98 もふもふなゴーレム
黒猫のミミの寝床付近をシオリと一緒に掃除し、その後に少しじゃれ合っていた。そんな時、笑顔のライラが帰宅する。
「ど、どうしたんだ、それ?」
「知り合いの伝手で入手する機会がありまして」
小麦色をした兎をケージに入れていた。
「世話が大変じゃないか?」
「大丈夫ですわ。これはゴーレムですの」
「ゴーレム?」
確認して見てみると確かに生物ではなかった。しかし、本物の兎と同じ動きで違和感がない。
(ん? マナ回路が少し雑だな。綺麗に整えておこう。ゴーレムの血液みたいなものだしな)
チラっとシオリを見ると猫と戯れている。隠蔽の魔法でサッと整えた。
「なんとMPを定期的に供給するだけで、動きますの!! ご飯やトイレなどは不要なところが売りの一つですわ。本来はそこの世話をするのが良いのですが、どうしても時間がない人や、大雑把な人に需要がありますの!!」
フランがそこで入ってきた。
「なーんだ。所詮偽物なのね」
「ふふふ。甘いですわよフラン。最近のゴーレムは凄い進化を遂げてますわ」
「ふーん」
「触ると分かります。ちゃんとモフモフしていて、偽物かを見分けるのが困難。性格もちゃんと存在しますわ!! さらに容姿やサイズも違いますの!!」
ライラがケージを開けて、両手を広げて迎えようとする。すると兎は俺の方に来た。
「……」
「アハハハハ!! ライラ無視されてるー」
近くに来たのでおでこから鼻付近を優しくさすった。少し上を向いたり、地面に顔を付けたりと頭を動かしていた。色々な反応を見せる。
「ほんとだ柔らかい。あ、目を閉じた。反応が可愛いな」
「フッ。流石はキョウですわね」
フランが興味本位で触ろうとした時、足で床をダンと蹴った。
「え?」
「あれはきっと怒った時のやつですわね。まあ怖かったんでしょうね!!」
「むむ!!」
ライラがなんとか近づくと撫でることに成功した。
「あ~可愛いですわ~」
「よしよし。フランは怖くないからな~」
「きゃわいーですわぁ~!!」
「……」
理解出来るかは分からないが、ゴーレム兎を撫でながらフランが怖くない事を伝える。
「ふーん。まあ、凄いのは認めるけどあんまり興味湧かないかなー」
「そうですか。それは残念ですわね~」
フランは部屋の中へと入っていった。その後、ペットショップに買い物に出かける。ライラに声をかけると嬉しそうについてきた。兎用ペットグッズの買い物が楽しみなのだろう。
フローリングなので、猫用に滑り止めのマットを敷いている。防音シートやクッション、ハウス、作り物の牧草を購入した。牧草は食べないが食べているフリをするので雰囲気を味わえる。
「良い買い物をしましたわね」
「だな。楽しかったな」
(ほんと色々あるな。ん?)
ゴーレムコーナーもあった。様々な動物のゴーレムが居る。どれもかなりお高い値段だった。そのゴーレムを観察していると、動きや形に若干不自然さがある事に気が付いた。
(ライラのゴーレムって特別なのか……)
ふと大きな動画広告が見えた。そこにはライラのゴーレムとそっくりなのがあった。発売はまだ先のようだ。それよりも驚いたのは値段だった。
(その辺の高級車よりたけー……)
その後、俺たちは帰宅した。懸念点だった、ミーちゃんとも仲良くしていたので安心した。兎はリリと名付けたようだ。こうして少し奇妙な家族が増えた。
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