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48 闇の魔法

 ライラもレッドクリムゾンから呼び出されていた。怒りのあまり手紙をくしゃりと握り潰す。指示があった通り廃墟に来た。


 そこでライラは驚愕する。椅子に座った男の前に、シオリとフランが下着姿で土下座していた。そこに普段の逞しさは無く、その姿は哀れであった。


 男はフラン達の頭に足を片方ずつ乗せ、背もたれに体を預けて寛ぐ。嘲笑するように笑っていた。


「何をしてますの? その汚い足を退けなさいッ」


「あ~? なんだってぇ?」


 ライラを挑発するようにさらに足に力を入れて、グリグリと地面に押しつぶす。


「止めなさい!!」


 怒鳴った時、ライラは驚いた。涙声のフランがそれを止めたからだ。


「止めてライラ!!」


「フラン……?」


「これ以上逆らわないでっ……」


「よく分かってんじゃねぇか。罰として脱げ」


「はい、従いますのでどうかお許しくださいぃ……」


「ちょっと何を!! 止めなさいフラン!! シオリ??」


 シオリはブラジャーのホックを外し、フランはスポーツブラを脱ぎ始める。続けてパンツに手をかけようとした時、激怒したライラが突進する。接近してくる彼女を余所に男は落ち着いた様子であった。


「おっと、それは少し待て。あの女をペットにしてからだ」


「はい……」「はいっ分かりましたっ」



「黙りなさいッ。この外道!! はぁぁああ!!」


「魔法もフレイルも使えない。近くにいるこいつらに当たるからな。まったく……」


 座った状態でライラの拳を手の平で受け止める。


「お前が一番楽だったぜ」


 自慢の怪力が止められた事に驚く。危険を感じ、急いで離れようとすると男は拳を握り潰す。


「がぁ……アアアア!!」


「どうしたライラ・フェニックス? この程度か?」


「何故……」


「ククク、特別に教えてやる。お前のスキルや魔法は全て俺が()()()()()


「そ、そんな事あり得ませんわッ!!」


「おいおい、この二人をよく見ろよ。首輪と紐だけでこんなに無様に言う事を聞いてるんだぜ?」


 フランとシオリは弱々しく泣き、怯えている。


「ま、まさか……そ、そんな……」


 男が立ちあがり、彼女の顔面を殴ると倒れた。鼻から血が出る。いつもならすぐに治るが、血が止まらない。


「スキルが発動しませんわ……何故ッ」


「頭悪い奴だ。だから奪ったっつったろ?」


「くっ」


 思いっきりライラを蹴飛ばす。それに対応出来ずに地面に転がった。


「さて、あの時は散々生意気してくれたよなぁ……たっぷり可愛がってやる」


 ライラに向けた発言にフランとシオリが酷く怯えた。


「申し訳ございません!!」


「逆らいませんから!! もう許して!!」



「……下衆ですわね。どれだけ酷い事を……」


「ククク、闇の魔法さ。幻覚で男に弄ばせ、拷問を体験させた。心を隅々まで侵し尽くして、へし折ったのさ。男も女も関係ねぇ。俺に逆らった奴はぁッ。どんなに生意気な奴でもこうなる。無論、お前もな」


「クッ……」


 ライラがこっそりと周辺を気にしている。それに気が付いた男が言う。


「ああ、ここら一帯に忍ばせておいた護衛達なら全員片付けた。残念だったな」


「なっ……」


「それじゃあお楽しみタイムと行こうか」



 それから数時間後、ライラも同じようにパンツ一枚になって、無様に土下座していた。彼女もまた敗北してしまった。スキルと魔法が使えずどうしようもなかった。


「助けてください。もう逆らいませんっ」


「ったく、品の無いでけぇケツだな」


「申し訳ございませんっ」


 レッドクリムゾンはかつて自分よりも圧倒的に強い者を支配した事に喜びを感じていた。彼はその全能感に支配される。


「さてと、そろそろ全員仲良く裸になってもらうとするか」


「はい。喜んで……」


 三人が下着に手をかけたその時、廃墟の隅で中年くらいの男が立ってた。


「止めとけよ赤宮。それ以上はいけない……」



「……何処かで見た事があるな……ああ、校長か……」


「久しぶり……なのかな? なんせ生徒を一人一人見るのは難しい」


探索者(シーカー)を本気で目指すならそこに文句を言う奴はいない。弱い者は認知されずに無様に死ぬ。それだけだ」


「……赤宮。お前は思ったよりつまらん男になった」


「下らない理由で。前線を退いた雑魚に言われたくはない」


「あら。それを言っちゃうか」


「フンっ。もう遅い。遅すぎたんだ。今更お前程度に俺は止められんよ。無論、あの黒霧ですらな……」


「……知ってるよ。だから彼をここに誘った」


「……彼?」



「デッド。そう言えば分かるかい?」


「ああ、たしかシオリの恋人か……ククク、良い事を思いついた。丁度今から仕上げをやろうと思っていたが、そいつを倒してからでも良い。いや、倒してからの方が良いなッ。最高のメインディッシュだ!!」


「うわーやだねー陰湿ぅー」


 校長はその場を離れようとする。レッドクリムゾンは内心で驚いていた。



「……作戦でも何でもない。本当に戦わない気か……? 堕ちたものだな」


「君に言われるのは心外だー。そろそろ来る頃だから退散するだけさ」


「かつての英雄が他人に頼る事しか出来ないとは。哀れな……」


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