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36 手探り

 男を閉じ込めた後、静かになった。戦いが終わったとレナがホッとした時、フランが上代の名を叫ぶ。声とほぼ同時に反応した上代は急に後ろに小さく数回飛んだ。さっきまで居た場所にナイフが刺さる。


「今度は何がっ」


「幻影魔法ッ」


 土のドームに捕らわれたのが偽物。本物は上手くそこから逃れていた。今度はこっちの番だとばかりに男が急接近する。しかし彼女等はそれを許さない。


「<エアクラッシュ>」


 進行方向に風の魔法を置いていた。急ブレーキをかけ、それを避ける。


「<フレイムストーム>」


 自分達を守る事を意識して、炎の渦を設置する。男はその間をくぐり抜けて、前へ進む。


「<飛雷>」「<アイスウォール>」


「レナっ。下がりなさいッ」


「え……?」


「肉を切らせて骨を断つってやつねっ」


「敵はダメージを受ける覚悟で接近してきてますわ。つまり、近距離なら私たちに勝てると判断したということッ」


 それを聞いてレナは慌てて後ろに下がった。もっと前からその判断をしていた三人は瞬時に各々を役割を確定させた。フランはレナを守る。上代は相手を寄せないように雷魔法の連射で牽制。その隙を見て遠距離から殺意のこもった魔法をライラがぶつける。


 そんな攻防が暫く続くと、男は急に距離を取り出した。


「ちっ……厄介な奴等。流石にまだ同時撃破は無理かッ。一人ずつだッ」


 男は黒い霧を発生させる。彼女等はそれに迂闊に触れずに様子をみた。霧の向こう側から今までで一番多くナイフが襲い掛かる。全てはレナ狙い。三人が協力し、それを全て打ち落とす。


 幾つかのナイフは特別であり、叩き落とすと同時に簡易魔法が発動する。火、雷が辺りに飛び散る。フランは盾で受け止め、二人はそれを見事に回避した。しかし、いつの間にか男が投げていた球のようなモノが弾け、無数の針が一帯を襲う。


「<トルネード>」


 小細工と霧をライラの竜巻の魔法で一気に吹き飛ばす。そこには既にフードの男はいなかった。先ほどの言葉は逃走するための布石だった。しかし、まだ完全には警戒は解かない。


「気配が消えた」


「逃げられましたわね」


「大丈夫、レナ?」


「な、なんとか……」


「トルネードヒールを使いましょうか?」


「ヒールはない?」


「ありませんわ。後はヒートヒールが得意ですわね!!」


「何故っ。なんで変なアレンジを加えるのっ!!」


「……何か勘違いされてますわね。ダメージは一切受けませんわ」


「当たり前でしょッ」


「じゃあ何を怒って……暖かいとか空気が澄んで良いだとか、評判は良いですのに」


「ッ……ほんとこの人たちやだぁー……」



「じゃ、じゃあ……トルネードヒールを」


「ほら。レナは欲しがってますわ」


「明らかに気を使ってるだけでしょ」


 ライラがフランに向かってドヤ顔をした。癒しの風がレナを包み込む。少々強風だがしっかりと傷が治癒されていく。気を付けなければスカートがめくれるので注意が必要。


 上代はトルネードヒールの近くに行くと扇風機の前で声を出すようにアーーとしていた。一方フランは帰還を提案する。皆はそれに同意した。少し休んで帰る事になった。


「何者でしょうね」


「……フードの男。最近噂になっている通り魔では?」


「その通り魔。学生を多く狙ってたはずだからこんな所まで来ないと思うけど」


(私を狙うストーカーとは手口が違うし……)



「あの装備や道具。最初から人と戦う気で来てましたわね。多分単独犯だとは思いますが」


探索者(シーカー)を狙う……普通に考えたら利点が無いよね」


「恨みとかかもしれない。シオリはどう思う?」


 風付近でアーとしていた上代が答える。


「あのテンション。覚えたての人……」


 レナはそれに納得した。最近強くなったので心当たりがある。


「覚えたて……力を試してる? 学生で試して問題なかったから今度は探索者(シーカー)を……?」


「それなら確かに……その可能性も含めて報告しないとね」


誤字報告下さった方、ありがとうございます!! 修正しております。

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