表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/149

79 変な男

 皆が集まっている場所から少し外れた所に、黒魔術師の(かも)信重(のぶしげ)が座っていた。その雰囲気は暗く、大きなため息をついていた。


 そこでどこからともなくやって来たカヅキが隣に座る。同時に欠伸をした。そして、何事もないようにくつろぐ。


「……」


 お互いなにも言わずに時が流れる。


「黒霧のモノが……なんか用か、黒霧?」


「用って程じゃないよ。(たち)の悪いソウシ()から逃げてきたんだよ。静かなとこがないかと思ってたら、な」


「暗くて悪かったな」


「身内にも似た雰囲気の奴がいるからさー。慣れというか、吸い寄せられたというか。別に悪意はないんだ。だからそう怒るなって。ていうかどうしたんだ、そんな他人行儀で?」


(それを自分で言うのか……)


「暗いのは否定はしないんだな。煽りのカヅキ」


「なんだそのあだ名? 初耳だぞ」


「相変わらず自覚が無しか。だがまあ、知らないのは当然だ。俺が個人的にそう呼んでるだけだからな」


「おいおいひでぇな。小さい頃はそんな性格じゃ……あっ。まっ、まあ、悪い奴ではなかったよな……ちょっと良い方向に改善した気がするし。ハハハ」


「そういうところだ。後、忘れているだろうが、俺の方が年上だ」


「いや、俺三男だしな」


「……? だからなんだ」


「お家とかそういうのには余り関わってない」


「年上への敬意を忘れるなと言っている」


「ハハハ。そんな大事なこと俺が忘れる訳ないだろう。相変わらず面白いなノブリンはァ」


「……ふん。ソウシそっくりだな」


「はぁ? どこがだよ。あんな阿保馬鹿女と一緒にすんじゃねぇッ!!」


 そこで背後からスゥーっと現れたソウシが訊ねる。


「誰がなんだって?」


「誰って、馬鹿。決まってんだろ。あたかも明るくて積極的なお姉さん~、みたいな皮を被った暴力マッ……」


 そこで(かも)がボソリと言う。


「さらばだ」



「っ……ソウシって良い女だよなー!! なぁノブリン!!」


 急に方向性を変えたがもう遅かった。


「いいね~。その話詳しく聞こうか? あっちの方で……」


「ちょっ。助けてノブリン!! あ、ノブシゲさーん!! たすっ!!」


 カヅキはどこかに連れて行かれたのであった。


「やっと静かになったか」


 それぞれ時間は流れゆく。個人が好きに動いていたのだが、不思議と壁を感じなかったという。



 サポートパーティーの大きな支援は35階層の入り口までである。とはいえ、必要なら魔物を倒し、メインパーティーの後方の安全確保や逃げ道の確保はしている。クロスが伊西に言う。


「おかげで万全な状態で戦いに望むことが出来る。感謝する」


「成し遂げろよ」


「ああ……これより作戦を開始する!!」


 クロスがサポートへ送ってくれたお礼を済ませると、彼等は計画していた配置へと進む。戦場は森の中を選んだ。


 魔物は巨大さと俊敏さを併せ持つ。ヒーラーなど後方支援が狙われればひとたまりもない。視界を遮り、後衛を隠すのが大きな目的だ。


 周辺の魔物を倒し、人の配置を整えたので、スカウトがフェンリルをおびき寄せるために36階層へと下りた。全員の緊張が高まる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ