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魔術師は魔法を夢見る  作者: ゆっきー
5/8

同居人

 私はあの後入学式のために体育館に集まっていました。やっと見つけた雪さんも結局話しかけるタイミングがなく、立ち去ってしまいました。


「で、あるからして____」


魔法の話など一切なく長々とした話だけが続いていました。ほとんどの生徒はつまらないそうな顔をしています。私もその一人です。


「では続きまして、伊藤博美先生より学園についての説明です。」

「はい。ご紹介に預かりました。伊藤博美と申します。皆さんにこの春雷魔法学園の生活について説明させていただきます。まず当学園では順位というものが存在します。試験時に行ったテストの結果から新入生は順位が決められています。順位が高いものは教員から優遇されたりなど、良い待遇を受けることが可能です。逆に順位が低い者は上位の者には逆らえません。逆らえないと言っても一般的なお願いの範疇を超えていると教員が判断した場合、上位者の順位を下げる場合もございます。順位の上げ方は色々あります。実験・研究のレポートや論文、成果物の提出で順位を上げることもあれば試験やテストなどの学力、最も多いのは決闘です。決闘は下位の者が自分より上位の者に挑むことができます。もし下位者が勝利した場合、上位者は下位者とランキングを交代となります。また上位者が勝った場合は下位者は一ヶ月の決闘禁止と上位者は一ヶ月間決闘を拒否することが可能です。以上が学園の順位についてです。質問のある方は?」


誰も手をあげない…そう思っていました。


「はい!」

「…では雪先生」


何故教員の貴方が手をあげてるの??と言った顔で全員がその先生の方に目線がいきました。


「これは教員に対しても決闘は挑めるのですか?」

「もちろん可能です。もし教員に勝った場合、特別枠としてランキングを10上げることができます。ただし同じ教員からもう一度上げてもらうということはできません」

「もう一つ、決闘は魔法以外も使って良いのですか?」

「問題ありません。殺傷能力の高いものでなければ許可されます。」

「わかりました。以上です」

「はい。他に質問は…なさそうですね。では次は」


そんな感じで学園の説明も終わり入学式も終了、学園の寮に向かっていました。春雷魔法学園では寮が設置されていて、寮で暮らすことができます。ですが相部屋、二人で暮らすことになります。それは貴族である私でも関係はありません。というかこの学園のほとんどの生徒が貴族なので関係ないのでしょう。


「はじめまして!貴方が私と同じ部屋の同居人ということかしら?」

「そうなりますね」


私が部屋に入るとそこには金色の長い髪を靡かせた少女がいました。私も小柄ではあると自覚していますが、その少女は私より低く、どうみても同い年には思えません。


「では、私から自己紹介をさせていただきましょうか。私は戦ヶ原舞せんがはらまい、由緒正しき戦ヶ原家の一人娘ですわ」


戦ヶ原家、この国内でも有数の大貴族の一つ、でも確か戦ヶ原って…


「私は咲村葉奈です。よろしくお願いします」

「ええ、よろしくね」

「あの、一つ質問なのですが…」

「あら、何かしら?」

「私の記憶違いでなければ、戦ヶ原家は代々剣士の家系だったと思うのですが、何故魔法学園に?」

「それは簡単よ。私には剣術の才能がないからよ」

「へ?剣術の才能がなかったんですか?」

「ええ、そうよ。もちろん人並み以上に剣を振るうことはできるわ。でも、戦ヶ原の中では才能がない方なのよ」

「よく追い出されなかったですね」

「戦ヶ原はそこまで愚かではないわ。他者を、しかも家族を一片の才能がないからと言って無能と決めつけることはしないわ。そして母上も父上も兄上も私に期待をしてくれていたの。だからその期待を裏切らないために、私はこの春雷魔法学園に来たのよ」

「なるほど…」

「でも私もまだまだね…さっき部屋に入った時にこれが置いてあったのだけれど」

「これは…?」


舞さんの手元には一つの魔道具が握られていました。見たことのない魔道具です。


「学園が支給してくれた自分の順位を確認できる魔道具らしいわ。貴方も見てみるといいわ」


私も余ったもう一つを掴み魔力を流しました。すると魔道具に私の名前と学籍番号、その他にも色々映し出されました。その中にはもちろん順位も書かれていて、私は359位でした。


「359位ですか…最下位は438なのでかなり下ですね…」

「私は293位でしたわ。上位はほとんど上級生ですわ。」

「なるほど…」

「そして私は決めたのよ。私はこの始めの一年で100位以内を目指すわ」

「100位…かなり厳しそうですが…」

「目指す場所はキツければキツいほど我が身のためと父上も言っていましたわ。これも私が上に行くための前段階に過ぎませんわ」

「は…はぁ?」

「それで貴方はどうするおつもりなのかしら?」

「え?」

「寮のルールで私たちは卒業まで同居することになるわ。でも貴方は300位にも満たない少女、そんな者と同居していては私にも泥がかかりますわ」

「さっき才能で決めつけない的な話は…」

「そうですわ。私は才能では決めつけません。でも上に登る気のない者に対しては軽蔑しますわ。つまり貴方も私の同居人になった以上、今年中に300位以上にはなりなさい!良いわね!」

「は…はーい…」

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