34 赤い男
フランたちはダンジョンに向かうことになる。ドアを叩く音が聞こえた。フランがライラを呼んだらしい。
「どうもー……」
「oh-。こんな偶然が。この前の道を案内してくれた探偵さんですわね」
「え? 知り合いなの? シオリとも会った事が……何気に凄いね、キョウって」
「あはは……偶然だよ……本当に偶然……」
(本当にな。こんなことあんの?)
最後の一人はレナだった。少しでもパーティー経験を積ませようと呼んだみたいだ。レナはその場のメンツに唖然としていた。右も左も真ん中も天才少女。最後に俺の方を見た。
「ほっ……何だか安心するね」
「それは良かったです」
なるべく深い階層まで行きたいらしく、俺はお留守番となる。帰るのは夕方。フランに料理を作って待ってると言ったら、全員が喜んだ。なので急遽買い出しに行くことにした。お店付近で悲鳴が聞こえる。ダンジョンから豚の魔物が出てきたようだ。それはオークと呼ばれ、二足歩行で武器を持っていた。
逃げ遅れた少女に向かっていく。助けようと思った。しかし、先に駆け付けた男が槍を振り回し、オークを即倒した。
「大丈夫だったか?」
「ありがとうお兄ちゃん!!」
少女は母親の下に戻る。男と目が合った。
「君も助けようとしていたね。眼を見れば分かる」
(ステータスを見られている感じはしないな)
「助けられるかは別の話です。俺は弱いので貴方のようにはいかなかった」
「はっはっは。確かに助けられる実力があるかは肝心だな。だがね、重要なのは助けようとする意志さ!!」
(ははっ、明るい人だ)
「貴方は?」
「よくぞ聞いてくれたッ。神代の風。古代の叡智こと。佐久ッ」
(前置きが微妙に長い……)
「サクさんですか」
そこでもう一人男が近づいてきた。恐らく同じパーティーの人だろう。
「おーい、ソース。そっちは終わったか?」
「ソースではない。佐久だ」
「悪いな。こいつ偽名を堂々と名乗る性格でな。石宗助ってんだ。だからソース」
(ちょっとだけ親近感が……俺の場合仕方なくだけど)
「なるほどですね。ところでこの辺りの魔物退治は終わりましたか?」
「ああ、今ので最後みたいだ。ほら、戻るぞソース」
「だからっソースでは!!」
ソースはワーワーと騒いでいたが、慣れた感じで報告するために歩き出す。
「あ、そうだ。ここら辺は気を付けろよ。魔物も危ないが、噂の通り魔が出たそうだ」
「ニュースでやってた、命を貰う人ですか?」
「そいつだ。名はレッドクリムゾン」
「……凄く赤いですね」
「そうだ。奴は血に飢えている。気を付けろよ」
探索者たちは警告を残して去っていった。
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