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6 治安悪いと思った

 翌日、学校に行くと服が届いていた。布ベースに革の胸当てなどが付いている。思ったより動き易い。席に座っていると名を知らない男女が話しかけてきた。ジョブが無いので、服に特徴がないらしい。


「うわ……雑魚装備って感じだな」


「ダっサっーい」


「うわぁ、しかもこいつ。しかもゴブリンソードとか持ってるぅ!!」


「ウフフ。支給品がなかったのかなぁ? ジョブがないからねぇ」


 魔法使いの服。布ベースにローブ姿。支給品だ。もう一人は重要箇所に金属で保護してある軽装、剣士あたりだろう。


(あ、そういえば、支給品の剣。確かに貰った……まっ、いっか)


「装備似合ってる。馬子にも衣裳って感じだな」



「はっ!! よく分かってるじゃねぇか!!」


「私の剣士様(ダーリン)だから当然ねっ」


 何故か機嫌よく何処かに行った。


(……本人が良いなら良いか)



 三限目が終わり、廊下を歩いていた。背後からさっきの男子が走ってくる。


「うおおおおおおお!! てっめぇぇぇええ!!!」



(あ、凄い怒ってる)


 剣を振り回してきたので避けると壁に当たり、腕がジーンと痺れた様子。その拍子に勝手に転んだ。


「ぐああああ!! よくも!! よくも暴力を振りやがったな!!」


 相方がこける前まではニヤニヤしていた女子が慌てて駆け寄ってきた。


「ちょっと無職の無能ぉっ。学校で暴力なんて最低ぇ!!」



(なんか学校にとんでもねぇモンスターがいるんだが)


「だ、大丈夫ですか?」



「うるせぇ近づくなぁ!! 殺すぞぉっ。ああ!!?」


「先生!! ()しょ……飛鳥(とぶとり)が暴力を振るってます!!」


 先生は事情を聞かずに俺の方を向いた。



「飛鳥さんっ。校内で戦闘は禁止ですよ!!」


「……俺武器持ってます?」


 剣は教室に置いてある。


「え? あっ……と、とにかくッ暴力を誘発する行為は止めなさい!!」



(殺人未遂はいいんだ)



 変な奴に絡まれたが気にせずにお手洗いを済ませた。戻る途中、アヤに似た女子がいた。似たというのは、横顔が少し見えたからと身長が少し高い気がした。髪を染めたのか茶髪だった。遅い成長期なのかと思い気にせずに、声をかける。


「アヤ、髪染めた?」


 振り向くとキッっと怒りの顔を見せた。間髪容れずに殴られた。とりあえず倒れると睨み付けられる。


「キョウ。お前誰と勘違いしてんのッ?」


「え?」


 口調は違うが声もそっくりだ。こちらの名前もしっかりと当てる。遠くからアヤが走ってきた。黒い髪に眼鏡。本物だ。


「ユミ。前に言ったでしょう。キョウは記憶がっ」


「関係ないね。間違えた事実は変わらないからっ」


 どうやら双子らしい。姉が弓姑(ゆみこ)、妹が亜矢紅(あやこ)だ。姉はC組のようだ。


「ったく。どいつもこいつも……」


「ごめん」


 アヤのクラスメイトが集まってきた。恐らくは一緒のパーティーだろう。


「どうした、アヤコ?」


「あ、ちょっと勘違いがあっただけだから。気にしないで」


 これ以上騒ぎが大きくなるのは面倒だと、ユミコが教室に戻る。それぞれが散っていく。


「キョウ。じゃまたね」


「また後で」


 アヤも教室に戻るとD組数人が残って話しかけてきた。


「君がキョウか?」


「そうだけど、なにか?」


「もうアヤコとは関わらないでくれ。俺たちのパーティーなんだ。君と組んでいると成長が出来ない。彼女の足を引っ張らないでほしい」


「……組んだ覚えはない。それに決めるのはアヤじゃないかな?」


「チッ、お前何様だぁ。無職で無能の癖に!!」


「よせ、ここは学校だ……」


 リーダー格の男が怒っている連中の気を静める。


「さてキョウ君、それなら話が早い。アヤコがそう決めた。だからもう関わらないでくれ」


 そう言い放ち去っていった。



 教室に戻ると先ほど切りかかってきた男がゴブリンソードを持っていた。


「待ってたぜ、さっきはよくも!!」


 窓際にたちそれを落とそうとしていた。


「おらっ。取りに来いよ!! お前のだぞ!!」



(おいおい、ここは二階だぞ。下の人に当たらないように気を付けろよ)



 席に着くと勝手に切れ始めた。


「てめ!! こいつがどうなってもいいのか!!」



(別にいつでも転移魔法で回収できるし)



「うおおおお!! はいぃぃ!! ふぇぇぃい!!」


 じらすように何度かフェイントをかける。満足したのか彼は手を放し、剣を二階から落とす。転移で手元に持ってくると騒がしくなるのでしない。地面に優しく、そっと置くように転移させた。


「ハハハハハ!!! ざまあみろよ!! お前の大事なゴブリンソードが落ちたぞぉ!! 折れたかもなぁ!!! アヒャハヒャヒャ!!!」


 クラス中の人間が笑っていた。


(面白いかそれ。てか支給された剣があるからそっちも落とさないと駄目だろ)


 先生が入ってきた。雰囲気を感じ取り笑顔になった。満足そうに教卓に立って四時限目を開始しようとする。


「先生。ダンジョンに行ってきます」


(実戦の方が勉強になるしな)


 担任はペースを乱れてイラっとした顔になる。


「っまたですか!!」


「通知は送ってありますので」


 教室から出る際、何人かは面白くないといった様子で見ていた。外に出てゴブリンソードを拾う。平日はあまり遠くに行くと怪しまれる。今日は渋谷のダンジョンに行ってみるか。


(あ、そうだ。レナのLV上げに良い所を探そう)


5/07 誤字報告下さった方、ありがとうございます。修正しております。

6/10 誤字報告下さった方、ありがとうございます。修正しております。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 現代のように時計のある環境下で「何時も」と表記した場合、「(なんじ)も」と誤読してしまうこともありますので、ひらがなで「いつも」と表記していただけると可読性が増して読みやすくなるかなと…
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