真っ黒 2
21話目!
「チソラ、くん。」
ヒナが、つぶやいた。
「ヒナ?」
と僕が返すと寝ていたヒナが目を開けた。
「チソラくん。手術終わった、、?」
ヒナが弱々しい声でそういう。
「終わったよ。ヒナは生きてる。僕のも終わった。」
僕が言うとヒナは柔らかく笑って
「チソラくん、声低くなったね。」
と言った。
「ヒナ、大丈夫?」
と僕が聞くとヒナは首を振って
「もう死にそう。疲れた。生きてるの、辛いだけ。」
とつぶやいた。
静かな病室に、小さいヒナの声が響く。
「遺書、書いたの。」
「遺書?」
「チソラくんに、あげる。そこの、戸棚に入ってるから、、、。」
ヒナが指さした戸棚を開けると小さなノートとクリアファイルが入っていた。
「私が死んだら、読んで、、、。私、チソラくんのこと、、、、大好き、、、。」
ヒナはそう言うとニコッと笑って、その顔のまま眠っていった。
「日那乃は、起きたの?」
数分後、売店で食事をしていたヒナのお母さんが来た。
「あ、、、。えぇと。さっき、起きて、一緒に話してたんですけど、、。」
と僕が言うとヒナのお母さんはびっくりした顔をして、ちょっと安心したような顔をした。
「また、寝ちゃったのね。でも笑顔で寝てるわ。良かった。きっとおしゃべりが楽しかったんでしょうね。」
とヒナのお母さんが笑いながら言った。
どうしたら良かったんだろう。
ヒナになんて言えばよかったんだろう。
大好きって言ってあげればよかった。
世界で一番大好きだよって。
どれだけ後悔してももう戻ってこない。
ヒナは死んだ。
最後に言った言葉は僕に向けた“大好き”だった。
最後に話した次の日のお昼。
呼び出されて病院に行ったら
「日那乃さんは亡くなりました。」
ってお医者様が告げていて。
前、ヒナのところに連れてきてくれた看護師さんが立っていて、泣いていた。
あんなに明るい笑顔で接してくれたヒナの顔に笑顔はなく、病室にはヒナが居たときみたいな暖かさがなかった。
僕の心がぐちゃぐちゃになって泣くこともできなかった。
死ぬことは知ってたはずだったのに、何も言えなかった。
ヒナが苦しいこと知ってたのに何もできない無力感を、今感じていた。あの日、結さんが言っていた悔しいの感情が今わかった。
なんで、あのときわからなかったの。
なんで、あのとき、、、。
ただ、悔しくて、ヒナと話したくて、悲しくて、、、。
でもあのときの僕は何もできなかった。
はっと気づけば、眠っていたみたいで。
戸棚を見て、思い出した。
小さなノートとクリアファイルのことを。
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