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5 パワーレベリング

 レナとダンジョンの下の階層に降りていく。


 前衛が魔物と接近戦をし、後衛がその隙に魔法を放つ。詠唱などはないが発動は人それぞれ早さが違う。強力な魔法程発動が遅くなる。


 細かい調整や操作をしたり、派生など変化を付けるのも発動が遅くなる原因だ。練度が高いほど早くなる。


「<風刃(ウィンドカッター)>っ」


 風の刃が二つ。左右に弧を描く。前衛を避けてゴブリンに命中する。確かに発動が遅いが威力は申し分ない。まずはLV上げからだ。動いている相手に当てる方が。より強敵と戦った方がLVは上がりやすい。


「ちょ、ちょっと!! そっちは三階だけど!!」


「うん。二十五階に良い所があるから。そこで一気に」


「いやいやっ!! そんなの絶対無理だってっ。MPも持たない!!」


 MPとは魔法を使う為のエネルギー。電池みたいなもの。<魔力割譲(マナチェンジ)>を使用する。自身のMPを彼女に与え、回復させる魔法。これで全回復だ。


「こ、こんな魔法見た事が無いっ。魔力の性質は人によって違うはずなのに、それを渡すなんてありえないッ。それに……どれだけMPを持ってるの!!」


「まだまだ余裕ある」


 レナは口を大きく開けて驚いていた。


「ッ……いったいどのくらいのランクなの」


「……あっ、魔物だ!!」


 気のせいだったかと付け加える。何となく状況を察してくれたのか、それ以上は言及されなかった。


 五階層を越えると魔物が目に見えて増える。ここからは処理しきれない量が押し寄せると手を加えるようにした。地の魔法、<アースランス>。地面から円錐の棘が複数出現し、魔物を屠る。


 この魔法を選んだ理由は主に二つ。一つは風と氷は彼女が使うので比べないように。もう一つは視覚的に分かりやすい。どこから魔物が来ていたのか、どれだけ接近されていたのかの距離感。戦闘が終わった後、考える事が出来る。


「ッ……こんなに近づかれてた」


「三人以上で護衛がいるなら任せればいい。けど居ない時は自分の周りにも気を付けて」


「分かった。それにしても凄いね。前衛をしながら魔法を発動させて、かつ私を守るなんて……後ろに目でもついてるの?」


「常に<サーチ>使ってる」


「えっ……いやいやいや。おかしいでしょっ!!。近接戦闘をしながらそんな事!! しかも二種類の魔法を使ってるしっ、私にもMPくれてたしっ……あーもー!! 色々凄すぎて言い足りない!!」


(強敵と戦うと二種類どころじゃないけど)



 二十五階層に到着した。さっき来た時に確認した。魔物の数が多いが、ここは見晴らしがよく広い。この場所に来るための通路が少ないため後衛も管理がし易い穴場だと思った。


「とにかくミスやMPを気にせずに魔法を撃って。必ずフォローする。回数をこなせば慣れてくるはずだから。魔法も上手くなる」


「三種類同時もいけるの……!! わ、分かったッ」


 魔物を倒しまくる。気が付けば二時間ほどは連続で狩り続けていた。休憩のために移動。収納魔法で温かいお茶を取り出す。


「はいこれ」


「えっ、今ッ!!」


「え、水が良かった?」


「違っ。一体何処から取り出しッ……いえ。も、もう驚いても仕方ないわね……ありがとう」


 ゴクゴクと美味しそうに飲み干した。もう一時間ほど狩って、外に出る。転移は使わない。魔法の回数はそこそここなした。今度は道中で急に襲い掛かる魔物に対応する技術を学ばせるためだ。色々な地形での戦闘訓練になる。その後、入口間近で今日は解散する。


「何から何まで……今日は本当にありがとう」


「いえいえ。こっちも一緒に戦えて楽しかったよ」


「そ、そう言われると嬉しいな」


 照れている姿が可愛かった。


「あの。三日……いやっ。一週間に一度でもいいのでまた一緒にッ!!!」


「三日でいいよ」


「い、忙しくない? その実力なら色んなパーティーに引っ張りだこでしょう?」


「全然? 暇だよ」


「えええ!! 今日一番驚いたッ!!」


「三日後、ダンジョン集合で良い? ここで」


「うん。休みだから九時半くらいで」


「分かった。あっ。だいぶ魔法の発動早くなったけど、ソロの時は距離とMPに気を付けてね。予想以上に速く接近してくると思って」


「ダンジョンにはいかないよ。魔法の復習だね。撃てる回数とか発動のコツをしっかりと掴まないと。次会う時はもっと早く撃てるようになってるから!!」


(今日の感覚を自分のモノにする。基礎をしっかりと身に着ける気だ。レナは本当に強くなるだろうな)



 レナが帰ったのを確認すると仮面を外し、何食わぬ顔で外へ出た。カードをスキャンすると、学校に通知が送られる。これでダンジョンに行った証明になる。これとゴブリンの牙を二つ渡す。これ等を証拠に単位を取る。


 初のダンジョン探索を終えたので家に帰る。高校からは学校の近くに一人暮らしだ。シャワーで汗を流してベッドに飛び込む。


「ふーーー。今日は楽しかったなー。次は何処に行こうかな」


誤字報告下さった方、ありがとうございます。修正してます。


4/29 誤字報告下さった方、ありがとうございます。修正しております。

5/07 誤字報告下さった方、ありがとうございます。修正しております。

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