83 思わぬ反撃
良い一撃が入ったとナナセは笑みを浮かべる、だが次の瞬間、彼女は驚愕する。大ダメージを与えたはずだが、その激痛もお構いなしに全員を引き剝がすように暴れたからだ。
特にナナセは意識して狙われ、タックルをもらう。巨大な体から繰り出されるそれはナナセをまるでボールのように弾き飛ばした。
さらに吹き飛ばしたナナセを氷の柱で追撃する。しかしそれは先ほどの数とは比較にならない量であった。フランが氷の魔法で柱を相殺するが数が多すぎて間に合わない。
全身の痛みに抗い、立ち上がろうとするが骨が幾つか折れていた。
「……あ。やべぇなこれ……」
それを木陰で見ていた師走が淡々と呟いた。
「短いスパンでの強力な氷魔法。なんてMP量。こんなの初めてですね」
その分析に付与魔術師の飯島がうろたえる。
「言ってる場合か!! おい、鴨!!」
「もうやってる……処理しきれんが問題ない」
「ありありだろ!!」
二人からヒールをかけられるナナセ。多少マシになったとはいえまだまだボロボロ。今にも倒れそうな体に鞭を打ち、殺意のこもった氷を砕こうと拳を構える。
「陸式<霧散>」
薙刀を振る。そこから放たれた衝撃波が氷を砕く。ナナセの前に立ち、フェンリルと対峙する。
「そんなに魅入るなよ。火傷するぜ?」
「カムイジュニア……」
そこで異様な魔力を纏った女性がいた。ソウシが自信満々の笑みを浮かべている。
「<チャージ>おっけーよ」
その瞬間、皆が距離を取った。そして、大爆発が発生した。ライラもその威力に驚愕する。そして、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「……っ硬いわね」
「まだ撃てるか?」
「当然。次はもう少し長く溜める」
その回答に満足したクロスが間髪容れずに指示を出した。周囲の数人がナナセたちを援護する。魔物がそれに意識を割いた瞬間にカヅキは自然と同化するように気配を消す。
「ちょっと失礼」
そう言って弱ったナナセを抱えると一旦後退させた。鴨の周辺に連れてくると再び前線に戻った。
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