表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/149

86 奇跡の勘違い

 ライラは合間合間にMP回復用のポーションをカブカブと飲んでいた。周囲を暖かくする分、大量のMPを消費する。いや、彼女に限った話ではない。隙を見ては皆、回復をしている。



 魔物がソウシの魔法を受けて大きくバランスを崩す。カヅキがその隙に猛スピードでボスに突っ込む。


「伍式・<()……」


 その時、クロスは魔物の表情に違和感を覚えた。非常に分かりにくい。しかし、よく見ると怯んだと思っていた魔物が、獰猛な顔つきでカヅキを目で追い、ジッととらえていた。


「なんだこれェ!!」


「待て黒霧!! 罠だ!!」


 ボスからしてもカズキの動きは速かった。そのため優れた五感を使い、彼の視線や体の動きから、進行方向を予測し、攻撃をおこなって()()


 それは今までで一番巨大な一本の氷の柱。先端が杭のように尖っている。氷の杭は凄まじい速度で、彼に向かっていく。


 しかし、幸いにも氷の柱はカヅキの真下を通り過ぎた。カヅキが偶然なにかに気をとられ、寸前で攻撃を止めて跳躍し、大きく進路を変更したためだ。


 カウンターを狙ったボスは、彼の予想外の跳躍に攻撃をはずす。そのため彼は難を逃れた。


「あっぶねっ」


 カヅキが奇妙な動きをした原因。彼は技を使う前、薙刀の柄の部分の不自然なモノに気が付いた。よく見るとシールが貼ってあった。ソウシのディフォルメのシールだ。


 人気がある探索者(シーカー)はグッズが作られる事がある。そのシールを犯人のソウシは無断で貼り付けていた。


 ナナセはその奇跡に戦慄を覚える。未来予知かと思わせる動き。昨日、鴨の不自然な動きと言葉を思い出した。


「あれが奴のスキル……恐ろしい一族だ」



 奇跡的に命の恩人となったソウシ。それはそれとしてカヅキは彼女に対し苦言を呈す。


「っざけんな。勝手に変なシール貼んじゃねぇ!!」



 声が聞こえないがソウシとナナセはそれに気が付いた。


「おい、なんか言ってるぞ?」


「吊り橋効果ね」


「あ? なんの事だ?」


「カヅキは死にかけた。そこで生存本能。不安や恐怖。あらゆる感情が同時に襲って最終的に素直になったって訳」



(あいつのスキルでもギリギリだったって事か)


「……その、つまり?」


「あれは私への愛の囁きね。探索者(シーカー)になってずっと面倒見てきたから懐いてたし。仕方ないっちゃ仕方ない。まあ、3年早いけど」


 ソウシはまんざらでもない様子で気合を入れた。体から魔力が溢れてくる。


「ちっ。こんな状況でいちゃつくなよ」


「私じゃないって。文句はカヅキに言いなさいな」




誤字報告下さった方、ありがとうございますっ!! 修正しております。


5/1 誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! [気になる点] カヅキの薙刀にソウシのシールが貼ってあったら、なぜ奇跡の回避が可能になるのか? 説明が説明になってない。 解説プリーズm(_ _)m
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ