「「まだ」」 1
11話目(๑˃̵ᴗ˂̵)
新しい章に入ります。
『ゆうねぇね、すごぉい。』
『えへっ、そうかなー?でも、チソラは私に負けないくらいかわいいね。』
『えぇ?チソラ、ゆうねぇねみたいになれるかなあ。』
『大丈夫。だって私の妹だもん。』
夢を見た。
小さい頃の。
何も疑いのなかった、あの頃の。
なにも数値化されないから、比べられたりしなくて。
まだ社会を知らない僕らは、無邪気だった。
「ちぃ?」
「、、、」
「また無視?酷いなあ。私、一応あなたのお姉ちゃんなんですけど。家族にくらい反応しなさいよ。なんで、学校に行かなくなっちゃったの、、?って、話してくれないか。でも、私はちぃの味方だから。」
お姉ちゃんが味方?散々、ヘンだ、とか言ってきたくせに?
「はぁ、、、。ありがと。」
棒読みの“ありがとう”。伝えなくてもいいけど、せっかくお姉ちゃんが心配してくれているのだ。返事くらいしないと、家に居場所がなくなる。
家の居場所は、少しでも話しかけてくれるお姉ちゃんだから。嫌いだけど、僕を心配してくれるし。
「ふふっ。じゃあ、いってきまーす。」
お姉ちゃんが出かける。お母さんはさっき仕事に行った。
、、、ヒナのところに、行こう。
寝癖の付いた髪を整え、白のTシャツにダボッとしたココアベージュのパーカーを羽織る。デニムのハーフパンツを履いて、黒いキャップを深くかぶる。
誰も、“チソラ”だとは気づかないように。
「失礼します。」
ヒナの部屋を開けると、ふわっと柑橘系の匂いがした。
「あ、チソラくん。」
ヒナとは、制服姿でしか会ったことがないのに、ヒナは会って早々、僕に気づいた。
「おはよ。」
「何しに来たの?つまんないよ、ここ居ても。」
ヒナが首を傾げる。
「いや、ヒナと話すために来たんだ。家に居ても暇だし。」
「まぁ、そうだよねー。家って暇だよね。じゃあ、質問!チソラくんの今日のかっこう、めっちゃカッコイイと思うんだけど、どこのですかー。」
ヒナが明るく聞く。
「え?わかんない、、、。」
どこの、とか言われても気にしないからわからない。
「えぇ。つまんないの。お姉ちゃんのとか?」
「いや、僕の。」
「ふぅん。じゃあ、もう一個質問するー。チソラくんは、さ、、、、手術するの?」
だいぶ沈黙があって、ヒナが聞いた。
「、、、。わかんない。決められない。」
わからない。ずっと考えているけど、“まだ”って言われたりすると、やっぱりそうかも、って。
「そうなんだー。でもさぁ。チソラくんはずっと悩んでるんでしょ?人になんか言われても自分のことなんだから、自分で決めないとね。」
そう言ってヒナがニコッと笑った。
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次話は明日投稿〜!




