笹本王国
「いやー、他の人と話すなんて何年振りかな〜」
私は彼に道案内をされ彼の家?研究所?にまで来ていました。一貴族の娘が知らない男性についていくのは本来よくないのですが、あのまま外にいるのも危険と判断してついていくことに決めました。
「凄いですね。どれくらいの期間ここで過ごしていたんですか?」
「うーん…ごじゅ…5年くらいかな」
「5年…こんな森で5年も過ごしていたんですか?」
「僕はほとんど外には出ないので、部屋の中なら安全ですし」
「なるほど…」
多分彼なら外に出ても危険はないのだろうけど…ビッグボアを一瞬で消し去るほどの力、そんなことができる魔法使いはランク3以上はあるでしょう。
「あの…失礼なのは承知でお聞きしたいのですが、お名前と魔法協会でのランクを教えてもらえませんか?」
「ん?えーと…」
「す、すみません…言いにくいですよね」
「あ、そうじゃなくて…」
「あ、なるほど!私も自己紹介をしていませんでしたね。私は咲村葉奈と申します。ランクは1です」
「あー、その…ね?僕、魔法使いじゃなくて魔術師なんだよね…」
「え…えーー!?」
私は彼…柳雪さんから出された紅茶を飲みながら考えていました。私の知る魔術ではビッグボアを一瞬で倒すような力はなかったはず…雪さんには何かある。
「あの、私、そろそろ出ないと宿の時間に間に合わないので…」
「あ、そうなんだ…王都かぁ…うん、僕もついて行こうかな」
「何か用事でも?」
「うん、この森で出来る実験はほとんどやり尽くしたし、そろそろ人間社会に戻ろうかなって」
「なるほど、わかりました。ですが、その…私は空を飛べるのですが雪さんはどうされますか?」
「ん?僕も飛んでいくよ」
「え?」
「ん?」
「あ、いえ、なんでもありません。では行きましょうか」
魔術で空を飛ぶなんて聞いたことがない。どんな使い方をすればそんなことができるんだろう。そんなことを考えながら私たちは森を越えて、日が沈む頃に王都に着きました。
「私は宿のチェックインがあるのですが、雪さんはどうしますか?」
「少し知り合いに会いにこうかなって思ってるよ。今日はその人のところで泊まろうかな」
「なるほど…本日はありがとうございました。この御礼は咲村の名にかけて、しっかりとお返しいたします。」
「うーん、そんなに気にしなくてもいいんだけど…そっちの立場もあるんでしょ?御礼はなんでもいいからね」
「はい!」
そして雪さんと私は別れることとなった…
・・・
僕は王都の中心、王城にまできていた。周りはもちろん、門の前ではかなりの実力者であろう男性が2人立っていた。
「ちょっといいかな?笹本誠也くんはいるかな?」
「…前国王様に御用でしょうか?」
「近くまで来たから少しお話をね。あ、柳雪って名前を出せばわかると思うから」
「…おい、彩斗、前国王様に連絡を…念の為、団長と現国王にも話を通すように」
「わかりました!」
そう言って男性は城の中に入っていった。
「前国王ってことは誠也くんは引退したってことなのかな?」
「…誠也様は10年ほど前に引退されました。今は誠也様の息子に当たられます颯太様が国王となっております。あと、誠也様とどのような関係かは存じませんが、軽々しく君付けで呼べるようなお方ではありません。様付けでお願いします。」
「なるほどね。わかったよ。」
それから1時間以上外で待たされた。永遠の時間を生きる僕にとっては1時間も1日も然程変わらないんだけどね。そしてやっと先程中に入っていった男性が帰ってきた。
「確認が取れました。雪様、お入りいただいて構わないとのことです。」
「わかった。大変ご迷惑をおかけしました。どうぞ中へ」
「僕も色々知れたから助かったよ。それじゃあ誠也k…様のところまでお願いできるかな?」
男性の後ろをついていきながら城の中に入る。前来たのはもう50年も前だ。かなり印象が変わっている。
「ここの中で前国王様、現国王様がお待ちです」
「現国王様まで?」
「はい、どうしても会いたいとのことで…」
「ふぅん…じゃあ失礼するね」
僕が部屋の扉を開くと物凄い勢いで一本のナイフが飛んできた…が、そのナイフは僕に当たる前に空中で停止した。
「危ないよー僕じゃなかったら大変だったよ」
「この程度なら雪様なら取れると確信しておりましたから。もしこれが取れなければそれは偽物、しかも私が最も尊敬している人物を侮辱する行為です。死んで当然とも言えるでしょう」
「そうかなぁ?」
そこには椅子に座った2人の男性と横に佇む男女がいた。椅子に座っている方は少し老けている。それに対して男女の方は若い。もしかしたら20代前半なのではないだろうか?
「で、そっちが現国王ってことかな?」
「はい、お初にお目にかかります。私は笹本国現国王笹本颯太と申します。」
「僕は魔術師柳雪、よろしくね颯太くん」
僕がそういうと男女からの圧が強くなる。君付けしちゃったからかな?
「雪様とは50年振りですが、お姿も変わりませんね。」
「まあ、不老だからね。」
そう、僕はあの魔術を成功させたのだ。だから僕の身体は21歳の時から変わっていない。でも使ってから気づいた。『あ、これ、世に出したらダメなやつだ』って。だからまだあの魔術は正式な発表はされていない。
「あ、気になったんだけど、なんか魔術と魔法で変わったことあった?今日あった女の子が魔術を見たら驚いてて」
「それがですね…」
誠也くんがゆっくりとそのことを話しだす。最近の魔術界と魔法界について…




