43 街を守る人々
魔物が街を破壊する。フランは探索者たちに混ざり、討伐していた。彼女は周辺に呼びかける。
「LV7以下の人は後ろに下がって人命救助を優先して!!」
普段はLVだけでなく、本人の技術ややる気も見るフラン。しかし、今は緊急事態ゆえに一人一人を見る余裕は無い。なので今どうするべきか。分かりやすい数値、その水準を即興で設定した。
緊急時において探索者はダンジョン外でも独断行動を許されている。独断と言ってもあくまで軍や警察に協力する事が求められるが。
軍や警察の装備はダンジョン産の武器や弾丸である。弾丸はミスリルなどの特別な金属を使うため、それだけでは経費が高すぎるので剣や魔法の戦闘スタイルも導入している。
探索者と違うのは武具が統一され、規格が決められていること。
彼等は魔物との戦いだけでなく、対人用の動きもエキスパートだ。警察は殺すのではなく出来るかぎり無力化。軍は問答無用で制圧といった違いがある。
多人数での統率が取れている事も違いの一つだ。警察は市民の救助を優先する。軍は規模が大きい所の殲滅、及び危険地区の設定や更新。ダンジョンの封鎖。探索者は小さい規模の群れを撃破。こうして役割が区別されている。
有名な探索者になると上から細かい指示を受ける者たちもおり、そこは臨機応変。様々な機関があることでこの世界は成り立っている。
別の場所、上代は個人で動き、高速で移動し次々と魔物を狩る。また一人助けられる。
「あっ、シオリンだっ!! ありがとうございます!!」
「うん」
上代は短い一言だけ残して去っていく。小さな体からは想像も出来ない不屈さに人々は憧れる。一部では英雄と称えられるほどの少女である。
広い入口のダンジョンが存在する。そこから出てきたのは巨大な魔物。街中を蹂躙するそんなモンスター達から人々は悲鳴を上げ、散りじりに逃げる。そんな時、ズドンと大きな轟音が鳴り響いた。ライラが空から降ってきて、巨大なフレイルで魔物を押し潰していた。
「皆さん。お怪我はありませんか?」
「ラ、ライラ・フェニックスだ!!」
「本物?」
「本当に大きい!!」
「綺麗ェー!!」
「かっこいい!!」
「ありがとぉライラ!!」
小型の通信機で両手を空けて誰かと会話している。次の目的地が決まったようだ。ライラはフレイルを専用のベルトに収めると、おしゃれな日傘をさす。そして、一気にビルの屋上まで跳躍する。不思議な上昇だった。超人的な脚力に、風と炎の魔法を上手く利用しているようだ。
「すげー」
「かっこいー」
市民は彼女の勇姿にも憧れを抱いていた。
誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。




