐって喧嘩してるんです。もう魔法を使う域にまで来てて、まだ被害者はいないんですけど…」
「わかりました。どこですか?」
「玄関前の通路です」
僕は即座に転移魔術を発動し明里先生ごと玄関にまで転移した。そこには4人の生徒が睨み合っている。
「そこまでです。魔法の使用はやめてください」
「…《炎天》」
1人がそれを唱えた瞬間、上空に大きな火の玉が現れる。落ちれば大惨事だ。
「みなさん!逃げてください!」
「きゃーー」
「《浸水》」
今度はその火の玉を包み込むように水が現れ、炎を消していく。
「《身体強化Ⅴ》」
「《武器生成【槍】》」
「これ以上は見てられないな…」
身体強化に武器生成、これ以上過激になるとめんどくさいことになる。
「しょうがないな…〈拒絶〉」
「…ッ!?」
僕がそれを発動させると上空の火の玉も水の包みも武器も身体能力もあたかも最初から何も起こっていなかったかのように消え去った。
「そこまで。これ以上は見過ごせないよ」
「…はぁ…雪先生。これは喧嘩ではありません!」
「どこからどう見ても喧嘩だったけどなぁ〜喧嘩じゃなくてもダメだけど」
「それが、この子が魔法が上手い方の党に入るって言われて…つい」
「つい…でやっていいことじゃないですよ!」
他生徒を避難させ終わった明里先生が帰ってきた。
「4人とも…いや、そこの新入生の子も、後で職員室に来てください!」
「「「「「はーい…」」」」」
そしてその問題児たちは去っていった。最後去る時に新入生の子から見られた気がするけど気のせいかな?




